・(上)から読む 地上デジタル放送への完全移行期限が迫るとともに、エコポイントが追い風となって、薄型テレビの買い替えが本格化している。しかし一方で、「『どれを買えばいいのかわからない』という人が増えてきている」(石丸電気本店・飯田雄フロア長)という面もある。
高画質化、高機能化が進み、省エネ性能も向上、価格もこなれてきたが、薄型テレビは決して安い買い物ではない。デジタル機器やメーカーにこだわりをもたない人が、多くの製品をみて選択に迷うのは当然のことだ。そんななかで、「『LEDは、省エネ』と紐づけされているお客さんが多い」(同)ことから、LED採用テレビの投入がきっかけとなり、販売トークに結びつけやすくなったようだ。
トークのきっかけとなっているのは、テレビCMなどで認知度が拡大したシャープの「LED AQUOS」だ。東芝やソニーの高級機種の一部にもLEDを採用した液晶テレビがあることは、あまり知られていない様子。「驚く人が多い」(飯田フロア長)という。この連載上・中で触れたように、「LED AQUOS」の人気が高まったのは、エントリーモデルの価格にプラスアルファで買える価格帯を打ち出したことが大きい。
そんななか、低価格を強みとするデジタル家電メーカーが、バックライトにLEDを採用した液晶テレビの発売に乗り出した。ダイナコネクティブは、09年12月24日に、LED採用液晶テレビの第一弾を発売。ハローキティの顔形を採用した13.3V型で、サンリオと共同企画した。LEDを採用することで、筐体の軽量化、省エネ性能を確保し、「遊び心と実用性を兼ね備えた」(ダイナコネクティブの担当者)という。
同製品を販売している石丸電気本店では、「購入者は、女性が中心で、男性がプレゼントとして購入することもある」という。LEDバックライトを搭載していることが購入の第一条件ではなさそうだ。ダイナコネクティブでも、ハローキティデザインについては「ユーザーは、限られた人々になる」とみているが、今後は、通常のモデルにもLEDを採用していく方針で、「安くて、省エネ性能も高い製品」の投入に意欲を示している。
テレビのエネルギー消費効率を向上させるためにLEDは絶好の材料で、「コストが下がっていけば、液晶テレビのバックライトがLEDになっていくのは自然の流れ」と、大手テレビメーカー関係者は言う。ネックとなっているコスト面をクリアすれば、採用するメーカーが増えてくることは間違いない。

ハローキティの顔形をした13.3V型液晶テレビ。バックライトにLEDを採用している。写真は、石丸電気本店(東京都千代田区)2階の映像フロア