秋葉原物語

<秋葉原物語>[第1部 ポテンシャル]8.ゲーム商戦、立ち上がる

2004/12/20 16:51

週刊BCN 2004年12月20日vol.1069掲載

 「映像」をキーワードに薄型テレビやDVDレコーダーなどデジタルAV(音響・映像)機器の販売がクリスマス商戦を迎えて好調に推移している。しかし、テレビチューナー搭載のAVパソコンに関しては、相変わらず動きが鈍い。

 パソコン専門店や家電量販店の店頭では、「買い替えで購入するユーザーもいるため、全く売れないというわけではないが、基本的には厳しい状況が続いている」という声を多く聞く。「AVパソコンは、DVDレコーダーと液晶テレビを組み合わせた商品」というコンセプトでアピールしているものの、テレビ番組を視聴したり録画するという点では、薄型テレビやDVDレコーダーを選択する消費者が多い。パソコンで画質を重視するのは、オンラインゲームユーザーが多い。オンラインゲームユーザーは、グラフィックスボードを購入しチューンアップするマニアが多く、パソコン本体まで買い替えるということはしないようだ。

 ゲーム関連では、クリスマス直前とあって、携帯ゲーム専用機がショップの店頭を活気づかせている。今年は、任天堂とソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)両社ともに製品を発売。まずは、12月2日に任天堂が「ニンテンドーDS」の販売を開始した。対するSCEは12月12日に、同社にとって初めての携帯ゲーム機「プレイステーション・ポータブル(PSP)」を市場に投入。BCNランキングによれば、ゲーム専用機の販売台数は、12月1日を100とした場合、ニンテンドーDSの発売となった12月2日が1182と12倍弱、PSPが発売された12月12日が1535と15倍以上に膨れあがった。

 秋葉原電気街は、家電やパソコンのユーザーだけでなく、ゲームを求めるユーザーも多い。そのため、ゲーム機メーカー大手2社が新製品を発売することは、冬商戦で売り上げを伸ばす絶好のチャンスとなった。

 昨年冬は、ソニーがゲーム機の「PS2」を搭載したHDD(ハードディスクドライブ)付きDVDレコーダー「PSX」を発売した。しかし、多くのショップでは、「期待が大き過ぎたのか、思ったほど販売が伸びなかった」と振り返る。そのため、これといった売れ筋商材がなく、昨年12月の売上高は前年同月を下回るパソコン専門店や家電量販店が相次いだ。

 しかし、今冬はデジタルAV分野と関連ソフトを含めたゲーム分野という2ジャンルが売れ筋商品になっているため、ショップにとっては売上増に大きな効果が表れている。電気街では、「今年は、売れ筋商品が多いため、安心して年を越せる」と胸をなで下ろす家電量販店もあるほどだ。(佐相彰彦)
  • 1