その他
<先端セキュリティ 特別インタビュー(下)>サイバーテロリズムとは何か
2002/02/11 15:00
週刊BCN 2002年02月11日vol.928掲載
本でもサイバーテロに注目が集まっている。昨年の米同時多発テロの影響で、「サイバーの世界でも大きなテロが起こるのではないか」と、多くの人が疑心暗鬼だ。米シマンテックコーポレーションのローレンス・D・ディエッツマーケティングインテリジェンスディレクターは、米国陸軍大佐として勤務した経験もあるだけに、サイバーテロリズムとはどういうものかを明確に答える。(三浦優子)
ローレンス・D・ディエッツ氏
米シマンテックコーポレーション マーケティングインテリジェンスディレクター
──日本で「サイバーテロリズム」ということばが話題になっている。このサイバーテロは、どういうものだと定義しているのか。
ディエッツ氏 コンピュータシステムに攻撃を仕掛けてくる相手は、(1)バンダルと呼ばれる、とにかくコンピュータセキュリティの攻撃をしたいと考える人物、(2)犯罪者、(3)政府に対して攻撃をしかける者、(4)テロリストの4種類だ。4者とも、ハッキング、脆弱性をつく、ウイルスやワームを送りつけるという点は共通しているが、攻撃の対象や目的が異なる。
(1)のとにかくコンピュータシステムに攻撃をしたいと考える者はウェブサイトに攻撃をしかけることが目的。金銭を取るということは目的としていない。一種の愉快犯的なところがある。
ところが、犯罪者は金銭を獲得するのを目的として攻撃をしかけてくるので、攻撃対象となるのも金銭に関わっているサイトや、情報に攻撃をしかけてくる。2000年から01年にかけて、もっとも増加したのがこの犯罪目的の攻撃だ。
政府へ攻撃をしかける者は、どんな結果を求めてくるのかによって標的も違ってくる。金銭というよりは、情報戦争というのか、政治的、戦術的な理由で、相手よりも優位に立つことを目的として攻撃をしかけてくる。
そしてサイバーテロだが、これは日常生活できわめて重要なインフラとなっている部分へ攻撃をしかけ、攻撃を受けた側が大きなダメージを被ることが狙いだ。また、テレビやマスコミで取り上げられるような騒ぎを起こすのが目的だ。
ハッキングはダメージが大きな攻撃だが、特定の相手のみが被害を受けるので非常にクローズな環境でのダメージ。サイバーテロが狙うのは不特定多数で、もっとインパクトがあるものだ。
例えば、銀行の本店を破壊して、人々がパニックになってATMに駆けつけ、預金を下ろし始めるといった状態を望んで攻撃をしけてくる。単に攻撃がしたいと考えている者に比べると、社会的な問題となるような大きな騒ぎを起こそうとしている。
テロリストが起こしたわけではないが、Y2K問題でライフラインを司るコンピュータにトラブルが起きるのではないかと多くの人が心配したが、あれこそまさにテロリストが望む状態だといえるのではないか。
──情報戦争とサイバーテロとの違いとは。
ディエッツ氏 戦争は国対国の戦いだが、テロは個人対国という図式もあり得る。コソボ問題について、NATOの公式サイトに対してアルバニアの反対勢力がきわめて類似したアドレスで正反対の内容のサイトをオープンした。これなど本家NATOサイトの名誉失墜を狙ったもので、サイバーテロとはどんなものなのかを示す例といえるのではないか。
──米国では2000年9月11日にテロ事件が起こったわけだが、日本ではあの事件以降コンピュータセキュリティに対する関心が高まったといわれている。9月11日以前と以降では、コンピュータセキュリティに対する状況も変わったのか。
ディエッツ氏 米国ではサイバーな世界でのテロリズムよりも、現実世界で行われるテロへの関心と恐怖が高まることとなった。
──9月11日の直後、悪質なワームが出てきた。これは現実のテロと関連して出てきたのではないかという不安もあったようだが。
ディエッツ氏 ワームを作ったのがテロリストだったかどうかは別にして、人々に恐怖心を植えつけてパニックにするという目的を果たしたわけだから、テロリストとしては満足すべき成果となったのかもしれない。非常に残念なことだ。
そういう恐怖心をなくすために、我々のソフトを活用してもらいたい。
無闇にパニックになるのはテロリストの思うつぼだ。セキュリティ対策を万全とすることで、テロリストにつけこまれる隙をなくしてもらいたい。
本でもサイバーテロに注目が集まっている。昨年の米同時多発テロの影響で、「サイバーの世界でも大きなテロが起こるのではないか」と、多くの人が疑心暗鬼だ。米シマンテックコーポレーションのローレンス・D・ディエッツマーケティングインテリジェンスディレクターは、米国陸軍大佐として勤務した経験もあるだけに、サイバーテロリズムとはどういうものかを明確に答える。(三浦優子)
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