その他
日本IBM 復権目指す「DB2」
2003/09/01 21:12
週刊BCN 2003年09月01日vol.1004掲載
日本アイ・ビー・エム(日本IBM、大歳卓麻社長)は、同社のソフトウェア製品群で唯一シェアが低迷するデータベースソフト「DB2」の戦略強化に乗り出した。5月にSMB(中堅・中小企業)市場に向け廉価版を出荷開始したほか、9月からは大手パソコンソフトディストリビュータとフェアを全国で開催し、DB2を扱う2次店を発掘し裾野の拡大を図る。DB2とシステム連係する同社の他のソフト製品群が好調に推移しており、相乗効果でDB2を選択する企業も増えている。新戦略を機に、他の大手データベースベンダーの追撃を加速する。
SMB市場と2次店を開拓へ
同社はDB2の拡販で、大手ディストリビュータを積極的に活用する。9月からは、5月に組織化した販売パートナー「VAD(バリュー・アデッド・ディストリビュータ)」5社のうち、ソフトバンクBB、キヤノン販売、ダイワボウ情報システム(DiS)、コンピュータウェーブ(CW)の4社と共催で、「オープン・ソリューション・フェア2003」を全国展開する。SMB市場向けソリューションを提案し、DB2を扱う2次店を開拓する。
フェアでは、日本IBMがISV(独立系ソフトベンダー)の持つノウハウを生かして新たなソリューションを構築するために組織化した「VAP(バリュー・アデット・パートナー)」とも連係。VAP登録企業が保有する顧客分析ツールや会計ソフト、グループウェアなどのブロードバンド対応製品と、「DB2」を組み合わせたソリューションを2次店に例示していく計画だ。
これまでDB2は、「高価で中小企業に手の届くシステムではなかった」(中堅システム販社)というのが大方の見方だ。これに対し日本IBMは、6月下旬からSMB市場向けに10万円台の低価格で「DB2 Universal Express Edition V8.1(DB2 UDB)」の出荷を開始。廉価版DB2でSMB市場を本格的に開拓し、データベース市場で地位確立を狙う戦略を打ち出した。
中川いち朗・ソフトウェア事業インフォメーション・マネジメント事業部長は、「中堅市場でシェアを持つマイクロソフトのデータベースをライバル視する段階に来た」強調する。
現在DB2は、国内のデータベース市場では、10%程度のシェアで推移。同社のミドルウェア製品群である「ウェブスフィア」、「ロータス」、「チボリ」が、それぞれの分野でトップシェアを堅持する中で、DB2だけが後塵を拝している。
これは、「国内の中堅・大手システムインテグレータの大半が、オラクル製品を扱っている」(大手システム販社)のが1つの要因。こうした状況を受け日本IBMは、「DB2 UDB」を販売するIT企業を積極的に勧誘し始め、支援サービスが受けられる「DB2パートナーズクラブ」への登録を働きかけている。同クラブへの登録は、早くも日本オラクルにある同様の制度の会員数に迫る勢いだという。
5月には、パートナー企業がオープン環境でDB2などの稼動検証ができる施設「コンピテンシー・センター(CoC)」(東京都中央区)を開設。「CoC利用者にDB2のソースコードを積極的に公開し、技術サポートをする中で、当社の技術者認定制度『DB2グローバルマスター(現在約1万人)』の有資格者を養成している」(中川事業部長)。不足気味のDB2技術者の“質と量”を高めることで、「オラクルマスター」に匹敵するエンジニア層の拡充を目指している。
DB2を除く同社のミドルウェア製品群は、自社技術にこだわる方針を捨て、オープンプラットフォーム戦略に転換したことで高いシェアを維持するようになった。DB2と連係する“強いミドルウェア”を持っていることの優位性は高く、新たなパートナー戦略が定着すれば、他のデータベースベンダーを脅かすことは間違いなさそうだ。
日本アイ・ビー・エム(日本IBM、大歳卓麻社長)は、同社のソフトウェア製品群で唯一シェアが低迷するデータベースソフト「DB2」の戦略強化に乗り出した。5月にSMB(中堅・中小企業)市場に向け廉価版を出荷開始したほか、9月からは大手パソコンソフトディストリビュータとフェアを全国で開催し、DB2を扱う2次店を発掘し裾野の拡大を図る。DB2とシステム連係する同社の他のソフト製品群が好調に推移しており、相乗効果でDB2を選択する企業も増えている。新戦略を機に、他の大手データベースベンダーの追撃を加速する。
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