これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「Linc・仲思遥代表取締役・CEO」を取材しました。
外国人材の定着に焦点
社名の「Linc」は日本と海外の人々をつなぐ「Link」に加え、包容力がある社会にしたいとの思いから「Inclusion」の頭3文字を組み合わせて名付けた。多様性を尊重するとともに、一人一人の個性が配慮された社会を目指したいとの信念を込めている。
自社が提供する採用管理プラットフォームは「単に企業と外国人材のマッチングをやりたいわけではない」。重視しているのは、「定着を支援する」ことだ。「外国人材は母国を離れた瞬間に信用がリセットされ、賃貸契約やクレジットカードの申請など、必要なサービスを受けられないことがある」。人柄やこれまで培ってきた能力、ビザ申請に必要な書類などをデータ化し、「信用を可視化」することで、「一人一人の外国人に、日本社会での住みやすさをつくり出したい」と話す。
勤勉な謙虚さを持つ
社員には「勤勉さや、謙虚さをさを心掛けよう」と呼び掛けている。何かを学び続けることは「自分がいかに無知であるかを自覚することにも等しい」。ただ、分からない中でも、誠実に正しさを追い求める姿勢をとり続けた人だけが、世の中を変革する糸口をつかめる。
この考え方は自身でも大事にしているといい、「幼少期に言語が通じないままに日本に来て、嫌でも自分を客観的に見る機会が多かった」と振り返る。そうした中、自分に何ができ、できないかを見極めながら強みを磨き続けたことが「成功への小さな奇跡をつかむ」きっかけになってきたと信じる。
共感してもらえる仲間を増やす
6歳の時、初めて日本に来た際に見た日本の町並みや、日本文化に触れたときの感動は今も忘れていない。外国人に「日本を好きになってもらいたい」との思いが原動力なっている。
今後は自社の力だけではなく、「自社に共感する仲間づくりが重要になる」と話す。自社のデータベースを活用して外国人材に与信を与える金融機関など、ユーザーのライフスタイルを支えるパートナーとの協業を目指す。
「日本に来て良かったという思いを最大化できる」社会を目指して挑戦を止めない。
プロフィール
仲 思遥
中国出身。高校卒業後に日本へ留学。慶應義塾大学法学部卒業後に、野村證券の投資銀行部門で国内外のIT業界におけるM&Aや資金調達業務に従事。2016年にLincを創業。
会社紹介
外国人材向けの採用管理プラットフォーム「Global Hub」や、中華圏出身学生向けに日本語や国内の文化を学べるeラーニングサービス「Linc Study」を開発・運営する。