マイクロソフトがITサービスを積極化させている。単にソフトウェアを販売するだけでなく、運用段階を見越したシステム構築の上流、中流、下流のサービスをパッケージ化して、パートナーに提供する予定だ。同社のITサービスの方向性について、鈴木和典・エンタープライズ・サービス担当執行役に聞いた。
■単なる“ソフト売り”脱皮
──ITサービスを強化していると聞くが。
鈴木 ベータ版の段階から自社ソフトウェアを社内で試用してきた。自社で運用してバグ出しなどを徹底する。こうしたシステム適用の方法や運用などのノウハウを反映させたITサービスを、2004年度(05年7月期)に入り世界的に積極化させた。
──単なるソフト売りではなくなる?
鈴木 米本社では03年12月、前CIO(最高情報責任者)がサービス部門を統括する責任者になり、世界的にITサービスの方向性について試行錯誤してきた。単にソフトのライセンスを販売するだけでなく、運用フェーズまで見据えたシステム構築ができるようにパートナー各社に情報提供するのが目的だ。
──導入前、設計、構築、運用までを含めアドバイスしていく?
鈴木 そうだ。当社ソフト、ハードウェア、システム全体のポリシー設定やIT担当者のマネジメントなどを含め、自律型のシステム運用を支援する。その仕様の標準が、IT運用のベストプラクティスを体系化した国際標準の「ITIL」で、ITILをベースに当社が独自にまとめたのが、ITIL準拠の運用サービスのプロセスモデルである「MOF」(マイクロソフト・オペレーションズ・フレームワーク)だ。
──そのITサービスをどうパートナーに提供するのか。
鈴木 日本ではすでに、「コンサルティングエクスプレス」として、システム設計のフェーズや要件定義、概要設計などのノウハウや手順書をパッケージ化して提供している。このパッケージをシステム構築、運用段階に応用し、ソフトを付けたITサービスのソリューションとして来年度(06年7月期)初めにもパートナーに提供する。
──ITサービス強化で企業のIT投資を促す作戦か。
鈴木 違う。ユーザーの中には、せっかくソフトのライセンス権を取得しても、企業内に水平展開できない場合が多い。サービスを強化することで、リリース直後で浸透していないソフトなども、安心して導入・運用できる環境を提供する。
──これまでは、製品を販売すれば終わりだったが?
鈴木 サーバー製品は設置しただけですぐに安定的な運用を保証できるわけではない。パラメータやチューニングなどの設定がシステム別に違う。特にリリース直後の初期モデルでは、設定の誤りによって規定のパフォーマンスを出せず、ユーザーの期待に応えられない場合が少なくない。サービス提供でこうした不具合をなくす。(企画編集取材班)