トレンドマイクロ(エバ・チェン社長兼CEO)が9月19日に店頭発売したセキュリティソフト「ウイルスバスター2009」。数年前に比べて目新しい機能は少ないが、マーケティングプランでは新施策を打ち出す。関東地方では、初めての本格的なテレビCMを約2週間放映したり、パッケージは過去のバージョンで最もシンプルなデザインに変更したりと動きが激しい。仕掛け人は、ゲートウェイ、アマゾンジャパンを経て昨年トレンドマイクロに移籍、今年から「ウイルスバスター」のマーケティングを担当する吉田健史・プロダクトマーケティング本部コンシューママーケティンググループディレクター。同氏に今回のマーケティング戦略で重視したポイントを聞いた。

 ──過去のタイトルに比べ今回は新機能が少ない。セキュリティソフトに載せる機能は出尽くしたのか。

 そんなことはない。搭載したい機能はまだある。ただ、機能を多く搭載するほど、PCにかかる負荷が大きくなりPCのパフォーマンスを下げかねない。PCのパフォーマンスを維持するのと、複数の機能を搭載することは相反する。そのバランスを取りながら新機能を載せている。

 エンドユーザーを対象に行った独自調査データによれば、日本のユーザーがセキュリティソフトに期待している項目の上位は、「高い不正プログラム検知率」「PCのパフォーマンスに負荷をかけない設計」、そして「個人情報保護対策」だった。新版ではこうしたユーザーの要望をもとに開発した。IDやパスワード入力の暗号化機能やメモリ使用量の45%削減はその代表例だ。

 ──セキュリティソフト市場は伸びていない。飽和感があるなか、どんな手を打ってユーザー数を増やすのか。

 確かに市場成長率は数年前に比べて低い。家庭にあるPCのうち70-80%はセキュリティソフトが導入されているだろう。となれば、他社製品から当社製品にどう乗り換えてもらうかが焦点になる。他社製ソフトユーザーに対して、「ウイルスバスター」の魅力をどう知ってもらうかがマーケティング戦略で重視するポイントだ。

 ──発売と同時に関東地方では初となる本格的なテレビCMを始めた。

 テレビCMはこれまで地域を限定して放映していた。今年3月には名古屋、6月には札幌、仙台、大阪、福岡の4拠点で展開。今回はこれら5拠点に加え関東地方でも始めた。今回のテレビCMでは、「赤のイメージ」「キャッチーなメロディ」「ストレスを解消させるようなビジュアル」を重視し、モデル・タレントの仲間リサさんを採用した。過去の例ではテレビCMを放映した直後から該当地域で販売本数が伸びている。ただ、単にテレビCMを流すだけでは効果は薄い。事前に店頭としっかりと打ち合わせて販売計画を練り、一緒になって拡販する活動も重要で、それについても手を打っている。

 ──パッケージデザインも変更した。過去にはないシンプルな作りで製品の優位性が伝わりにくいのではないか。

 パッと見た時、いかにインパクトを与えることができるかを重視した。デザインもユーザー調査をもとに変更している。今回のものを含め4パターン用意してユーザーに意見を募り、もっとも賛同が多かったのが今回のデザインだった。シンプルだが、ユーザーに与えるインパクトは強まったはずだ。