店頭流通

トランスメタ デスクトップパソコン需要開拓へ プロセッサの静音性を訴求

2005/01/24 18:45

週刊BCN 2005年01月24日vol.1073掲載

 トランスメタ(マシュー・ペリー社長兼CEO)は、パソコンとデジタル家電機器との融合に対応するため、モバイルパソコン用CPU「Efficeon(イフィシオン)」プロセッサのデスクトップパソコン向け需要開拓を進める。イフィシオンは消費電力が少なく低発熱で、これを使ったパソコンは冷却ファンが不要になる。このためパソコンの静音設計が容易になり、今後家電との融合に向かうパソコンへ静音性のメリットをアピールしていく。国内の大手ベンダーへの拡販を強化し、ホームネットワークへの提案を強化する方針。

 トランスメタのイフィシオンTM8800プロセッサは、主に小型のモバイルパソコン向けのCPUとして供給。国内大手パソコンメーカーでは、シャープがモバイルパソコンに搭載している。

 このほど米ラスベガスで開催された「2005インターナショナルコンシューマエレクトロニクスショー(CES)」でも、パソコンとAV(音響・映像)機器の融合で、パソコンがホームネットワークのサーバーとしての役割に焦点が当てられていた。今後、リビングに置かれたパソコンの騒音対策が重視されるようになるという。

 トランスメタでは、「家電とパソコンの融合を考えると、ファンレスを実現できなければ家庭では受け入れられないだろう」(日本法人の村山隆志社長)として、高性能パソコンのネックとされてきた冷却ファンの騒音問題解決にイフィシオンの採用をアピールしていくという。

 これまで同社が開発してきた省電力・低発熱の技術が、家電とパソコンの融合という時代に対応することで、モバイルノートパソコン向けの技術を「パソコンとAV機器を融合させる機器に生かせる」としている。スリムデスクトップパソコンやメディアセンターパソコン搭載へ拡販を図ることで、新たな市場に参入する狙い。

 また、OSにウィンドウズメディアセンターを搭載した機器以外でも、Linuxを搭載することで低価格のシステムも実現できるという。現在、台湾のベンダーとの提携により、ウィンドウズメディアセンターやLinux搭載機器の製品化に取り組んでおり、「国内の大手ベンダーにも拡販していく」方針だ。

 トランスメタは、2000年に「Crusoe(クルーソー)」を発表し、03年にその後継として「イフィシオン」を発表した。現在チップの設計・開発・販売およびライセンス販売を柱とした事業展開を行っている。日本ではNECエレクトロニクスおよび富士通と戦略的提携を行っている。90nmプロセスのイフィシオンTM8800プロセッサについては、富士通が生産を担当している。今後は、「今年から来年にかけて韓国、中国、台湾および日本を含めたアジア市場での技術サポート強化やイフィシオン搭載のメディアセンターパソコン拡販に向けた展開を強化」(村山社長)していく。
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