その他
4月、税理士法改正へ 会計のIT化が加速
2002/01/14 15:00
週刊BCN 2002年01月14日vol.924掲載
2002年、中小企業の会計処理とコンピュータの関係は大きく変化することになるだろう。(三浦優子●取材・文)
日本の中小企業の会計処理は、公認会計士・税理士が担っている。企業の会計システムのIT化に関しても、会計士・税理士とどう連動していくのかが重要な焦点となってきた。
かつて、企業の会計システムをコンピュータ化することに対し、「ずっと会計士・税理士が担当してきた企業の確定申告のための収支計算業務を奪う敵」と見なされてきた時代があった。
しかし、進歩的な考え方をもつ会計士・税理士は、「収支計算はコンピュータに任せ、むしろそのデータを元にしたコンサルティング業務を行うことこそ、会計士・税理士がなすべき仕事」と、会計処理のコンピュータ化を歓迎し、上手に活用している。02年以降、この流れがさらに加速化していくことになるだろう。
その第1の要因は、今年4月に施行される税理士法の改正だ。20年ぶりの法改正で、税理士の法人化が認められる。これによって、外資系の大手会計事務所の日本上陸、金融機関など他業種からの参入などが予測されており、会計士・税理士の世界が大きく変わっていくことになる。
すでにここ数年、エフアンドエムに代表される低価格で記帳代行を行う業者の台頭で、会計士・税理士の業界では「単純な記帳代行だけを業務にしているのでは、将来は危うい」との危機感が生じていた。
記帳代行を行う業者はいずれも低価格で業務を行うため、記帳だけで十分と考える中小企業は、こうした代行業者に流れると見られている。
そこに税理士法の改正で、大手、異業種からもライバルが続々登場してくることになると、上からも下からも競合が現れる。会計業務をコンピュータ化した企業は顧客にならないと考えるどころか、コンピュータを積極的に活用し、「コンサルティング業務を望む企業を積極的に顧客にしていこう」という声さえ起こっているのである。間違いなく、「企業が自社の会計業務をコンピュータ化していくことは、会計士・税理士の敵」という考え方はなくなっていくだろう。
さらにそれを助長するのが、現在実験が進んでいる電子申告である。
03年の導入に向けて、現在準備が着々と進められている。こうなってくると、会計業務のIT化はもはや避けて通れない。企業の大小を問わず対応を迫られていくことになるだろう。
しかも大手企業にとっては、単純に会計システムをIT化するだけでなく、さらに活用していくことが求められている。
今年4月から、株式を上場・公開している企業は、決算公告を自社のホームページで実施できるようになる。
すでにPCAでは、会計システムのデータをHTML出力できる機能を商品に付加しており、会計データをXML化することへの取り組みも開始している。
同社で開発を担当する水谷学常務は、米国のeXtensible Business Repor ting Languageの日本組織「XBRL Japan(エックス・ビー・アール・エル・ジャパン)」において積極的に活動し、XMLの会計用拡張として、有価証券報告書など財務報告の辞書となるタクソノミー(Taxonomy)の日本版作りを進めている。
これが完成すれば、有価証券報告書のデータの日英バイリンガル化などが一瞬で行えるようになるなど、会計データの活用方法が大きく変わっていくことになる。
水谷常務は、「これまで紙で提供されていた時には、パソコンで活用するためにデータを再入力しなければならなかった。XML化されて公開されれば、分析などの目的で再利用が急速に進んでいく」と話す。
そのうえで「将来的には、これまで人の手を介して行われていた会計データ処理の多くが無人化されて、自動処理されていくことになるだろう」と見通す。もはや企業の会計とコンピュータは、切り離せない関係になりつつある。
メーカーにとっても、販社にとっても会計関連はこれまで以上に大きなマーケットになっていくことは間違いない。
2002年、中小企業の会計処理とコンピュータの関係は大きく変化することになるだろう。(三浦優子●取材・文)
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