店頭流通
キヤノン販売 デジタル「4冠維持」に自信 デジカメ、インクジェットもトップに
2005/01/31 16:51
週刊BCN 2005年01月31日vol.1074掲載
芦澤常務が初めて「4冠奪取」を宣言したのは2000年3月27日付のBCN紙上だった。その時の心境を次のように振り返る。
「当時、ページプリンタではトップシェアだったが、スキャナ、インクジェットプリンタはエプソンとマッチレースを展開中。デジカメは7位と圏外にいた。そうしたなかで、BCN紙上で4冠奪取を宣言したわけだが、あれは私にとってもキヤノングループにとってもいわば公約となった。4年かかったが、この間いろいろと勉強させてもらったことで、4製品についてはトップ維持に自信がある」
4冠奪取宣言の頃は、4製品とも成長の過程にあったが、その中でスキャナは複合プリンタに組み込まれることで市場は縮小。SOHOをメイン市場としたページプリンタはリコーなどが訪販系ルートで巻き返しを図るなど、ルートを越えた戦いが始まっている。
こうした市場動向の中で、同社はどんな展望を描こうとしているのか。プリンタ市場について芦澤常務は次のように語る。
「単能機としてのインクジェットプリンタは確かに成長は難しいだろうが、スキャナ機能などを持った複合機はいままさに成長期にある。デジカメが普及すればするほど、ホームプリンティングの需要は高まる。これに応えるフォトプリンタ市場の拡大は始まったばかり。膨大な潜在需要があるはずで、その視点からそれぞれの市場に最もマッチした製品を揃えている」
「BCN AWARD 2005」でキヤノンのシェアはインクジェットプリンタ59.6%、ページプリンタ41.6%で各1位、複合プリンタは24.2%で2位だった。「昨年はインクと複合プリンタ合わせてのシェアが1位だったが、今年はBCN流分類での複合プリンタでもトップシェアを取りに行く」意向だ。
激戦のデジタルカメラでは、シェア18.1%で、2位のソニー(17.0%)をわずかにかわしてトップになったが、「コンパクトタイプと1眼レフデジカメでは競争環境が全く異なる」というのが芦澤常務の認識。
「コンパクトタイプは、すでに生き残り競争の段階に入り、バトルロイヤル的戦いはさらに厳しくなるだろう。ただ当社は、電卓、日本語ワードプロセッサなどで、数多くの修羅場を経験し、生き残りのノウハウは豊富に持っている。たとえば、電卓は生き残った結果、いまでは利益の出せる事業となっており、残存者利益の恩恵にあずかっている」(芦澤常務)という。
いずれにしても、「最終的な決め手になるのは“絵づくりの技術”。当社はここには膨大な研究開発費を投じている。映像エンジンそのものを自社開発、製造しているのは世界で何社もないが、この強みは必ず生きてくる」というのが芦澤常務の見解だ。
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