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<創刊25周年特集>5つの『地殻変動』がIT産業を変える―【1】手組み開発(スクラッチ)は半減する
2006/10/16 14:53
週刊BCN 2006年10月16日vol.1158掲載
日本の大企業(ここでは、年商1000億円以上の企業)のITシステムは、欧米に比べて、新規にプログラム開発する「手組み(スクラッチ)開発」の比重が高いといわれる。一方、企業のグローバル化や「日本版SOX法」などの影響で、コストと工数のかかる手組み開発を見直し、パッケージを適用する案件が急速に増えている。SOA(サービス指向アーキテクチャ)などモジュール化するITシステムの浸透によっては、こうした動きにさらに拍車がかかりそうだ。この特集では「スクラッチ開発は半減する」という仮説を打ち出し、受託ソフトベンダーの課題や国の施策などを取材して、この仮説の検証を試みた。(谷畑良胤●取材/文)
カスタマイズの比率は欧米の2倍
SAPジャパンの内部資料によると、企業がシステム開発にかける投資コストの内訳は、日本と欧米では歴然とした違いがある。
同社の大企業向けERP(統合基幹業務システム)「mySAP ERP(旧R/3)」を導入した企業が、「パッケージソフト(以下、パッケージ)」と「サービス(カスタマイズなど)」に投じたコストの構成比は、日本企業の場合はおよそ「1対10」という。一方の米国企業は「1対5」程度。日本企業は米国企業に比べ、2倍のカスタマイズを加えていることになる。
日本企業は、同業他社に対抗するための戦略として、「競争力の源泉」になる重要ITシステムに関しては、手組み(スクラッチ)開発やアドオンを加えた「作り込み」の傾向が強いことがわかる。
だがここ数年、「既存ITシステムを再利用する」ニーズが増え、大規模なシステムを「サービス」の集まりとして構築する設計手法「SOA」の考えが浸透してきたことで事情は変わってきた。
SAPジャパンでは、「5年後には、SOAが技術的にも定着する」(安田誠・バイスプレジデント ソリューション&マーケティング統括本部長)との見通しから、これを引き金に従来の「1対10」という比率は米国並みに近づき、スクラッチで開発していた「競争力の源泉」部分でもパッケージ化が進むと予測している。
日本の大手企業でパッケージの適用率が低いのは、オフコンや汎用機など「レガシーからの脱却が遅れたことで、スクラッチ開発に依存せざるを得なかった」(経済産業省の石川浩・情報処理振興課課長補佐)ことなどが起因しているようだ。
まだまだ低いERPの導入率
コンピテンシー分野が壁に
全体最適でシステムの見直しを
しかし、日本版SOX法や新会社法で内部統制強化が必須となり、企業自体がグローバル化してきたことで、財務会計や人事・給与の基幹系業務領域では、業界スタンダードのパッケージの浸透が進んでいる。
日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の「企業IT動向調査2006」によると、従業員1000人以上の大企業では、ERPパッケージの採用が初めて半数を超え、53%に達した。
受託ソフト開発専業のジャステックは、経験則として「オフコンをダウンサイジングする過程でERPの普及が進んだ」(柴山泰生・常務取締役)と語る。
JUASの細川泰秀・専務理事は「調達・顧客管理」はグレー(灰色)、「生産管理・販売管理」はホワイト(白色)のゾーンに属し、色が薄い(図表の上部)ほどパッケージ化は浸透していない【図1】。このゾーンは企業の『コンピテンシー(持続的に高業績を上げる分野)』で、パッケージでは代用できないからだ」と分析する。
大企業にとって「コンピテンシー」であり、「コア・コンピタンス(競争力の源泉)」に関わる業務は、実際に利用する立場やノウハウを熟知する担当者にしか理解できず、「自前で構築すべき」という考えが大勢を占める。
