これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「iDea・佐々木翔太CEO」を取材しました。
ITの“何でも屋”
大学時代のアルバイト先や寮でITツールの導入を率先して担い、感謝されたときに喜びを感じた。「自分のスキルが仕事になる」。卒業後は大学院に進学するつもりだったが、4年生の時、卒業を待たずに起業した。
企業に伴走し、経営課題解決を支援する道を選んだ。開発を学んでツールも構築できるが、商材にはこだわらない。経営者に困りごとを聞き、既存のサービスで事足りる場合はその活用をサポートする。あくまで「お客様のためになっているか」が基準。解決策を選択することをモットーに、ITの“何でも屋”を標榜する。
地方ならではのトライ&エラー
東京と函館を拠点にしているが、都会と地方の差を痛感する。函館近郊の果樹園で注文受付システムを提案すると、電話やファクスで注文している顧客が対応できないため導入を見送ることに。ITへの理解や許容度から、「地方の壁は厚い」と思う。
ただ、地方だから得られたものもある。函館朝市の水産小売店で購買情報を蓄積するための接客記録用のインカムを検討した際は、潮風による影響を考えて断念した。代わりにスマートフォンで動作するチャットボットを作成。多言語対応によって外国人観光客の接客がスムーズになった。地域に根差した課題解決が経験でき、トライ&エラーも財産になっている。
起業を通じた自己実現
自身の経験を広めようと、後輩の学生に声をかけ、企業の経営課題をテーマにしたハッカソンを開催している。学生は解決策を考えながら得意分野を伸ばすことができる。企業側も柔軟な発想の取り込みや、若年層とのつながりというメリットがある。実現できるアイデアは自社のリソースを生かして導入支援する。このフレームワークを全国で実践する構想だ。
スキルが社会の役に立ち、誰かの助けになることが出発点だった。今は「起業を通じて自己実現している」と実感する。自身の成長と社会に新たな価値を生み出すため、歩みを続ける。
プロフィール
佐々木翔太
2000年生まれ、札幌市出身。公立はこだて未来大学システム情報科学部に在学しながら24年にiDeaを起業。現在は休学中で、函館と東京の2拠点で企業の経営課題解決に向けたIT導入支援に従事する。
会社紹介
クライアント企業ごとにカスタマイズしたAIモデルを提供する。函館では地場企業の経営課題をテーマに、大学生がアイデアを競うハッカソンを企画している。