NEC（金杉明信社長）は、中国にあるソリューション事業各社を再編し、中国市場に向けた販売力を強化する。7月末をめどにソリューション事業会社を統括する「NECソリューションズ（中国）」（仮称）を設立し、プラットフォームやシステムインテグレーションビジネスの統合運用を始める。プラットフォームとソリューションを一体化させることで、4年後の2008年度（09年3月期）までに中国市場向けプラットフォーム、ソリューションの販売で年間1000億円の売り上げを目指す。

　中国国内のIT投資が活発化するなかで、NECはIBMやヒューレット・パッカード（HP）、デルなど米系コンピュータベンダーに大きく出遅れている。急成長しているPCサーバーの販売台数シェアではNECは10位以下と低迷しており、コンピュータメーカーとしてのブランド認知度も低い。これまではブランド力を発揮できる日系企業向けのビジネスが中心だったが、今後はターゲットを外資系企業も含む中国市場全体に拡大することで事業拡大を図る。

　まず第1歩として、中国市場においても日本国内と同様、PCサーバーなどプラットフォームのシェアを高め、その上でシステムインテグレーションなどのソリューションを展開するビジネスモデルを早期に確立させる。プラットフォームのシェアが高まれば、自ずとブランド認知度も高まると見る。

　中国では、これまでソリューションとプラットフォームは別々の会社が事業展開していたが、7月末をめどに設立する新会社、NECソリューションズ（中国）により統合的な運用を始める。社長は現在中国でソリューション事業を担当するNECシステムズインテグレーション（中国）の国嶋矩彦董事長（NEC執行役員常務）が就任すると見られる。

　国内外のプラットフォーム事業を担当するNECの津田芳明・執行役員常務は、プラットフォームとソリューションを「車の両輪のように機能させる」と、メーカー系システムインテグレータであるNECの強みを最大限に引き出したい考え。

　中国へ進出しているNECグループ会社は52社で、昨年度（04年3月期）の売上高は各社全体で約3500億円。主に半導体などの生産工場の売り上げが中心で、プラットフォームとソリューション販売の売上高は80億円弱に過ぎない。新会社のNECソリューションズ（中国）では、中国国内の旺盛なIT投資を追い風に、4年後の08年度（09年3月期）までに売上高1000億円を目指す。

　NECは、ノートパソコンやPCサーバーなどの販売で、中国最大手のディストリビュータであるデジタルチャイナ（神州数碼、郭為総裁兼CEO）と6月29日付で提携。今回のソリューション事業統括会社の設立と合わせて、今後3年以内に中国におけるPCサーバー、ノートパソコンの販売台数シェアで上位5位内への食い込みを狙う。

　NECシステムズインテグレーション（中国）の国嶋董事長は、「さらなるアライアンスの拡大やM＆A（企業の合併・買収）は当然あり得る」と、今後も積極的な投資をしていく考え。

　また、現在中国でプラットフォーム事業を担当するNECインフォメーションシステムズ（上海）の木戸脇雅生董事長は、「中国市場の開拓はファーストプライオリティ」と、今年度のNECの海外戦略で最も重要な位置付けにあると話す。

　統括会社のNECソリューションズ（中国）では、7月末をめどにNECシステムズインテグレーション（中国）、NECインフォメーションシステムズ（上海）の2社に加え、プロジェクタなどビジュアル機器販売などを行うNEC（広州）インフォメーションイクイップメントトレーディング（高山欣也総経理）、中国におけるNECグループ全体を統括するNEC中国（金子肇総裁）のネットワーク機器販売部門の計3事業会社1部門を統合する。