実際、「白色」「灰色」の分野は、海外で高い実績をもつSAPやオラクルでさえ、日本でのパッケージ浸透度は「低い」ことを認めている。
年商1000億円を超える大企業のERP市場は「飽和状態」と形容されることがある。
しかし、この領域でさえ、SAPのERPとオラクルの大企業向けERP「Enterprise Business Suite(EBS)」を合算しても、企業でのパッケージ普及率が半数に満たないのが現状だ。
このため、「国内市場でのERP需要はまだまだ『飽和状態』ではない」(SAPジャパンの安田統括本部長)と、“主戦場”での需要増を見込む。
国際化で「手組み」の限界も
パッケージとの混在が必要
日本の大企業は、トヨタ自動車など製造業を中心に海外展開を加速させている。
製造工場や事業所など世界拠点が増加し、連結会計や国際会計基準に対応した財務会計処理、日米の「SOX法」対応など、基幹システムに求められるシステム要件は増え続けている。
この部分をスクラッチでソフト開発するのは、「開発工数のうえでも限界が見え始めている」というのが情報サービス産業界の共通した認識になりつつあるようだ。
日本オラクルは「世界標準の技術や国際会計基準、多通貨多言語などに対応した当社業務パッケージは、確実に日本市場でも伸びる」(藤本寛・執行役員 アプリケーションマーケティング本部長)と、世界展開する大企業を中心にパッケージの拡大を見込む。
同社は、中堅・大企業向けERPをもつピープルソフトウェア(JDエドワーズ含む)と大手企業向けCRMのシーベルを相次ぎ買収し、中堅・大企業領域を含めたパッケージ展開で、来年度(07年6月期)から2年連続で、年率66%の売り上げ増を計画している。
SAPジャパンも、「スクラッチで対応できる分野は減る」(安田統括部長)との見通しから、5年後には年商1000億円以上の大企業へのERP導入社数が、現在の1.7倍になると予測する。
同じく日本ユニシスも、「SAPジャパンや日本オラクルが主張するほど急ではないが、パッケージに舵を切る大企業が増える」(稲泉成彦・品質保証部長)と同調する。
その理由について、「スクラッチで開発するソフト会社が、ユーザー企業のIT統制の適合にまで対応することは困難」だからだと語る。
複雑化したシステム要件を満たすには、パッケージとスクラッチ開発を混在させなければ、到底対応できないというのも事実のようだ。
部分最適の追求がゆがみ生む
全体見て開発か購入かの議論を
一方、パッケージかスクラッチ開発かの問題を、企業システム全体の最適化のなかで判断すべきだという見方もある。
国内を代表する大手SIベンダー、NTTデータの山田伸一・執行役員基盤システム事業本部長は「一般論になるが」と前置きして、次のように語る。「企業向けパッケージは増える。しかし、大企業にパッケージはひと通り行きわたったはずと認識している」。
同社では、銀行の勘定系システムをはじめ、法人向けの新規案件はパッケージが大部分を占めるという。逆に「スクラッチ開発に比べて開発費が低いパッケージ導入が増えたことで、企業は浮いたIT資金を新たな『競争力の源泉』となるシステム開発に投じる」(吉田佐智男・第二技術統括部長)と予測する。
そのため、全システムをスクラッチ開発する「フルスクラッチ」案件は減少するが、スクラッチ開発の総量は減らないという見解である。
日本経済は今、戦後最長の「いざなぎ景気」に匹敵する高景気に支えられ、企業収益の改善を背景に設備投資が増加している。
大企業を中心にIT投資も活発で、その余力を背景に、利用者数が少ない業務ですら「部分最適」を追求するためのIT投資が増えている。そのため、企業システムのなかに「利用率の低いシステム」が混在するという問題が生じている。
ガートナー・ジャパンの松原榮一・バイスプレジデントは「『Make(開発)かBuy(購入)』のトレンドは変化させる必要がある」と指摘する。
グローバル化の進展で企業システムは、『変化が早く』、しかも『連続して変化している』ため、『長期的スパン』で、どういうシステムをいつ導入すべきか、計画的な議論を深める時期にきている、と警告する。個別業務の最適化に目を奪われず、企業システムの全体像を把握し、「全体最適」を意識すべしという主張である。
