大河原克行のニュースの原点

<大河原克行のニュースの原点>79.松下電器のリンクマーケティングとは

2008/01/07 18:44

週刊BCN 2008年01月07日vol.1217掲載

 松下電器産業は、2007年の年末商戦において、「リンクマーケティング」という新たなマーケティング手法を導入した。

 これまで松下電器は、逆算のマーケティングと呼ばれる手法を導入してきた。発売日に投入商品の認知をピークに高めて、そこから宣伝活動、広報活動、販売店向け教育プランをさかのぼって設定。物流、生産、部品調達、製品企画のプランまでも逆算して設定していく手法だ。発売日に向けて全組織が集中した取り組みを行い、発売日から数週間後にトップシェアを獲得する「垂直立ち上げ」へとつなげる手法である。

 そして、今年新たに導入したリンクマーケティングは、これをさらに進化させたものだ。

■分散から集中へ

 従来の逆算のマーケティングは、各製品ごとに取り組みが行われていた。だが、リンクマーケティングでは、薄型テレビを中心に、リンクする製品の発売日を集中させ、リンク提案をより効果的に行うことを狙っている。

 「これまでは約3か月間に分散して投入していた年末向け新製品を、8月下旬から9月前半までの約1か月に集中的に発売した」と、パナソニックマーケティング本部・西口史郎本部長は語る。

 DVDレコーダーおよびBDレコーダーのみが、10月上旬のCEATEC会場において新製品を発表。10月末からの発売という格好になったが、これはAVC RECの新たな技術対応に時間を要したためだ。

 もちろん、「集中」の実現は一朝一夕にはいかない。このリンクマーケティングは、主要製品のすべてが、発売日までの戦略に足並みを揃える必要がある。他社に先駆けて松下電器が、これを実現した背景には、長年にわたる体制づくりへの取り組みを抜きには語れない。

 逆算のマーケティングを実現するために、中村邦夫会長が社長時代にマーケティング本部を設置し、これを一か所に集結してマーケティングを行えるようにした取り組みや、大坪文雄社長が、パナソニックAVC社社長時代の約4年前から、薄型テレビを中心にデジタル機器のビジネスユニットを大阪府の門真に集結させ、同じ場所で、つながる商品の開発を開始してきたことが影響している。「こうした流れがなければ、リンクマーケティングを実現することは難しかった。マーケティング手法をもう一歩進めた最先端の手法」と、西口本部長は胸を張る。

■予想以上の成果が出現

 リンクマーケティングの成果は予想以上で、対象商品は一部品薄となるほどの売れ行きだ。

 「DVD/BDレコーダー、ハイビジョンSDムービー、デジタルカメラはすべて前年同期比2ケタ以上の伸びを達成している。想定を遙かに越える売れ行き」。とくにDVD/BDレコーダーは、BCNの調べによると、松下電器の台数シェアは11月実績で35.5%。金額ベースでは38.5%。「専門店ルートを含めると50%を超えるシェアを視野に入れている。供給が安定すればそれも可能」として、増産に乗り出したところだ。

 薄型テレビ以外は低迷していたデジタルAV機器が、リンクマーケティングによって回復しはじめたようだ。
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