これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「メンタルヘルステクノロジーズ・刀禰真之介社長」を取材しました。
心身の健康が不可欠
経営者の仕事には新しい商材やサービスの開発などがあるが、中でも重要なことは「社員一人当たりの売上総利益を意識すること」だと語る。一人当たりの生産性を上げられれば社員に還元できるからだ。
そのためには、まず社員の心身の健康が不可欠と指摘する。
日本の企業の多くは、社員のエンゲージメントが低いと言われている。働き方改革などで社会が変化するにつれて、社員の健康は保ちにくくなりつつあるとみており、「社員が生き生きと働ける環境をつくる」ことの重要性を説く。
現場と産業医のギャップ
かつて勤務していた職場で同僚が体調を崩し産業医の診察を受けていた。そのとき、なかなか回復できない同僚と産業医の対応を見て、違和感を覚えた。
職場の環境を良好に保つのは産業医の仕事だと考える一方で、職場が常に変化することを理解しきれていない産業医もいる。「こうしたギャップを解決し、健康経営の考え方を広めたい」との思いから、前向きに課題を解決できる産業医と企業をつなぎ合わせる事業を立ち上げた。
アジアに進出する
健康経営は、現場で働く社員には受け入れられやすい一方で、経営者には理解されづらい面がある。経営者には「健康経営に投資することで、どのようなメリットがあるのか」を説明し、理解を促してきた。
「日本の人事、経営者にデファクトスタンダードとして認知されることを目指す」を目標に掲げ、その先には「アジアに展開できるヘルステックカンパニー」を見据える。国の壁を越え、誰もが健康的に働ける世の中の実現に向け、挑戦は続く。
プロフィール
刀禰真之介
1979年生まれ、神奈川県出身。明治大学政治経済学部卒業後、2002年デトロイトトーマツコンサルティング入社。その後、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、環境エネルギー投資を経て、11年にMiew(現メンタルヘルステクノロジーズ)を創業。
会社紹介
「ウェルビーイングのスタンダードを創る」をビジョンとし、会社を通さずに専門医に健康相談ができる「ELPIS-ケアーズLite」など、企業の健康経営を促進するためのサービス「産業医クラウド」を展開する。