ポートフォリオ管理でムダ省く
高まるIT投資効果評価への関心
柔軟に再構築可能な環境に
こうした「全体最適」のための判断ツールとして、ガートナー・ジャパンでは、改良型階層分析手法に基づく最適なソリューションを選択する「ITプロジェクト・ポートフォリオ管理」を提供している。
このツールを使えば、企業システムの無駄な部分を省き、「贅肉が落ちる」(松原バイスプレジデント)ことで「全体最適化」へ向けた動きを加速することができるという。
日本企業では「スピード経営」が求められ、企業戦略の変化に迅速に対応できるITシステムが必須の条件となっている。日本ユニシスの稲泉部長は「『リピータブル(繰り返し利用可能)』で『リユーザブル(再利用可能)』なシステム環境にする必要がある」と、柔軟で再構築が可能なSOA環境への移行やEA(エンタープライズ・アーキテクチャ)で基盤を構築する必要性を提唱する。
JUASの調査【図2】によると、ITの21個のトピックスから関心のある項目を選択する設問では、上位1-5位の合計で「IT投資効果評価」が全体の半数を超え、4位の関心事であることが分かった。ちなみに、1位は「セキュリティ」、2位が「ITコストの削減」、3位「システム再構築」となっている。
この調査結果は、今年から数年内に大手企業の大半が、ITシステムの「全体最適化」に着手することを示唆しているようにみえる。
企業システムを「全体最適化」しようという波は、確実に広がりをみせている。この動きを経産省も後押しし始めている。石川浩・課長補佐は「(スクラッチ開発の)受託ソフトかパッケージ導入かの議論をする前に、企業経営から見たITの利用・活用が欧米に比べ低いことを問題視している」と指摘する。
IT利活用の低さは日本企業でパッケージ利用率が低い理由とリンクするという。
共通化部分はパッケージで
低業績・非効率から脱却
米BPMフォーラムによると、英国国防省が、スクラッチ開発の業務システムを中心に無駄なアプリケーションを調査したところ、エンドユーザーの利用率が低く、重複利用が多いなどの理由で150の業務アプリケーションを減らせるという結果が判明した。これを棚卸しすることで1000万ポンド(日本円換算で約22億円)を浮かせられることが分かった(ガートナー・ジャパン)。
経営の視点から判断すれば、無駄を省き、投資対効果を精査することで、共通化できる部分は安価なパッケージで代用できるし、「競争力の源泉」部分だけをスクラッチ開発して開発効率を上げることも可能になる。
経産省がスクラッチ開発の割合が高いこととパッケージの低利用率がリンクすると判断しているのは、不用意なIT投資を避け「全体最適」をすれば、パッケージを加えたIT投資が増大し、情報サービス産業自体を成長軌道に乗せることができるとみるからである。
日本の受託ソフト開発を中心にするベンダーは、技術力に長けた一部を除き、経常利益率が10%を割る低粗利率の状況が続き、経営的な不安要因を抱えたままだ。加えて、ISVを含め、外貨を稼ぐために海外に進出できるベンダーが極めて少ない。
日本のソフト開発力は、世界のさまざまな学者が認める高水準にありながら、「低業績・非効率」を抱えたままで、海外進出はリスクが高すぎるという悪循環を生んでいる。
スクラッチ開発に固執せず、パッケージを混在させた「低価格・高品質」のシステム開発を志向するのは1つの考えであろう。
もっとも、混在環境は受託ソフト開発を手がけるほとんどのベンダーでも志向している。だが、大半は「顧客第一主義」を掲げ、ユーザー企業に「スクラッチ開発で」と言われればその通りにして、他のシステムを流用できそうな部分でもパッケージ導入に二の足を踏む。
「競争力の源泉」に集中投資を
「全体最適」がIT産業を成長軌道に
使い慣れたシステムを踏襲
保守的な発想が情報戦略を縛る
