その他
リソースの集中と経営効率化へ 大手ITベンダーに子会社統合の動き
2005/01/03 15:00
週刊BCN 2005年01月03日vol.1070掲載
大手ITベンダーが株式上場しているグループ会社を100%子会社化する動きが出てきた。NECは、今年6月に東京に本社があるNECソフトと大阪が拠点のNECシステムテクノロジー2社を完全子会社にし、NEC本体のビジネスユニットとして再スタートさせることを決め、TOB(株式公開買付け)の実施を決定した。すでに富士通は、昨年10月1日に保守・サービス事業の富士通サポート&サービス(Fsas)を完全子会社化している。これらは、主力子会社を完全に取り込むことで、ソフト開発とサービスの分野で競争力をさらに高めることが狙い。競争激化を視野に入れ、今年も同様の動きが続く可能性が高い。(佐相彰彦、木村剛士●取材/文)
競争力のさらなる強化目指す
■再編でシナジー効果を発揮
NECソフトでは、「(NECシステムテクノロジーとの)再編でシナジー効果を発揮していく」(池原憲二社長)ことを強くアピールしており、「これまでも緩やかな連携はあった。今年6月からは、人材の再配置を含めて、事業基盤を強化でき、NECグループとして最適化が図れる」と、今年に予定される子会社化を、「戦略的な改革だ」と位置づける。ライバル企業も、このNECの戦略を注視している。
NECソフトとNECシステムテクノロジー両社共同で、これまで主力としていなかったパッケージソフトの開発を行い、システムとパッケージの組み合わせでシステムインテグレーション事業を拡大させる。ソフトの受託開発事業では、NECソフトとNECシステムテクノロジーの技術者を合わせることで、「より大きな案件を受注していく」(池原社長)ことを目指す。
NECの完全子会社化での懸念材料は、NEC以外のITベンダーとのアライアンスを組めるかだ。地方では、競合他社の系列にある販売会社と協業して新規顧客を開拓するというケースがある。池原NECソフト社長は、「統合後は、NECグループ全体で企業のアライアンスを考えていく」ことに加え、「子会社だからこそ、さまざまなアライアンスが組みやすく、そのアライアンスがNECグループ全体の協業へと発展する可能性が高い」と明言する。
さらに池原社長は、「中期的になどと悠長なことは言ってられない。来年度中には結果を出す」と言い切る。
■サービス拠点と人員の最適化急ぐ
先例はある。富士通は保守・サービス事業の中核、富士通サポート&サービス(Fsas)を昨年10月1日に完全子会社化した。
Fsasの前山淳次社長は「第2の創業」と2005年を位置づけ、「これまで富士通グループの保守会社の1社として機能していたが、保守パートナーをFsasが統率して、富士通グループの保守ビジネスをFsasが仕切る」方針を決め、それに沿って動き出した。まずは、富士通との連携強化とサービス拠点および人員の最適化を急ぐ。
富士通から、富士通グループの保守サービスを指揮する担当者約500人を転籍させ、コールセンターの運営やカスタマーエンジニア(CE)の教育部門なども富士通からFsasに移管させた。保守事業におけるすべての人員、部門をFsasに集約した格好となる。
しかし、拠点最適化では、保守パートナー会社の拠点も含め約850か所のサービス拠点を、「来年度(06年3月期)までに3分の2まで集約する」(前山社長)ことを余儀なくされており、すでに2地域では拠点の集約を始めた。1月下旬には、東京地区の主要10拠点も本社に統合し、最適化を急ぐ。富士通グループの保守ビジネス体制が、来年度末には一気にスリム化されることになる。
もともと、富士通の保守ビジネス体制は、富士通が保守サービスの窓口となり、富士通からFsasを含めた88社の保守パートナーに命令が下りるスキームだったため、顧客対応の遅れが出る場合もあり、連携不足からグループ内での案件のバッティングも、しばしば発生していた。
上場廃止で、企業としてのブランド価値を下げた面は否定できないが、Fsasは、すべての保守ビジネスを仕切る体制を手にした。コールセンターのスタッフとして、顧客と接するCEを常駐させるなど、現場を知っているからこそ行えるCS(顧客満足度)向上施策も出てきた。
NEC、富士通両グループがコンピュータ事業の主力となる子会社を本体に取り込み、リソースの集中や経営の効率化を図る背景には、グループ内の強みを共有、有効活用できていなかった反省もあるようだ。子会社統合は、少なからず他ベンダーにも影響を与え、膨れ上がった子会社、関連会社の再編・統合が05年の焦点となりそうだ。
大手ITベンダーが株式上場しているグループ会社を100%子会社化する動きが出てきた。NECは、今年6月に東京に本社があるNECソフトと大阪が拠点のNECシステムテクノロジー2社を完全子会社にし、NEC本体のビジネスユニットとして再スタートさせることを決め、TOB(株式公開買付け)の実施を決定した。すでに富士通は、昨年10月1日に保守・サービス事業の富士通サポート&サービス(Fsas)を完全子会社化している。これらは、主力子会社を完全に取り込むことで、ソフト開発とサービスの分野で競争力をさらに高めることが狙い。競争激化を視野に入れ、今年も同様の動きが続く可能性が高い。(佐相彰彦、木村剛士●取材/文)
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