その他
ウィルコムなど3社、新モバイル端末を発売 携帯電話とパソコン機能の一体化へ
2005/10/31 21:10
週刊BCN 2005年10月31日vol.1111掲載
ウィルコム(八剱洋一郎社長)、シャープ(町田勝彦社長)、マイクロソフト(ダレン・ヒューストン社長)の3社は、新世代のモバイルコミュニケーション端末「W-ZERO3」を12月上旬に発売する。PHSによる音声通話に加え、ウィンドウズOS搭載によるエクセルやワードなどのデータ編集、パワーポイントやPDFのデータ閲覧、パソコン用ホームページのブラウジングなど、多彩な機能を装備。「携帯の機動性」と「パソコンとの親和性」を兼ね備えた“第3のコミュニケーションツール”として拡販を図っていく。(佐相彰彦●取材/文)
第3のコミュニケーションツールとして拡販
■今年度出荷目標は10万台
「W-ZERO3」は、マイクロソフトのモバイルデバイス向けOS「ウィンドウズモバイル5.0」を搭載し、ウィルコムの超小型無線通信モジュール「ウィルコムシム」に対応することで、音声通話やデータ処理、音声・画像再生などを可能にした新しいコミュニケーションツール。入出力部分には3.7インチVGA液晶、スライド式フルキーボード、133万画素デジタルカメラを備えている。端末の開発は、ノートパソコン「メビウス」や携帯情報端末(PDA)、携帯電話などの開発ノウハウを持つシャープが担当した。
価格はオープンプライスだが、5万円を切る水準を想定。音声通話料やデータ通信料は、ウィルコムの定額サービスが利用できるほか、製品発売と同時に提供される無線LANサービスも利用できる。販売については、ウィルコムが携帯電話専門店や家電量販店などを通じ個人への拡販を図るほか、システムインテグレータ(SI)などウィルコムの販売パートナーを通じて法人需要も獲得していきたい考えだ。
これまでウィルコムがPHSユーザーとしてターゲットにしてきたのは、通話をメインとする顧客と、インターネットや電子メールを楽しむ顧客が中心だった。八剱社長は、「今回の製品は、音声端末の多機能化を追い求めるユーザーを対象に拡販を図っていく」と、新規需要の獲得に意欲を見せる。
多機能希求派の需要ボリュームについて八剱社長は、「270万人は買い替えるのではないか」と分析。加えて、パソコンユーザー側からのニーズとして、「173万人が買い替えで購入するだろう」と見ており、合わせて443万人の需要が眠っていると試算する。同社では「音声通話の加入者を一気に増やす戦略的な製品」と位置付け、「今年度(2006年3月期)末までに10万台の出荷」を目標に掲げる。
■テレビや電子マネー機能は未搭載
国内で初めて携帯電話とパソコンの両機能を内蔵した“第3のコミュニケーションツール”として拡販を図っていくわけだが、新たなマーケットの創出につなげられるかどうかは、ウィルコムが想定する潜在需要をどこまで開拓できるかにかかってくる。というのも、携帯電話やパソコンには搭載されているにもかかわらず、今回の端末には搭載されていない機能も存在するためだ。
搭載を見送ったのは、携帯電話で普及が進みつつあるテレビ機能や、電子マネーが利用できる「フェリカ」機能など。八剱社長は、「新しい端末として市場に投入することを優先したため、盛り込まなかった」と話す。しかし、多機能化を求める携帯電話ユーザーは、テレビ機能やフェリカ機能も重要な要素となってくるのではないだろうか。
パソコンとの比較については、キーボードの操作性が難点か。モバイルノートパソコンと比べると、約70×130ミリサイズのキーボードは打ちづらさが否めない。こうした点から、携帯電話やパソコンユーザーの買い替え需要がどこまで見込めるかは未知数だ。
パソコンやPDA、携帯電話端末なども手がけるシャープでは、「パソコンや携帯電話とは異なる製品として、買い増しユーザーが出てくるのではないか」(松本雅史・代表取締役専務情報通信事業統轄)と見ており、パソコンや携帯電話などの既存ユーザー層を浸食する製品ではないと強調する。
「W-ZERO3」は新しいコンセプトの製品だけに、今後マーケティング戦略をどう展開するかが重要なポイントになることは間違いない。
ウィルコム(八剱洋一郎社長)、シャープ(町田勝彦社長)、マイクロソフト(ダレン・ヒューストン社長)の3社は、新世代のモバイルコミュニケーション端末「W-ZERO3」を12月上旬に発売する。PHSによる音声通話に加え、ウィンドウズOS搭載によるエクセルやワードなどのデータ編集、パワーポイントやPDFのデータ閲覧、パソコン用ホームページのブラウジングなど、多彩な機能を装備。「携帯の機動性」と「パソコンとの親和性」を兼ね備えた“第3のコミュニケーションツール”として拡販を図っていく。(佐相彰彦●取材/文)
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