その他
ビックカメラ、東海地区に進出 JR名古屋駅前にオープン
2003/11/17 21:12
週刊BCN 2003年11月17日vol.1015掲載
ビックカメラ名古屋駅西店が11月7日にオープンした。売場面積・商品数ともに東海地区最大級の規模となる。ビックカメラにとって東海地区に進出するのはこれが初めて。固定客を確保するために、首都圏をイメージした店舗に仕上げ、地元企業のテナント出店や従業員の約8割を地元で採用するなど、名古屋駅周辺の商業地区に配慮した店舗作りだ。ビックカメラの進出により、名古屋の情報家電販売競争がヒートアップすることは確実。新規参入のビックカメラが主導権を握るには、地域密着型を目指して地元に定着することが必須となる。(佐相彰彦●取材/文)
販売競争がヒートアップ
■東海地区で最大級の規模、オープン初日は15万人が来店
ビックカメラ名古屋駅西店は、JR名古屋駅の西側大閣通口にあった「生活倉庫名古屋駅店」の跡地に店舗を構える。同社にとっては全国で20店目、東海地区では初めての店舗となる。
売り場面積は、地下1階から地上6階まで合わせて1万5389平方メートル。これは同社の札幌店、大阪のなんば店に次ぐ3番目の広さとなる。商品数は約50万アイテム。競合する店舗に比べて品揃えも広さも最大級と、東海地区への初出店だけにその意欲も半端ではない。オープン初日は、開店前に約3000人が行列を作り、その日の来店者数が予想を上回る15万人、売上高が3億円に達した。
商圏は、東が愛知県豊田市、西が三重県四日市市、北が岐阜県の大垣市と多治見市までを想定。愛知県の豊橋市や三重県の津市などからの来店も見込んでいる。駅前という鉄道を利用する人向けには好立地条件の反面、車で訪れる場合には、ビルの中に駐車場がないことから、周辺21か所に3000台分の提携駐車場を確保した。
地下1階は、銀塩カメラとデジタルカメラ、写真用品、DPE、酒類、セミナー教室などがあり、地上1階がデジカメ、電話機/ファクス、携帯電話、ゲーム、DVD/CD、2階でテレビやDVDなどビジュアル機器、オーディオ、デジタルビデオカメラ、時計、ホームシアターを販売する。
3階部分は、パソコン周辺機器やサプライ商品、中古パソコン、ゴルフ用品、テニス用品、自転車を置き、ゴルフクラブの試打室も設けた。
4階では、パソコンとプリンタ、スキャナを取り扱っており、「パソコン何でもご相談カウンター」や「インターネット受付カウンター」、「法人ご相談カウンター」や「ローンカウンター」を設置。個人だけでなく企業も顧客として獲得していく。
5階は、家電機器や寝具、玩具などファミリー層を狙ったフロアとし、「まとめ買いカウンター」、「修理・特注品お渡しカウンター」、「ラッピングカウンター」がある。6階は、書店の「ヴィレッジヴァンガード」、リラクゼーションスポットの「コリとりステーション」、シルバーアクセサリーとレザー用品の販売店「ams.」とテナントが入居。テナントは、地下1階のアミューズメントスポット「Zippy」、2階にジェラートと生ジュースを販売する「ラケーリカフェ」、4階でカジュアルシューズショップ「ASBEE」などが出店している。
オープン前の記者会見で、行方伸介店長は、「オープン時は約3万人の来店を見込む。そのうち2万人が商品を購入し、その日で約1億円の売上高ではないか」とみていた。しかし、その予想を遥かに上回る売上実績と来店者数を記録。オープン後最初の土日だけで売上高5億5000万円、来店者数は25万人となり、幸先の良いスタートを切った。この勢いで、初年度の売上高は約100億円を見込んでいる。
■固定客を確保するため「名古屋密着型」を目指す
ビックカメラにとって、名古屋駅西店は東海地区初の出店とあって、いかに地元住民を固定客として確保できるかが重要となってくる。「ビックポイントカード」については、初年度で20万件の新規加入を獲得する計画で、リピート率向上にかなり力を入れている。
というのも、名古屋地区の2大商業地は名古屋駅周辺と栄周辺。なかでも名古屋駅を中心とした地域は、歴史的に東口にあたる桜通口を中心に発展しており、人の流れは「東」を中心に動いている。名古屋駅西店がオープンした西側の太閤通口の集客力をどれだけ向上させるかもカギとなってくる。
そのため、今回の出店では名古屋の地域特性に配慮した店舗作りに力を入れたという。
店舗オープン時に異業種のテナントショップを入れたのは、ビックカメラとして初めて。しかも、地元企業がテナント出店している。
従業員約320人のうち約260人を地元で採用した。行方店長は名古屋近隣の三重県津市の出身。「学生時代に買い物に出かける場所は、ほとんどが名古屋だった」と言うほど、名古屋駅周辺を知っている。しかも、池袋本店や有楽町店など大型店舗の店長を務めた経験も持つ。
行方店長は、「首都圏と同様のフロア作りを心がけ、そのなかで従業員とともに名古屋に適した店舗を目指す」と、地域密着型を強調する。
名古屋地区には、日本の三大電気街の1つである大須電気街が情報家電分野で知られている。大須周辺には郊外型量販店が進出しているが、東京・秋葉原電気街が新宿地区や有楽町地区、大阪・日本橋電気街が梅田地区によって少なからずダメージを受けていることと比較して落ち込みが少ないといわれる。
電気街であると同時に、大須観音や万松寺という2つの寺社、若者向けの古着店や古くからの大きな商店街などがあり、老若男女さまざまな層が集まる街でもある。「集客力」という点では衰えていない。
ビックカメラの進出について、地元の最大手家電量販店であるエイデンの岡嶋昇一社長は、「地元企業ならではの強みを生かした戦い方がある。仙台や福岡などでは、地元家電量販店が善戦していると聞いている」と、相手にとって不足はないとの口振り。しかし、「影響があるのは確か。社内にも危機感が出ている。社員がこれまで以上に知恵を絞っており、年末商戦は善戦できるだろう。確実に前年同期を上回る」と自信を見せる。
今後は、名古屋の情報家電市場の主導権争いが一層激化することは間違いない。これまで東海エリアで知名度がほとんどなかったビックカメラ。「名古屋密着型」をアピールすることが主導権獲得のカギになる。
ビックカメラ名古屋駅西店が11月7日にオープンした。売場面積・商品数ともに東海地区最大級の規模となる。ビックカメラにとって東海地区に進出するのはこれが初めて。固定客を確保するために、首都圏をイメージした店舗に仕上げ、地元企業のテナント出店や従業員の約8割を地元で採用するなど、名古屋駅周辺の商業地区に配慮した店舗作りだ。ビックカメラの進出により、名古屋の情報家電販売競争がヒートアップすることは確実。新規参入のビックカメラが主導権を握るには、地域密着型を目指して地元に定着することが必須となる。(佐相彰彦●取材/文)
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