「全体最適化」という視点をユーザー企業と共有すれば、適材適所で選択できるはずだ。富士通の大島丈史・生産革新推進部部長は「発注者側、受注者側という分離した発想では、最適なシステムは構築できない。当社はユーザー企業と一緒に『超上流』(ユーザー企業が作成する仕様書の前段階)と呼ぶ企画段階から、業務プロセスなどに配慮したシステム設計をしている。そのうえで、スクラッチ開発とパッケージを適材適所に配置している」と、ソフト開発にあたって上流工程からの見直しの必要性を説く【図3】。
この考えは業界内に浸透し、ユーザー企業の理解を得る状況にあるという。それでも、欧米の公共機関に比べ「業務効率化を推進する官公庁のほか、自治体などですら、適用が進んでいない」(富士通の若杉賢治・情報化企画推進室室長)と、「全体最適化」を浸透させる難しさを実感する。
官公庁や自治体はもとより、日本の企業は、「終身雇用制」が定着し、欧米に比べ人材の流動が少ない。人材の流動が激しい欧米企業では、「誰もが使える」スタンダードな仕組みを必要としてきた経緯から、パッケージの利用率が高まってきた。日本企業がスクラッチで開発したソフトを利用する年数は10─20年という。人材が流動する率が低く、「使い慣れたシステムを踏襲する」傾向は、そのまま企業の情報戦略が極めて保守的な枠組みに固定化してきた歴史と重なり合う。
当然、反論もある。「ソフト開発力の低い欧米のソフトでは、日本の業務に適用できない。日本企業はコンピテンシーで勝負している。定型業務だけでなく、(世界スタンダードなソフトでは)『競争力の源泉』部分の業務ノウハウを盛り込めない」と語るのは、JUASの細川専務理事。
一方で、受託ソフト開発をするベンダーに苦言も呈する。「日本の受託ソフト会社は、なぜ営業利益率10%以上を目指さないのか。開発を効率化してコスト削減する手法はいくつもあるし、実現しているベンダーもある。『プロセス志向に始まり、プロセス志向に終わる』考えが問題だ。『プロダクト志向』があっての『プロセス志向』。こうした発想の転換ができれば、労働環境の改善もできる」。
細川専務理事は日本人の緻密性を生かす努力がベンダーに不足しているのみならず、「3K産業」のままではIT産業の人材不足が深刻化するだけだと危機感を募らせる。
新しいソフト流通の試みも
業種特化のノウハウを展開
一方、「フルスクラッチ」を見直す機運は、受託ソフト開発を手がける大手SIベンダーにも芽生え始めている。特定の業種業界に特化して構築した優良システムにある程度の汎用性をもたせ、同業他社に「横展開」する動きである。例えば、日本ユニシスは、地方銀行での基幹システム構築の実績をベースに開発した次世代オープン勘定系システム「BankVision」を、全国の地銀向けに導入を進めている【図4】。このような共通利用が拡大すれば「スクラッチ開発の人月・工数が削減できる」(稲泉部長)という。同社と若干異なるが、NTTデータも金融機関向け共同利用型システム「BeSTA(ベスタ)」で12行を受注した(サービス開始前含む)。
両社の共通利用型システムを「業界特化パッケージ」と呼ぶならば、国内のパッケージ浸透率はさらに高まる。
銀行に限らず他業種でも同様の展開ができれば、人月をかけ人海戦術で実施するスクラッチ開発は減り、受託ソフト開発のパイが小さくなる。同システムは、両社が「知的財産権」を所有し、他に販売することが可能だ。
しかし、他のスクラッチで開発したソフトの知財は、特別な法的規制はないものの、「慣習」として発注者の企業側に帰属している場合がほとんど。経産省なども、この知財の問題を含め、「全体最適化」や「超上流」の研究、企業システムの「信頼性を向上させる」ためのガイドライン作成に動き始めている。

【解説】
経産省、「戦略的導入」の指標作成
業態変革迫られる受託開発ベンダー
手組み(スクラッチ)で開発されたソフトウェアの品質問題が噴出し、欧米に比べ「全体最適化」も遅れる日本企業のITシステム。今年に入り、こうした課題を解決すべく、国や研究機関の動きが活発化している。従来のような、「明確な契約書なし」や「仕様書が曖昧」などという問題には、第一弾として年度内にも国のメスが入る。
