前号に続き、情報サービス業218社の2005年度上半期業績のうち101-218位にランクされた118社を分析する。101位-218位の売上高は前年度同期比18.5%増(04年上期業績値が未詳の企業を除く補正値は9.4%増:以下同様)の4250億8700万円、営業利益は42.9%(20.8%)増の246億3500万円だった。1-100位に比べ、新興のネット・サービス系、ゲーム/コンテンツ系企業が集中しているためだ。今後を占ううえでポイントとなる新旧の入れ替わりを見てみよう。
■ジャスダック、マザーズ組が躍進 伸び率で比較すると1-100位の売上高は3.5%(2.8%)増、営業利益は9.1%(7.5%)増なので、下位企業の業容拡大ないし収益性改善が著しいことがわかる。101-218位の企業を株式公開市場別に集計すると、1部は4.8%増の429億9600万円、2部は7.1%増の480億600万円、ヘラクレスが9.7%(4.7%)増の416億1400万円、非上場が5.1%増の959億1800万円、これに対しジャスダックが19.7%(8.5%)増の1685億800万円、マザーズが42.2%増の280億4500万円と上場市場によって大きな差がでた。
業態別では「受託計算・ソフト開発系」が10.6%(7.8%)増の3315億2600万円、「パッケージ開発・販売系」が8.3%増の301億3500万円、「システム販売系」が99.4%(24.3%)増の186億8700万円、「ゲーム/コンテンツ系」が113.4%(26.9%)増の316億3900万円、「ネット・サービス系」が87.3%(28.1%)増の131億円だった。
業態と株式公開市場の関係を調べると、ジャスダックとマザーズに上場している企業がネット・サービス系企業7社中5社、ゲーム/コンテンツ系企業8社中4社、システム販売系4社中2社を占めている。受託計算・ソフト開発系企業89社の上場市場別売上高伸び率は、1部が4.3%増、2部が2.4%増、これに対してジャスダックは12.1%増(6.9%増)、マザーズは13.7%増だった。ジャスダック、マザーズ市場の伸びはネット・サービス系、ゲーム/コンテンツ系、システム販売系がけん引していることになる。
■118社中90社が増収 売上高が増加したのは90社、減少したのは27社、比較ナシは11社だった。101-218位の中で売上高伸び率が最も高かったのはメッツ(売上高195位)の579.6%増だった。以下、デジタルデザイン(241.9%増、売上高189位)、オープンインターフェース(186.0%増、148位)、トランスデジタル(120.9%増、157位)、シンプレクス・テクノロジー(64.1%、187位)と150位以下の企業が健闘している。
反対に売上高が減少したのは長野県の電算、横河情報システム、新潟県のBSNアイネット、セントラル・コンピュータ・サービス、セック、旭化成情報システム、フューチャーシステムコンサルティングなど受託計算・ソフト開発系企業が目につく。同じ業態に属していても、JavaやWeb関連のアプリケーションやエンベデッド系システム開発を得意とする企業はいずれも増収となっている。技術基盤の違いが業績に現れた。
減収率では、日本ユニシス情報システムの53.7%減が最大。以下、ザイオン(53.4%減)、イーシー・ワン(16.7%減)、ビーイング(14.5%減)、ぷらっとホーム(12.1%減)となっており、経営の安定感と企業規模が密接な関係にあることが分かる。
■150位以下の企業が健闘 増益企業の上位にはトランスデジタル(売上高157位)、日信ソフトエンジニアリング(212位)、東邦システムサイエンス(172位)、メッツ(195位)など150位以下の企業が食い込んでいる。
減益はサイバード、日本コンピュータシステム、クレオ、日本オフィス・システム、JIECなど、比較的上位の企業が多い。JIEC、CRCソリューションズ、クボタシステム開発、クレオ、北陸コンピュータ・サービスは増収だったにもかかわらず減益だった。
クレオはERPパッケージ事業は順調だったが、返品調整引当金の設定と減損会計の導入に伴う特別欠損を計上したほか、新規顧客開拓などで販管費が増大した。また日本語ワープロソフトなどで知られるジャストシステムは、単独で0.6%の減収、営業利益も13億9,600万円の欠損となり、通期予想経常利益は9億円の欠損となっている。
このクラスでは中堅規模で地方に拠点を置く受託計算・ソフト開発系企業と新興IT関連企業が交錯している。セントラル・コンピュータ・サービス、日立ビジネスソリューション、電算、NJK、TDCソフトウェアエンジニアリング、インフォメーション・ディベロプメントといった旧来型企業の中に、株式を公開したばかりのヴィンキュラム ジャパン、ネット広告のサイバード、オンライン・ゲーム配信のバンダイネットワークスといった新興IT関連企業が割って入った。
151位-208位では、デジタルデザインが売上高伸び率のトップだった。テクモ、トランスデジタル、シンプレクス・テクノロジーといったコンテンツ関連企業の伸び率が高い。
ここでも旧来型の受託計算・ソフト開発系企業と新興IT企業の入れ替え戦が起こっている。技術者派遣型のクエスト、アジアパシフィックシステム総研、システムズ・デザイン、コンピューターマネージメントなどは売上高に多少の増減はあっても収益は安定している。
■ランキング変動率でみると 最後に売上高ランキング101-218位の昇降状況をみてみると、04年度上期業績ランキングから最もランクが下がったのは日本ユニシス情報システムで、145位から199位に54レベル低下した。第2位はザイオン(160位→213位)、第3位はイーシー・ワン(184位→208位)だった。また04年度上期の上位クラスからクオリカ(92位→105位)、日本オフィス・システム(95位→109位)、セントラル・コンピュータ・サービス(99位→113位)がランクダウンしている。
反対に上昇したトップはドリームテクノロジーズで、04年度上期ランキング外から一挙に106位に飛び込んできた。次いでバンダイネットワークスが番外から122位に、サミーネットワークスも番外から147位にランク入りした。04年度上期ランク入り企業では、ハドソン(134位→103位)、フィジミック(129位→107位)、ヴィンキュラムジャパン(133位→115位)、オープンインターフェース(185位→148位)、トランスデジタル(181位→157位)が、それぞれ躍進した。
《今回対象外の企業》
決算期の関係から対象外だった企業の半期単独売上高を本ランキングに当てはめると、日本オラクル:23位、TKC:33位、ドワンゴ:82位、構造計画研究所:104位、インデックス:117位、ウェザーニューズ:125位、ワークスアプリケーション:128位、ジャステック:129位、エムティーアイ:132位、ライブドア:136位などとなる。
■情報サービス企業
2005年度上半期連結売上高ランキング(PDF)
・1-100位・101-218位