ワコムは、各社から「Windows 7」搭載PCが発売されたことを契機に、ノートPC向けマルチタッチセンサーシステムの開発・販売をさらに推進する。「Windows XP」や「Windows Vista」と異なり、マルチタッチ機能を標準搭載して話題を呼んでいる「Windows 7」搭載PC。ディスプレイのタッチセンサーを、ペンに加えて新たに指による操作に対応させている。嘉本秀年・執行役員コンポーネント統括統括ジェネラルマネージャーは、「Windows 7をきっかけに、今後、かなりの需要が見込める」と期待する。

当面はノートPCに注力

 ワコムは当面、マルチタッチセンサーシステムについて10インチから17インチクラスのノートPC市場に注力し、経営資源を集中する。ただ、デスクトップPCやスマートフォンなど、「サイズによって設計を変える必要がない技術」(飯村誠一郎・OP統括広報室ジェネラルマネージャー)も今後開発していく考え。現在は東芝やレノボ、富士通などにセンサーシステムを供給している。パネル製造には、TFT液晶の減価償却が終わった生産ラインを流用。価格競争力を確保している。

 飯村・ジェネラルマネージャーは、「従来はペンあるいはタッチ機能が要求された市場はごく一部で、使い方は限定されていた」と振り返る。それが「Windows 7」の登場により、「ユーザーのPCに対する期待は変わりつつある」とも指摘する。

嘉本秀年・執行役員 コンポーネント統括 統括ジェネラルマネージャー

 嘉本・執行役員は、ペンと指のタッチを組み合わせることで、「データへのアクセスやドラッグアンドドロップなどを、リアルと同じ感覚で操作できるマルチタッチ機能のような直感的なインタフェースの部分に関心が移ってきている」とみている。さらに、「PCはコモディティ化が進んでおり、どこに便利さを見出せるかが重要になっている」と分析する。

 もともとタッチセンサーシステムは、病院のカルテ入力や学校の授業での図形作成などの特定用途が中心で、コンシューマPC向けはほとんどなかった。タッチ機能自体はOSが「XP」の時代から搭載している。ただ、ペン操作のためにはマイクロソフトからライセンスを購入する必要があった。

 また「Vista」ではペン操作に対応しても、マイクロソフトは「セキュリティにフォーカスしていた」(嘉本・執行役員)ため、話題にならなかった経緯がある。今回初めて「Windows 7」でマルチタッチ機能が大々的に取り上げられたのも、マイクロソフトの戦略によるところが大きい。嘉本・執行役員は「マイクロソフトはマルチタッチ機能のプロモーションに非常に力を入れている。Windows 7の発売で一気に盛り上がった」と語る。

 ネットブックなどの分野でも「メーカーから声がかかっている」(嘉本・執行役員)と明かす。「すでに乗り出す用意はある」と新事業の開拓に意欲を示している。(信澤健太)