「部門」の「壁」越えられず
経済産業省の「産業構造審議会・情報経済分科会」が、今年6月に発表した「情報経済社会の課題と展望」では、民間調査機関などのデータをもとに、日本企業が経営の視点からITシステムをどの程度「利用・活用」しているかを分析している。日本企業では、70%以上がITシステムを導入しても十分に利用できず、各事業所や工場ごとにITシステムが構築され、「部門」の「壁」を越えられないという。今回の分析は、IT投資に対し、どれだけ経営者が関与して戦略的にITシステムを利用しているかを、「企業経営とITの4つの段階」【図5】に分け、割合を示している。
日本企業の場合、最も初歩的な「第1段階」、つまりIT不良資産化段階にあたるのは6%と少ないものの、「第2段階」の「部門内最適化段階」が最も多く68%に達した。「部門」の「壁」を越え、「全体最適化」を拡大している「第3段階」の「組織全体最適化段階」が24%、「第4段階」の「企業・産業横断的最適化段階」が2%となっている。米ガートナー調査によれば、米国企業は第3段階が24%、第4段階が11%に達し、ITシステムを戦術的に利用する意識が高いという。
こうした調査を受け、経産省はITシステムの戦略的導入の行動指針となる「IT投資価値評価ガイドライン」を策定し、IT投資が経営に与える影響度(投資対効果)を導き出せるようにする。
また、今年6月に公表した「情報システムの信頼性向上に関するガイドライン」を基に、「信頼性評価指標」を示す。企業のITシステムを「重要インフラ」「企業基幹システム」「その他のシステム」に3分類し、信頼性を向上させるためのユーザー企業とベンダー双方が実施する項目を定める。いずれも、来年3月までに提示する。
日本の受託ソフト会社には、ジャステックのように、自社で確立したソフトウェア生産管理方式「ACTUM」により、採算に見合う工程管理を志向するベンダーも少なくない。同社は「不採算案件」をほとんど出さず、各業界1-5位の中堅・大企業を中心に受託し、経常利益率20%を超える実績をあげている。
情報処理推進機構(IPA)の鶴保征城ソフトウェア・エンジニアセンター所長は、「企業のITシステムは、最終的に人間がある程度の工数をかけて介在する必要があり、(受託ソフト開発を手がけるベンダーの)仕事量が減ることはない」との見方を示す。多くの業界関係者では、この考えが大勢を占めている。
ただ、経産省の石川課長補佐は「受託ソフト会社はパッケージに軸足を移すことになる。ある業種・業態・業務に特化したり、PM(プロジェクト・マネジメント)を得意とするベンダー、あるいは複数社の得意技を持ち寄りコラボレーションすることも広がる」という。パッケージの流通方法も、SaaS(Software as a Service)やASP、アウトソーシングという提供方法が登場し、変化している。受託ソフト会社は、パッケージの浸透率が高まることを背景に、業態を変化させる必要がありそうだ。また、大手SIベンダーも、協力会社の精査を開始した。下請けを受けるにしても、受託ソフト会社に「得意技」が求められる時代になったといえる。
今回の特集テーマ「スクラッチ開発は半減する」という仮説に関する確たるデータは収集できていない。しかし、企業のITシステムで「全体最適化」が進むことで、パッケージの比率が大幅に拡大することは確実な情勢で、ここに向けた備えが必要だ。
<創刊25周年特集>5つの『地殻変動』がIT産業を変える
―BCNが予想する5年後の情報産業の姿【Part I】
―BCNが予想する5年後の情報産業の姿【Part I】
SOA環境の浸透でパッケージが加速へ
根強く残る「手組み」の慣習カスタマイズの比率は欧米の2倍
SAPジャパンの内部資料によると、企業がシステム開発にかける投資コストの内訳は、日本と欧米では歴然とした違いがある。
