店頭販売奮闘記

【店頭販売奮闘記】キングソフト(前編) 店舗にセールストークを提案

2010/06/24 18:45

週刊BCN 2010年06月21日vol.1338掲載

 このコーナーでは、店頭販売に注力するメーカーの販売第一線の動きを紹介する。(前編)では各社の販売戦略や体制を、(後編)では現場の奮闘ぶりを追う。

瀬沼悠
営業マーケティング部
部長代行
 統合オフィスソフト「KINGSOFT Office」を中心に、セキュリティや辞書ソフトを展開するキングソフト。店舗への営業活動に力を注ぎ、ゼロに近かった「KINGSOFT Office」の販売台数シェアを、わずか2年で30%以上(BCNランキング「統合ソフト」2010年5月)にまで伸ばした。「Office」の雄、マイクロソフトを相手にして、堂々の戦いぶりだ。

 家電量販店への積極的な営業活動の陣頭指揮を執ったのが、営業マーケティング部の瀬沼悠部長代行。「当初は、大型店舗でも1~2本しか置いていない状況だった」という。しかし、低価格ながら「Microsoft Office」との互換性が高いという自社製品には自信がある。まず、お店に置いてもらうためには、量販店の営業本部だけでなく、直接店舗の担当者に説明することが効果的だと考えた。そして、営業マーケティング部の総力を挙げて、一斉に全国の店舗ラウンディングを開始。

 追い風も吹いた。08年は、ネットブックなどの低価格端末の売れ始めていた時期。これが、店舗への「KINGSOFT Office」の提案を後押しした。「ネットブックなどは、オフィスソフトをプリインストールしていないことが多い。そこで、『一緒に買うソフトは、高価なものより価格の安いものが最適だ』と店舗に訴えた」(瀬沼部長代行)という。店員に向けて、「KINGSOFT Office」のセールストークを提案する勉強会を開いたり、「Microsoft Office」との互換性がひと目で分かる資料を作成したりすることで、店員がお客に自社製品をすすめることを促した。

 売り場では、特別な展示台などは用意しないが、「KINGSOFT Office」をプリインストールしたデモPCを設置。お客様に、実際に製品を体験してもらうと同時に、同社自身の認知度向上も狙う。瀬沼部長代行は、「お客様の間には、まだオフィスソフト=マイクロソフトというイメージが強い。製品を販売するのと同時に、われわれの認知度を上げていくことが重要だ」と語る。(ゼンフ ミシャ)
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