その他
「サーバー統合」が引き金 仮想化ニーズが加速
2006/07/31 14:53
週刊BCN 2006年07月31日vol.1148掲載
内部統制の実現やシステム運用管理コストの低減などを目指し「サーバーの統合化」が進むのと同時に、サーバーを仮想化する企業が増えている。マイクロソフトのサーバーOS「Windows NT4.0」がサポート切れとなり、国内では昨年夏頃から仮想化ニーズが加速した。「安価なサーバーを大量導入するより、粗利益率が高い」と、仮想化ソリューションに注目するSIerは増加傾向にある。ただ、SIerには、仮想化技術を利用したシステムの全体最適に関する提案能力が求められる。「仮想化需要のピークは1─2年後」で、現在は“踊り場”にあると判断するSIerは多く、今後、仮想化技術の採用が拡大することになりそうだ。
粗利益率高くSIerが注目
日本ビジネスコンピューター(JBCC)は、米ヴイエムウェアのサーバーOSの仮想化を目的とした製品が発表された2001年頃から、IAサーバーなどの統合案件に対応してきた。現在までの推移では、「新規IAサーバー導入の約13%は、仮想化ソフト『VMware』を利用した案件だ」(浜口昌也・ソフトウェア事業部ソフトウェアマーケティングLinuxセンター&技術支援GM)という。特に「昨年夏から案件数が急激に増えている」(同)と、最近の傾向について語る。
仮想マシンを稼動させるサーバーのスペックが向上し、低価格サーバーを複数組み合わせてシステムを構築するよりも、「ブレードサーバー」など物理的に省力化を図れる高スペックサーバーで「統合」する動きが活発化している。浜口GMは「企業のサーバー容量に対する利用率は、せいぜい20%。複数台あれば運用管理も大変だが、仮想化ソフトを使えば、少ない台数で利用できる。リソース変動なども簡単に把握できる」という。運用管理コストの低減などが至上命題になっている企業は多く、徐々に需要が伸びていると分析する。
ネットワーク構築に実績があるネットマークス子会社のエス・アンド・アイ(S&I)は、IBMのブレードサーバー「Blade Center」を軸にしたサーバー関連のソリューションを強化している。昨年度(2006年3月期)からは、「VMware」を利用したサーバー統合案件が発生し、20社のシステム構築を手がけた。
こうした案件で陣頭指揮を執る伊藤英啓・ソリューション営業本部コンバージド・プラットフォーム統括部統括部長は「サーバーを置く物理的なスペースが不足する企業に仮想化案件が出てきた」と話す。例えば、耐用年数が過ぎた10台の旧サーバーを新規サーバー10台に置き換えるのではなく、仮想化技術を使い半分の5台程度に集約するケースなどが増えている。
S&Iが扱う案件では、ネットワークやバックアップ、運用管理などを含めた全体最適に関する提案をする例が多い。1社に対し大量の安価なサーバーを売るより、仮想化技術でソリューション提供することで、システム構築の1案件ごとの単価や粗利益額が格段に大きくなった。最近では、ISPのホスティングシステムを仮想化する案件なども舞い込む。今年度(07年3月期)中に、20社以上の仮想化案件が発生するのは確実な情勢という。
日本での仮想化ソフトの拡大傾向は「米国と異なる動きを見せた」と、ヴイエムウェア日本法人の平谷靖志・システムエンジニアリングマネージャは述懐する。日本では、04年12月にマイクロソフトのサーバーOS「Windows NT4.0」のサポート期間が切れ、同OSを搭載するハードウェア保守期間が終わり、維持が困難になった。これを機に、仮想化ソフトの需要が一気に増えた。
調査会社ノークリサーチが調べた05年のデータによると、年商30-100億円前後の中堅企業の55.4%は、「NT4.0を使い続ける」と回答している。旧システム(NT4.0上で稼働するアプリケーションなど)を長く使う傾向にある日本企業のニーズに応えた「レガシーマイグレーション」や段階的にデータを移行するための「テスト/開発環境」での利用から仮想化ソフトの利用が拡大した。
08年にはサーバー統合の標準に