同社の大企業向けERP(統合基幹業務システム)「mySAP ERP(旧R/3)」を導入した企業が、「パッケージソフト(以下、パッケージ)」と「サービス(カスタマイズなど)」に投じたコストの構成比は、日本企業の場合はおよそ「1対10」という。一方の米国企業は「1対5」程度。日本企業は米国企業に比べ、2倍のカスタマイズを加えていることになる。
日本企業は、同業他社に対抗するための戦略として、「競争力の源泉」になる重要ITシステムに関しては、手組み(スクラッチ)開発やアドオンを加えた「作り込み」の傾向が強いことがわかる。
だがここ数年、「既存ITシステムを再利用する」ニーズが増え、大規模なシステムを「サービス」の集まりとして構築する設計手法「SOA」の考えが浸透してきたことで事情は変わってきた。
SAPジャパンでは、「5年後には、SOAが技術的にも定着する」(安田誠・バイスプレジデント ソリューション&マーケティング統括本部長)との見通しから、これを引き金に従来の「1対10」という比率は米国並みに近づき、スクラッチで開発していた「競争力の源泉」部分でもパッケージ化が進むと予測している。
日本の大手企業でパッケージの適用率が低いのは、オフコンや汎用機など「レガシーからの脱却が遅れたことで、スクラッチ開発に依存せざるを得なかった」(経済産業省の石川浩・情報処理振興課課長補佐)ことなどが起因しているようだ。
まだまだ低いERPの導入率
コンピテンシー分野が壁に
全体最適でシステムの見直しを
しかし、日本版SOX法や新会社法で内部統制強化が必須となり、企業自体がグローバル化してきたことで、財務会計や人事・給与の基幹系業務領域では、業界スタンダードのパッケージの浸透が進んでいる。
日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の「企業IT動向調査2006」によると、従業員1000人以上の大企業では、ERPパッケージの採用が初めて半数を超え、53%に達した。
受託ソフト開発専業のジャステックは、経験則として「オフコンをダウンサイジングする過程でERPの普及が進んだ」(柴山泰生・常務取締役)と語る。
JUASの細川泰秀・専務理事は「調達・顧客管理」はグレー(灰色)、「生産管理・販売管理」はホワイト(白色)のゾーンに属し、色が薄い(図表の上部)ほどパッケージ化は浸透していない【図1】。このゾーンは企業の『コンピテンシー(持続的に高業績を上げる分野)』で、パッケージでは代用できないからだ」と分析する。
大企業にとって「コンピテンシー」であり、「コア・コンピタンス(競争力の源泉)」に関わる業務は、実際に利用する立場やノウハウを熟知する担当者にしか理解できず、「自前で構築すべき」という考えが大勢を占める。
実際、「白色」「灰色」の分野は、海外で高い実績をもつSAPやオラクルでさえ、日本でのパッケージ浸透度は「低い」ことを認めている。
年商1000億円を超える大企業のERP市場は「飽和状態」と形容されることがある。
しかし、この領域でさえ、SAPのERPとオラクルの大企業向けERP「Enterprise Business Suite(EBS)」を合算しても、企業でのパッケージ普及率が半数に満たないのが現状だ。
このため、「国内市場でのERP需要はまだまだ『飽和状態』ではない」(SAPジャパンの安田統括本部長)と、“主戦場”での需要増を見込む。
国際化で「手組み」の限界も
パッケージとの混在が必要
日本の大企業は、トヨタ自動車など製造業を中心に海外展開を加速させている。
製造工場や事業所など世界拠点が増加し、連結会計や国際会計基準に対応した財務会計処理、日米の「SOX法」対応など、基幹システムに求められるシステム要件は増え続けている。
この部分をスクラッチでソフト開発するのは、「開発工数のうえでも限界が見え始めている」というのが情報サービス産業界の共通した認識になりつつあるようだ。
日本オラクルは「世界標準の技術や国際会計基準、多通貨多言語などに対応した当社業務パッケージは、確実に日本市場でも伸びる」(藤本寛・執行役員 アプリケーションマーケティング本部長)と、世界展開する大企業を中心にパッケージの拡大を見込む。
