ラオックス（谷口好市社長）が東京・秋葉原電気街にある旗艦店「ザ・コンピュータ館」（東京都千代田区）を大規模にリニューアルした。店内のサービスを強化することで、これまでのビジネスマンを中心としたユーザー層を広げ、パソコン初心者や法人客の来店をあおる。さらに、高性能コンピュータの開発を手がけるビジュアル・テクノロジーとのコラボレーションブースを設置。秋葉原地区の都市開発事業に乗って進出が期待される大学や研究機関も顧客リストに加えていく方針だ。（佐相彰彦●取材／文）

秋葉原再開発も視野に

■競合店に対する優位性を明確化

　10月22日、ラオックスの「ザ・コンピュータ館」がリニューアルオープンした。大規模な改装を実施したのは2001年10月26日以来のこと。リニューアルした理由は、「総合的なパソコン専門店を謳っておきながら、パソコン初級者には敷居が高い店舗とみられていた。また、法人ユーザーにも対応しているにも関わらず、ソリューションのアピールが足りなかった」（山下巌・広報室部長）ため。

　最近では、パソコン専門店や家電量販店が全国各地で出店していることから、秋葉原電気街の優位性が薄れてきた。そのため、「競合店舗との差別化を明確にすることが重要」（同）と判断。これまでは30代のビジネスマンが客層の中心を占めてきたが、リニューアルを機にパソコン初心者や法人客など幅広いユーザーを獲得し、来店者数の増加を狙う。

　オープン初日の来店者数は明らかにしていないが、「通常の来店者数に比べ3割以上は増えた」（木村勝寛店長）と自信をみせる。この勢いで、「1日平均の来店者数を20％程度は引き上げる」方針だ。

　ライバル企業との差別化として主眼を置いたのはサービスの強化。「お客さんにパソコンの最適な活用方法を提案し、買い替えユーザーなど需要を掘り起こす」（木村店長）と、店頭で単に商品を陳列して販売する既存のビジネススタイルを払拭することを強調する。

■業績アップの試金石に

　ザ・コンピュータ館が新しく提供するサービスは、ウイルス感染の診断から駆除まで有料で行う「ウイルスクリニック」や、秋葉原から1キロメートル以内の法人顧客を対象に午後3時までに電話注文を受けた商品（購入金額は3150円以上）をその日に配送費無料で届ける「クイックデリバリー・サービス」、店内にある取扱商品の案内に加え、秋葉原電気街のイベントの紹介や、銀行など近隣施設の道案内を行う「コンシェルジュ」の設置など。

　人の出入りが最も多い1階では、出入り口近くでパソコン周辺機器の週間売り上げランキングを表示、その商品を展示する「ザ・コンTrend」を新設した。また、多種多様なメモリカードを規格や容量などに分けて陳列し、ユーザーが商品を選び、購入しやすいようにした「メモリ・ワールド」を設置。さらに薄型テレビやDVDレコーダーなどデジタルAV（音響・映像）機器の販売など、パソコン初心者でも気軽に来店できるように工夫を凝らした。

　また、法人ユーザーの拡大のために、地下1階部分に法人フロアを開設し、勘定系システムやPOSシステムなどを揃え、POPを活用した用途提案に力を入れている。ほかには、秋葉原地区の都市開発で来年に完成する「ダイビル」に大学や研究機関、ベンチャー企業などが進出してくることを視野に入れ、5階のパソコンコーナーでビジュアル・テクノロジーの高性能サーバーを販売するコーナーも設けた。

　リニューアルによる業績アップについては具体的な数値を公表していない。まずは、「今年初めに設定した売り上げを確実に達成させる」（山下部長）ことが目標とか。

　旗艦店であるザ・コンピュータ館が好調に推移すれば、ラオックス全体の業績が伸びるきっかけになる。