しかし、S&Iによれば、最近は「新規構築のサーバーについても、積極的に仮想サーバーの構築を選択するケースが増えた。物理サーバーをシステム要素の台数分購入するのでなく、仮想化環境を構築するためにサーバーを追加オーダーする傾向にある」(伊藤英啓・統括部長)と、サーバー運用管理のコスト削減や管理方法を効率化するうえで採用されている。
「VMware」以外にも、マイクロソフトがホストOS上で動作する仮想マシン製品をリリースしたほか、プロセッサメーカーが仮想化技術を製品に組み込んだり、オープンソース団体の「Xen(ゼン)」でも、仮想化製品を出してきた。米マイクロソフトでは「Xen」の技術を利用して次世代「Windows Server」(開発名=Longhorn)で新たな仮想化を提供することを公表している。マイクロソフトの平井康文・執行役専務は「日本では08年頃に登場するが、まだ、企業で仮想化が一般化しているとは感じていない。ただ、早めに仮想化導入のパイロットプロジェクトを起こして、検証したい」と、1-2年後に多くのSIerで仮想化技術が活用されるとみている。
中堅中小企業のシステム構築を主に手がける大塚商会も「NT4.0に関するニーズはあるが、まだ実績は少ない」(大久保真・マーケティング本部テクニカルプロモーション部Linuxネットワークグループ課長)と、“仮想化ブームの到来”はまだ肌で感じていない様子だ。同社は、上流から下流までフルサポートを企業に提供しているだけに、「サーバーを仮想化した場合のサポート体制をどうするかという課題もある」(同)と指摘する。それでも、「『VMware』ソフトの販売は、SIerや企業に拡大している」(同)ようで、今年に入り、ヴイエムウェア日本法人や日本ヒューレット・パッカード(日本HP)と共同で、ブレードサーバーに関連させた仮想化セミナーを相次いで開催し、今後の需要拡大を見据える。
ヴイエムウェア日本法人によると、国内で「VMware」を扱うSIerは約50社。仮想化ソフトを利用して「サーバー統合」を提案するSIerはまだ少ない。平谷靖志マネージャは「仮想化ソフトを利用しても従来通りのアプリケーションが動くのか、運用管理方法が変わるデメリットはないかなど、ユーザー企業側に懸念の意識がある」ことから、この意識を払拭する必要があるとみている。
また、システム構築するSIerには、「サーバー統合」に際して仮想化するメリットをユーザー企業に説明することが問われる。「ネットワーク環境や電源などを含め、運用管理のコスト低減や煩雑さを解消できることを、トータルに説明できるSIerがまだ少ない」と、S&Iの伊藤・統括部長は指摘する。JBCCの浜口昌也GMは「従業員300─500人程度の中堅企業に対するサーバー統合で仮想化ソフトを利用すると、投資対効果が見えやすい」と、ISPやデータセンター、大企業だけでなく、中堅企業への適用も広がる可能性が大きいと見ている。
ヴイエムウェア日本法人によれば、「西暦2000年問題」などで新規導入したサーバーのリースアップが訪れ、仮想化技術の採用を検討している企業が大量に存在するという。“枯れた”仕組みになりそうな1─2年後には、国内で仮想化技術は「サーバー統合」などのデファクトスタンダード(事実上の業界標準)になりそうだ。
内部統制の実現やシステム運用管理コストの低減などを目指し「サーバーの統合化」が進むのと同時に、サーバーを仮想化する企業が増えている。マイクロソフトのサーバーOS「Windows NT4.0」がサポート切れとなり、国内では昨年夏頃から仮想化ニーズが加速した。「安価なサーバーを大量導入するより、粗利益率が高い」と、仮想化ソリューションに注目するSIerは増加傾向にある。ただ、SIerには、仮想化技術を利用したシステムの全体最適に関する提案能力が求められる。「仮想化需要のピークは1─2年後」で、現在は“踊り場”にあると判断するSIerは多く、今後、仮想化技術の採用が拡大することになりそうだ。
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