その他
PCサーバーシェアに変化 日本HPが2位に浮上
2005/06/13 15:00
週刊BCN 2005年06月13日vol.1092掲載
PCサーバーのシェア争いが激化している。2004年度下期(04年10月-05年3月)には、これまでデルが優勢だったPCサーバー市場で、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)がデルのシェアをわずかに上回った。圧倒的な価格優位性を印象づけるデルと日本HP、ミドルウェアで1歩リードする日本アイ・ビー・エム(日本IBM)の外資系3社のシェアを合わせれば50%を超える市場で、NECや富士通など国内メーカーはソリューション重視などの対抗策でシェア確保に強さを見せる。(安藤章司●取材/文)
国産ベンダーはソリューションで対抗
■「デルを抜いたのは初めて」
IT調査会社のノーク・リサーチ(伊嶋謙二社長)の調べによれば、04年度下期のPCサーバーの出荷台数シェアで、日本HPがデルをわずかに上回った。デルと日本HPは激しいシェア争いを展開しているが「半期ベースであるものの、日本HPがデルを抜いたのは初めて」(伊嶋社長)という。デル優勢といわれる市場で、日本HPの躍進ぶりが際立ってきたわけだ。下期のシェアは、日本HPが首位のNECに次ぐ20.2%の2位に上昇、デルは19.9%とわずかな差ながら3位にランクダウンした。
デルと日本HPは、価格の安さを武器にシェアを大幅に拡大してきた。新聞などメディアを通じた広告展開も積極的に行い、ユーザーのなかで「価格優位性がある」という認識が浸透したことがシェア拡大に結びついたと言われている。グローバル市場へ進出し、一括大量購入など部材調達の面で優位性があるデルと日本HP、日本IBMの主要な外資系3社の台数シェアを合わせると全体の半数を超えている。
国内で販売されるPCサーバーの約半分が外資系が占めるなかで、国産ベンダーが不利なのかと言えば、実はそうとも言い切れない。
デルや日本HPの主要な顧客層は、ITに詳しくてハードウェア単品でも購入に踏み切れるハイエンドユーザーが多い。これに対して、NEC、富士通といった国産ベンダーの顧客層は、業務アプリケーションを中心とするソリューションを求める比率が高い。このことから、販売パートナーなどを通じたソリューション販売の強いチャネルを持つ「国産ベンダーのシェアが、デルや日本HPに食い尽くされるとは考えにくい」(同)と、外資系と国産ベンダーとのバランスは、今後も保たれると予測される。
■NEC、富士通は顧客密着型の販売に強み
中堅・中小企業向けのソリューション販売では、NEC、富士通は全国の販売パートナーを通じて顧客に密着した体制を確立している。国産ベンダーが得意とする領域にデルや日本HPが無理に割り込もうとすれば、逆に販管費がかさみシェアを落とすことにもなりかねない。また、国産ベンダーは、デルや日本HPへの対抗を意識しすぎて、一本調子で価格アピールを行うとすれば、ソリューションを求める顧客層に対してマイナスイメージを与える可能性もある。こうした要因から、ノーク・リサーチの伊嶋社長は、「NECはウェブ販売などで価格対抗策を打ち出す姿勢を見せているものの、富士通は価格競争とは一線を画す」と、国産ベンダーのなかでも対策に違いが見えるという。
富士通は、ソリューションの柱の1つであるERP(統合基幹業務システム)で有力商材をもっていることから“ハードとソリューションを組み合わせた総合力”を重視している。ノーク・リサーチが調べた03年度(03年4月-04年3月)の年商500億円未満の顧客企業層におけるERPベンダーシェアで、富士通は18.6%のシェアでトップ。次に僅差の18.3%で大塚商会が追いかける。PCサーバーシェアでは第4位に甘んじている富士通だが、他ベンダーにはない強みをもっている。日本IBMも、人気のミドルウェア商材を数多く持ち、付加価値を高めている。
今後は、価格競争が激しさを増すと同時に、ソリューション展開が可能な販売チャネルの奪い合いがさらに拡大するのは必至だ。ベンダー各社は、限られた市場を巡り、「価格」と「ソリューション」の2つをうまく使い分けて、シェア拡大に結びつける動きがより活発化していくことになる。
PCサーバーのシェア争いが激化している。2004年度下期(04年10月-05年3月)には、これまでデルが優勢だったPCサーバー市場で、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)がデルのシェアをわずかに上回った。圧倒的な価格優位性を印象づけるデルと日本HP、ミドルウェアで1歩リードする日本アイ・ビー・エム(日本IBM)の外資系3社のシェアを合わせれば50%を超える市場で、NECや富士通など国内メーカーはソリューション重視などの対抗策でシェア確保に強さを見せる。(安藤章司●取材/文)
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