その他
IBMの新クライアントパソコン戦略 「Think」ストラテジーとは
2002/11/18 21:12
週刊BCN 2002年11月18日vol.966掲載
日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は、クライアントパソコンの新たな戦略として「Thinkストラテジー」を明らかにした。昨年秋、コンシューマパソコン分野からの撤退を発表、ビジネス分野への特化戦略を明らかにした同社だが、今回の新たな方針では、コストパフォーマンス追求のデルコンピュータに対して、付加価値を前面に打ち出したクライアントパソコン戦略を鮮明にしたともいえる。そのキーワードは、「Think Vantage(シンク・バンテージ)」。新戦略の狙いを追った(大河原克行●取材/文)。
パソコン事業を付加価値型へ
Think Vantageは、日本IBMが同社の重要なキーワードのひとつとして掲げている「Think」と、優位性を意味する「Advantage」を組み合わせた造語だ。「自律型(オートノミック)コンピューティング時代にフォーカスした日本IBMの考えるTCOを実現する新しいクライアントパソコン技術」をThink Vantageと位置づける。
オートノミックコンピューティングとは、eServer製品群で同社が取り組んでいるもので、今年10月まではプロジェクト・イライザと呼ばれていた。人手を介さない運用管理でTCOの削減を行うのが基本的な考え方だ。自己構成、自己修復、自己最適化、自己防衛という4つの観点から実現され、メインフレームのzシリーズや、ミッドレンジのiシリーズ(旧AS/400)の代表的な機能と位置づけられているロジカルパーティショニング(LPAR)技術は、オートノミックコンピューテイングを具現化したひとつの例といえる。
一方、先頃発表されたノーツ/ドミノ6にも、オートノミックコンピューティングの考え方が反映されており、ソフト製品まで波及している。 そして、今回のThinkストラテジーによって、それがクライアントパソコンにまで広がるというわけだ。
具体的には、既存のパソコンから新たなパソコンに移行する際に、ユーザー設定やネットワーク設定、データなどを簡単に移行できる「System Mig ration Assistant」、障害発生時にあらかじめ設定しておいた状態にハードディスクの内容を復旧する「Rapid Restore PC」などがそれにあたる。 また、今回の方針発表にともなって、クライアントパソコン事業のすべてのブランドをThinkの名のもとに統一した。中核となるThinkPadはそのままに、デスクトップパソコンのNetVistaをThinkCentreにリブランディング。さらに、TFT液晶製品をThinkVisionに、パソコン関連アクセサリー製品およびサービスを「Think」というブランドとした。
パソコン事業の収益性を高める
今回のThinkストラテジーは、企業分野に特化したIBMのパソコン事業戦略をより明確なものにしたといえる。
日本IBMの橋本孝之取締役は、「トータルソリューションを提供する日本IBMにとって、エンドデバイスとなるクライアントパソコンも、当然それを視野を入れたものになる。クライアントパソコンの製品戦略をトータルソリューションを捉えたものへと変え、価格追求型のメーカーとは軸足が異なることを訴えたい」とコメントする。
企業の総ITコストの80%は運用、管理、保守といわれ、導入段階におけるクライアントパソコン単体の価格が安くても、それはわずか20%でしかない、と橋本取締役は訴える。企業が本当の意味でTCO削減を目指すならば、オートノミックコンピューティングによって運用管理コストの削減を図る方がメリットがあるというのがIBMの狙いといえる。
昨年から今年にかけて、パソコン事業の軸足を企業向けに移した日本IBMは、今回の戦略によって、付加価値型へと完全シフトすることを明らかにした。
「フォーカスした分野でシェアを高めればいい」という日本IBMのターゲットがより明確になったといえる。言い換えれば、この製品戦略こそが、同社のパソコン事業の収益性を高めるには最大の近道といえそうだ。
日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は、クライアントパソコンの新たな戦略として「Thinkストラテジー」を明らかにした。昨年秋、コンシューマパソコン分野からの撤退を発表、ビジネス分野への特化戦略を明らかにした同社だが、今回の新たな方針では、コストパフォーマンス追求のデルコンピュータに対して、付加価値を前面に打ち出したクライアントパソコン戦略を鮮明にしたともいえる。そのキーワードは、「Think Vantage(シンク・バンテージ)」。新戦略の狙いを追った(大河原克行●取材/文)。
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