秋葉原物語

<秋葉原物語>[第2部 エボリューション]24.駐車場誘導を効率的に

2005/04/18 16:51

週刊BCN 2005年04月18日vol.1085掲載

 秋葉原駅周辺の都市再開発事業が進み、このほど「秋葉原ダイビル」が本格オープン。来年3月には隣の「秋葉原UDX」が完成し、秋葉原地区の集客は一段と高まることが期待されている。こうした再開発で重要になるのが交通アクセスの問題だ。

 これまで秋葉原のウィークポイントは駐車スペースの少なさだった。秋葉原UDXのオープン時には、駅前に900台を収容できる大型公共駐車場ができるため、より便利になる。

 しかし、課題も残る。駐車場の案内と誘導の効率化だ。秋葉原は、自動車を誘導する案内板などが極めて少ない。しかも、御茶ノ水方面からのルートである神田明神通りから、秋葉原の中央を通る昭和通りと中央通りがともに駅前方面に右折できないというのがネックになる。2006年3月の秋葉原UDX完成までに公共駐車場に入るための案内標識を設置するほか、通行規制を変更し、右折して駅前に入れるようにするなど、自動車で秋葉原を訪れやすい環境を整えることが必須だ。

 秋葉原地区の再開発に関わる開発事業者や行政、同地区周辺の地元町会や団体などでつくる「秋葉原駅付近地区まちづくり推進協議会」では、「秋葉原駐車場案内・誘導システム検討委員会」を設置した。学識者の意見を取り入れるため、委員長には日本大学理工学部社会交通工学科の高田邦道教授が就任。副委員長には、全体をまとめる観点から千代田区の座間充・まちづくり推進部長が務める。ほかにも、東京都の建設局や都市整備局も参加したほか、警視庁都市交通対策課や万世橋警察署交通課など、さまざまな分野からシステム実現に向け意見を交わした。

 4回にわたる会合でシステムの構築について方向性が見えてきた。システムの設置で最も重要な部分は費用負担。大規模なものであれば5億円弱、小規模なものでも1億円程度の設置費がかかるという。費用負担は、地元の関係団体が受益に応じて適切な分担を行うことが決まっているものの、大規模なシステムを構築すればその負担は大きくなる。

 そこで、国の支援策を積極的に活用する。05年度に国土交通省が実施する予定の駐車場システムの構築および高度化への支援策を活用する計画だ。補助金の総額は7500万円。これが実現すれば、関係団体が費用を負担しなくてもシステムのバックオフィス部分を構築できるようになる。

 駐車場の満空情報については、電光案内板やカーナビゲーションシステムに情報を配信する「情報提供センター」(仮称)の設置がほぼ固まっている。(佐相彰彦)
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