31階建「ダイビル」がオープン
電気街と連携し世界に類を見ないIT拠点へ
東京・秋葉原電気街再開発の象徴でもある「秋葉原ダイビル」がこのほどオープンした。秋葉原ダイビルは、JR秋葉原駅前の超高層ビル群「秋葉原クロスフィールド」で最初の開業となり、今後IT関連企業や大学教育機関などのコラボレーションを実現していく。秋葉原ダイビルが持つ産学連携機能を生かし、日本発の最新技術の開発が期待される。日本最大の電気街との連携で、秋葉原地区が世界のIT拠点として発展していく基礎固めが着々と進む。(佐相彰彦●取材/文)
■ビル内に「産学連携フロア」設置 企業や大学など12機関が入居 秋葉原ダイビルのオープニングは、ダイビルの広瀬忠邦社長やエヌ・ティ・ティ都市開発(NTT都市開発)の三田清社長、鹿島の梅田貞夫社長などデベロッパー3社のトップのほかに、石原慎太郎・東京都知事、棚橋康文・IT担当大臣なども参加した盛大なセレモニーで幕を開けた。
セレモニーで挨拶した人すべてが秋葉原ダイビルの本格稼働で秋葉原地区が発展すると述べるほどの力の入れよう。ダイビルの広瀬社長は、「秋葉原ダイビルは、秋葉原地区がさらに発展するための中核のビルになる」として、「産学連携機能を有したことで新しい技術を次々と創造するビルに発展させたい」という意向を示した。
石原都知事は、「秋葉原電気街は、独特な雰囲気を持つノスタルジックな街。しかも、海外からの観光客が多いなど絶大な吸引力を持つ街でもある。この吸引力は国際交流のカギになる。街が持つ雰囲気や力を発揮していけば、日本発の独自的なものを開発できる」としたうえで、「日本の技術力は、世界で有数の上流部分をもっている。技術的なポテンシャルは高い。秋葉原を中心に日本の底力を育てていくことも可能」と期待を語った。棚橋IT担当大臣は、「秋葉原クロスフィールドを中核に新しいことを行っていけば、秋葉原地区は世界のIT時代を担う拠点になり得る」と、大きな期待を寄せる。
秋葉原ダイビルの特徴は、ビル内に産学連携機能を有していること。ビル内に「産学連携フロア」を設け、このフロアにIT関連企業や大学教育機関など12機関がテナント入居する。秋葉原クロスフィールドの運営企業であるクロスフィールドマネジメントでは、「これまで各地域で行われていた産学連携の実証実験よりも、できるだけ短期間で商用化につながるような連携の橋渡しを手がけていく」(山本俊行・ゼネラルマネージャー)という。「秋葉原ダイビルの産学連携を促進し、国内IT産業の底上げにつなげる」(同)狙いがあるわけだ。
■ショップは「一段と儲かる街に」エレクトロニクスの“復権”を 秋葉原でITを中心とした拠点の建設が進んだのは、世界的知名度に支えられた集客力があるというだけでなく、コンテンツ創造産業やIT関連産業の集積を促進していくことにより、新しいビジネス市場を創造できる可能性が高いからだ。そのためには、秋葉原電気街と秋葉原クロスフィールドの連携を深めることは不可欠ということになる。
電気街の家電量販店60社以上が加盟する秋葉原電気街振興会の小野一志会長(オノデン社長)も、「“商い”の立場からいえば、秋葉原電気街を実証実験の場とし、世界から多くの観光客が訪れるような環境を整え、一段と儲かる街にしていきたい」と秋葉原ダイビルのオープンを機に、一層の振興を狙っている。
歴史を振り返れば、秋葉原電気街はラジオの部品販売から始まり、オーディオやテレビ、白物家電、パソコン、デジタル家電と主力商品が変わってきた。しかも、最近ではアニメやフィギュア、コスプレ喫茶など「エンターテインメント」色も濃くなり、さまざまな“顔”を持つ街になった。
電気街の魅力という面から見れば、仕入れた商品を単に販売する“箱売り”のショップが目立ち、古くからの電気街らしさが薄れているのも事実。さまざまな特色を持つことで、街自体が混沌としてきているという指摘もある。
秋葉原というビジネスエリアとしては、幅広いユーザー層が訪れるという点でメリットといえるが、“電気街”という点ではエレクトロニクス色をさらに強固なものにしていくことは必要だろう。
秋葉原ダイビルのオープンで注目を集めているのが、電気街の主役であるエレクトロニクスが“復権”すること。秋葉原ダイビルの産学連携機能でIT関連企業と大学のコラボレーションによる最新技術の開発、電気街を実証実験の場として活用するといったサイクルを形成し、秋葉原地区の最大の特色であるエレクトロニクスの色を確固たるものにする。これが実現できれば、世界に類を見ないIT拠点に発展することは間違いない。
 | 秋葉原クロスフィールド | | | | | 「秋葉原クロスフィールド」は、JR秋葉原駅前の超高層ビル「秋葉原ダイビル」と「秋葉原UDX」の総称。ダイビルとNTT都市開発、鹿島の3社がデベロッパーとなり建設を進めている。 秋葉原ダイビルは地下2階・地上31階。5-15階の中低層階にIT関連企業と大学などがテナント入居している。3月31日にオープンした。 秋葉原UDXは、地下3階・地上22階。1-4階の低層階を集客機能と位置付け、レストラン街やイベントスペース、ショールームなどを設ける。同ビルの |  | 完成は2006年3月の予定。 秋葉原クロスフィールドの名称は、さまざまな領域(フィールド)の人や情報が集まり、秋葉原地区で交流(クロス)することにより、新しい価値を創造していくというコンセプトで名付けられた。 秋葉原UDXのオープン時には、JR秋葉原駅電気街口前と秋葉原クロスフィールド2棟がデッキでつながり、駅と電気街の人の流れがスムーズになると期待されている。また、2棟合わせて約900台を収容できる駐車場の整備も計画されている。 | | |