競合対策 住商情報やSSJが競合
「存在感出せるか」が雌雄分ける
──国産の業務ソフト主要ベンダーの皆さんに集まってもらっていますから、答えにくいかもしれませんが、競合ベンダーはどこだと見ていますか。
和田(OBC) 当社のERPが狙うミドルアッパー市場で競合相手といえば、住商情報システム、エス・エス・ジェイ(SSJ)、大塚商会、PCAなどでしょうか。競争はかなり熾烈ですよ。
業務ソフト市場は、今年から来年にかけて、64ビットへの対応により、大きく変化すると感じています。ブロードバンドの普及は目覚ましく、マイクロソフトが新OSを出すなど、需要を喚起する材料が多い。この1-2年で、当社がこの市場でどれほど存在感を示せるかが焦点になるでしょう。
相馬(弥生) 当社の主軸チャネルである量販店などの店頭マーケットでは、競合関係がここ3年で大きく変わりましたね。ソリマチとはいいライバル関係を現在も維持していますが、日本デジタル研究所(JDL)やジェイシーエヌランド(現・SBIビジネス・ソリューションズ)など、ライバルであったベンダーが立て続けに店頭販売から撤退してしまいました。
一方、OBCグループの「ビズソフト」が店頭マーケットに参入するようなので、これが新しい競合になるでしょう。
田中(OSK) 競合相手は、富士通やSSJ、OBC、PCAなど、ここにお集まりの方々ですね。当社は大塚商会のMFPの販売チャネルをうまく活用して、その市場に入っていこうと思っています。
岸川(応研) 訪販系チャネル経由の販売が多く、OBCやPCAと競合しています。その上の層では、本数的に競合他社とバッティングすることは少ないです。
大炊(PCA) ここにおられるベンダーのほとんどが競合相手になります。ただ、大企業市場では、一部SAPジャパンと競合するケースがあります。これはとても光栄なことで、当社もSAP製品と競合になるほど認められたのかなと思います。
ただ、最も競合するのは、OBCや住商情報システム、OSK、富士通になるでしょう。一般企業ではなく非営利法人、なかでも社会福祉法人市場では、応研さんの圧倒的な強さを感じています。
市場拡大見込み販路開拓も本格化
Dynamicsへの見解 重要なのはサポート体制、現状ではまだ見えない実像
──マイクロソフトが業務システム「Dynamics(ダイナミックス)」を今年にも出すようです。それぞれどのような見解をもっていますか。
大炊(PCA) (「Dynamics」は)脅威といえば脅威です。しかし、業務ソフトを提供するうえで重要なのはサポートに尽きると思います。全国のユーザー企業に均一のサポートを提供しながら、日本の商習慣や税制などに対応できるのかは疑問です。今の段階では、マイクロソフトが業務ソフトを出したとしても、当社は十分に戦っていけると思います。
原田(応研) 製品を見ないと分からないというのが正直な印象です。
田中(OSK) 私も同感です。製品の姿をみてから考えようと思います。「Dynamics」のターゲット市場が、どこなのかも分かりませんから。
竹之内(弥生) 「Dynamics」がどういう製品になるのか、今後注視していきたい。これにより市場の活性化が進めばいいと考えています。
大原(OBC) モノを見ないと分かりません。一般システムのサポートとERPのサポートは異なり、販売する人材を育てる必要があります。こうした営業スキルをもったどんなベンダーが「Dynamics」の販売チャネルとして活動するのか分からないので、何ともいえない状況です。
◆司会者から一言◆
経常利益率53.4%、純利益率30.3%。OBCの05年3月期決算に見る実績値である。弥生の利益率もほぼ同じレベルにあるようだ。高収益体質を築くことができるのが業務ソフト業界である。ただし、ここ数年、各社の売上高成長率はそれほど高くない。06年3月期の目標売上高から成長率を出すと、PCAが14.4%増、OBCが7%増である。他の3社もこの枠の中に収まりそうな感じだ。
そうした業界に、今年は神風が吹くと期待される。5月に予定されている会社法の施行がまずひとつ。商法から独立した新法の創設であり、既存システムの全面リプレースが期待できる。また、PCAや応研が力を入れている公益法人を巡っては、公益法人会計基準の改正があり、これも全面リプレースが期待できるという。
今回座談会に参加してもらった企業は、中堅・中小企業をメインターゲットにしている。OBC、PCA、応研、OSK=大塚商会と捉えると、この4社に共通しているのは訪問販売を主力にしている点。弥生は、店頭販売が主力だが、訪販系ルートの開拓にも乗り出すことを表明、同じ土俵に乗ってきた。
座談会後、一席を設けたが、アルコールが入るにつれ、各氏のボルテージは高まり、車座になって密談開始?と思いきや、話題は「○○○」でした(この伏せ字、たぶん、誰も当たらないでしょうね)。
普段はバトルを展開しながら、酒席になれば馬鹿話に興じられる―オーナー社長の度量の大きさか、同じ釜の飯を食っているという意識は共有しているからか。(石井)