店頭流通

カシオ計算機 最新電子辞書が新規層へ浸透 6月には店舗展開を1.5倍以上に

2008/05/05 18:45

週刊BCN 2008年05月05日vol.1234掲載

 カシオ計算機(樫尾和雄社長)が業界初の「ツインタッチパネル」を装備した「EX─word(エクスワード)シリーズ」として今年1月に発売した新製品が、女性を中心とした新規顧客層に浸透している。外国語の「ネイティブ発音」を収録して海外旅行者などに注目されたことや、家電量販店でゲームなどのソフトウェアを追加できる「ダウンロードキャンペーン」を実施したことで、これまでのシニア層以外にも広まった。同社は6月に、開設店舗を増やしたうえで同キャンペーンを再度実施し、夏休み前の海外旅行者などへの販売を強化する。

 1月に発売した「EX─word」は、「過去に毎年行っていた機能強化と異なり、全面リニューアルに近い」(中村均・コンシューマ企画部部長)製品に仕上げた。新製品は、前版のモデルから採用した手元の手書きパネルに加え、メインパネルでも漢字を手書き入力できる「ツインタッチパネル」を業界で初めて装備した。最初に出荷を開始した製品では、10年ぶりに改訂した「広辞苑 第六版」を図版入りでいち早く収録。既存ユーザーのリプレースを呼び起こした。

 収録したコンテンツとしては、英単語10万語・外国語会話約1万9600例文の発音に加え、「明鏡国語辞典」の重要約1万語の発音を業界に先駆けて掲載している。英単語はネイティブ発音を独自に収録。英単語コンテンツを気にせずにその場でネイティブ発音をチェックできるのが特長だ。

 大幅なリニューアル製品を出したこともあり、同社では一気に市場への浸透を図ろうと、家電量販店の店頭展開を強化した。「ダウンロードキャンペーン」と題し、電子辞書の新製品を並べ、その場でユーザー自身が持つ端末に「脳鍛アプリ」や「クロスワードパズル」などのコンテンツをダウンロードできる「EX─word PRO SHOP」という売り場を全国約300店舗で展開した。中村部長は「新規購入の需要を喚起するために実施したが、狙い通りの効果があった」と、6月以降にも時期をみて海外旅行などをテーマにした同キャンペーンを行う予定。出展店舗は500店舗に増やす計画だ。

 同社によると、電子辞書の需要期は3-4月に集中し、ここで売上高の約35%を稼ぐ。ただし、「年代別や用途別に製品ラインアップを見せることで、新規顧客を掘り起こせる」(中村部長)と自信を見せる。実際、手書き入力搭載製品は、未搭載に比べ、新規購入層が56%から62.7%に増加。女性顧客の割合も19.9%から28.2%になるなど、幅広い層へと普及しつつある。今後は学校や医療機関など法人市場への売り込みも本格化する。同社の電子辞書分野は今年度(2009年3月期)、前年度比で2ケタ成長を狙う意気込みだ。
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