石井克美のデジタル家電ナビ

<石井克美のデジタル家電ナビ>1.IT家電がもたらす快適さ

2005/04/04 16:51

週刊BCN 2005年04月04日vol.1083掲載

 ADSLやFTTHといったブロードバンドが普及・定着を見せ、街中にはネットカフェや無線LANのホットスポットが増殖。加えて、パソコン以外にも家電や携帯電話、テレビやデジタルオーディオプレーヤーなどがネットワークで結ばれ、いつでも、どこからでもインターネットにアクセスできる環境(「ユビキタスネットワーク」)が生まれてきている。つまり「ユビキタスネットワーク」がこれからの生活環境を大きく変容させるキーワードになっている。

 実際に、庫内の残り物で作れる料理のレシピを探し出してくれるインターネット冷蔵庫のプロトタイプが発表されたり、留守中に洗濯を指示できるインターネット洗濯機(イタリア製)などが登場。こうした製品が現れることにより、パソコンを確保したり、難しいプロトコルの設定に苦労したり、アクセス用回線の遅さにイライラする必要はなくなるという。パソコンや携帯電話の利用は難しいという人たちにとっても、ユビキタスネットワークが確立すれば、もっと簡単にアクセスでき、必要な情報を引き出すことができるようになる。ユビキタスネットワークの実現は、人々がデジタルデバイドから解放されることも意味している。

 また、思いついた時やちょっと時間があるときに、端末を持っていなくても気軽にネットワークでオンラインショッピングができるようになれば、今以上にコンシューマ間でEC(電子商取引)が広まるだろう。「便利さ」こそが21世紀の社会で、人々に最も支持されるはずだ。もちろんこれは「誰にでも便利」という条件付きではあるが。

 一方、課題として考えられるのは、アクセス技術の高速化と標準化だ。特にネットワークのオープン化、有線接続と無線接続のシームレス化が必須。また、あらゆる電化製品がネットに参加するには、IPアドレス資源確保のために、IPv6の普及が不可欠。さらに、いつでもどこでも、誰もが利用するには、接続技術が標準化・簡素化され、もっと使いやすくならなければならない。また、ユビキタス環境下での常時接続では、ネットワークに参加する個人の認証さえあれば接続が可能だから、認証を行う際の個人情報保護や、セキュリティ技術の向上が要求される。こうした問題が解決されることによって、ネットワークと家電がより親密化していくといえよう。

 この連載では、デジタル家電やネットワークを切り口に、これからのユビキタス社会にむけた様々な事象をウォッチしていく。
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