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三洋エプソンイメージングデバイス 東京・大阪にデザインセンター 生産拠点の再編も検討
2004/11/15 15:00
週刊BCN 2004年11月15日vol.1064掲載
セイコーエプソンと三洋電機の液晶事業の統合で10月に発足した三洋エプソンイメージングデバイス(田端輝夫社長)は、中小型液晶ディスプレイの事業強化を目的に本格的な体制整備に乗り出す。カスタム性の高い中小型液晶の顧客対応力を高めるため、東京・大阪にデザインセンターを開設・拡充するほか、コスト競争力と生産性向上を目的に生産拠点の再編を実施する。
顧客対応力を強化
中小型液晶ディスプレイは、携帯機器の画像表示やマンマシンインターフェイスのツールとして需要拡大が続いており、収益性が低下しているパソコン用ディスプレイからの新規参入も予想されている。同社では、特徴ある中小型液晶ディスプレイにより、早期にデジタルカメラ・携帯電話で50%、車載端末で30%のシェア獲得を目指す方針だ。
三洋エプソンイメージングデバイスが当面の課題として強化を目指すのは、顧客となるセットメーカーへの対応力を高める設計部門。同社は、STN、TFD、アモルファスシリコンTFT、低温ポリシリコンTFTの4方式の液晶ディスプレイパネルを持ち、供給能力も高い。しかし、パソコンモニタ用などの標準品と異なり、中小型液晶ディスプレイは製品ごとにセットメーカーの要求する仕様に合わせる必要があるため、カスタム性が高くなる。このため、設計能力が生産能力を下回る状況となっている。
事業統合により、技術者のうちそれぞれが人員を割いていた品質保証などの部門の共通化を図れるため、設計部門に配置転換できる余力が出てくる。同社では、こうした要員のシフトを進めるが、顧客であるセットメーカーにより近い、東京や大阪にも要員を張り付ける必要もあるため、今後は中途採用なども積極的に展開していく方針。
大阪では、三洋電機側がすでに一部の設計要員を都心部に配置し、デザインセンターを立ち上げていた。現状では数10人規模だが、これを100人規模に拡充し、関西に拠点を置くセットメーカーへの対応力を高める。
一方、東京は、これまでは三洋電機の岐阜事業所(岐阜県安八町)とセイコーエプソンの豊科事業所(長野県豊科町)の設計部隊が対応していたが、携帯電話機やデジタルカメラの開発サイクルが短くなっているなかで、デザイン・インでの対応が求められるため、2005年度にデザインセンターを設置する。顧客企業も多いため、将来的には大阪を上回る200人規模のデザインセンターとし、確実に事業機会を獲得できる体制を目指す。
液晶パネルの開発と異なり、設計は半導体技術や回路技術に精通していれば、必ずしも液晶技術の専門知識を有していなくても対応できる。このため、地方では集めきれない技術者も東京・大阪では確保できると見込んでいる。不足していた設計技術者を拡充することで、受注拡大を図れば、生産拠点の稼働率も向上し、収益を高めることも可能になる。
また、これとは別に生産拠点の再編による合理化も図る考え。STNとTFDの2方式の液晶パネルを生産している三洋エプソンイメージングデバイスの松本本社(豊科町)は、今年度でSTNパネルの生産を終え、来年度からはTFDパネルの生産に特化する。STNパネルは、すでにパネルから組み立てまでの一貫生産を行っている中国・蘇州の拠点に集約する。日本国内の中小型液晶ディスプレイは高精細化が進んでおり、STNパネルの需要は相対的に低下している。しかし、海外では依然として携帯電話機などでもSTNパネルの需要は大きい。また、セットメーカーの中国での事業展開が進んでいることもあり、生産を蘇州に集約することで、より効率的な生産体制を整える。これにより、国内もアモルファスと低温ポリシリコンのTFTが鳥取事業所(旧鳥取三洋電機)、TFDが松本本社に集約されるため、技術開発などの面でも効率化が進むものとみられる。
中小型液晶ディスプレイは、携帯電話機やデジタルカメラなどの需要が好調で、同製品を供給するシャープなどでも高い収益をあげている。三洋エプソンイメージングデバイスでも、発足から05年3月までの半年で約2000億円の販売を見込んでいたが、デジタルカメラ市場の伸びが当初予想よりは高くないとみられるため、若干の下方修正を行う見通し。
しかし、グローバルでみた携帯電話機やデジタルカメラの市場は今後も拡大すると予想されるほか、新たな携帯機器や既存の電器製品への組み込みも増加すると考えられている。このため、韓国や台湾の液晶メーカーのなかには、収益性の低下しているパソコンモニタ用などの大型パネルから中小型パネルへの新規参入を検討するメーカーも出始めた。
ただし、顧客ごと、製品ごとのカスタム性が強いため、パソコンモニタ用のように価格競争でシェアを獲得することは困難とみられる。三洋エプソンイメージングデバイスでは、顧客対応力を高めることで、事業機会を確保し、早期に携帯電話機・デジカメで50%、車載端末で30%のシェアを獲得し、同分野のトップメーカーを目指す考えだ。
セイコーエプソンと三洋電機の液晶事業の統合で10月に発足した三洋エプソンイメージングデバイス(田端輝夫社長)は、中小型液晶ディスプレイの事業強化を目的に本格的な体制整備に乗り出す。カスタム性の高い中小型液晶の顧客対応力を高めるため、東京・大阪にデザインセンターを開設・拡充するほか、コスト競争力と生産性向上を目的に生産拠点の再編を実施する。
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