同社は、中堅・大企業向けERPをもつピープルソフトウェア(JDエドワーズ含む)と大手企業向けCRMのシーベルを相次ぎ買収し、中堅・大企業領域を含めたパッケージ展開で、来年度(07年6月期)から2年連続で、年率66%の売り上げ増を計画している。
SAPジャパンも、「スクラッチで対応できる分野は減る」(安田統括部長)との見通しから、5年後には年商1000億円以上の大企業へのERP導入社数が、現在の1.7倍になると予測する。
同じく日本ユニシスも、「SAPジャパンや日本オラクルが主張するほど急ではないが、パッケージに舵を切る大企業が増える」(稲泉成彦・品質保証部長)と同調する。
その理由について、「スクラッチで開発するソフト会社が、ユーザー企業のIT統制の適合にまで対応することは困難」だからだと語る。
複雑化したシステム要件を満たすには、パッケージとスクラッチ開発を混在させなければ、到底対応できないというのも事実のようだ。
部分最適の追求がゆがみ生む
全体見て開発か購入かの議論を
一方、パッケージかスクラッチ開発かの問題を、企業システム全体の最適化のなかで判断すべきだという見方もある。
国内を代表する大手SIベンダー、NTTデータの山田伸一・執行役員基盤システム事業本部長は「一般論になるが」と前置きして、次のように語る。「企業向けパッケージは増える。しかし、大企業にパッケージはひと通り行きわたったはずと認識している」。
同社では、銀行の勘定系システムをはじめ、法人向けの新規案件はパッケージが大部分を占めるという。逆に「スクラッチ開発に比べて開発費が低いパッケージ導入が増えたことで、企業は浮いたIT資金を新たな『競争力の源泉』となるシステム開発に投じる」(吉田佐智男・第二技術統括部長)と予測する。
そのため、全システムをスクラッチ開発する「フルスクラッチ」案件は減少するが、スクラッチ開発の総量は減らないという見解である。
日本経済は今、戦後最長の「いざなぎ景気」に匹敵する高景気に支えられ、企業収益の改善を背景に設備投資が増加している。
大企業を中心にIT投資も活発で、その余力を背景に、利用者数が少ない業務ですら「部分最適」を追求するためのIT投資が増えている。そのため、企業システムのなかに「利用率の低いシステム」が混在するという問題が生じている。
ガートナー・ジャパンの松原榮一・バイスプレジデントは「『Make(開発)かBuy(購入)』のトレンドは変化させる必要がある」と指摘する。
グローバル化の進展で企業システムは、『変化が早く』、しかも『連続して変化している』ため、『長期的スパン』で、どういうシステムをいつ導入すべきか、計画的な議論を深める時期にきている、と警告する。個別業務の最適化に目を奪われず、企業システムの全体像を把握し、「全体最適」を意識すべしという主張である。
ポートフォリオ管理でムダ省く
高まるIT投資効果評価への関心
柔軟に再構築可能な環境に
こうした「全体最適」のための判断ツールとして、ガートナー・ジャパンでは、改良型階層分析手法に基づく最適なソリューションを選択する「ITプロジェクト・ポートフォリオ管理」を提供している。
このツールを使えば、企業システムの無駄な部分を省き、「贅肉が落ちる」(松原バイスプレジデント)ことで「全体最適化」へ向けた動きを加速することができるという。
日本企業では「スピード経営」が求められ、企業戦略の変化に迅速に対応できるITシステムが必須の条件となっている。日本ユニシスの稲泉部長は「『リピータブル(繰り返し利用可能)』で『リユーザブル(再利用可能)』なシステム環境にする必要がある」と、柔軟で再構築が可能なSOA環境への移行やEA(エンタープライズ・アーキテクチャ)で基盤を構築する必要性を提唱する。
JUASの調査【図2】によると、ITの21個のトピックスから関心のある項目を選択する設問では、上位1-5位の合計で「IT投資効果評価」が全体の半数を超え、4位の関心事であることが分かった。ちなみに、1位は「セキュリティ」、2位が「ITコストの削減」、3位「システム再構築」となっている。
この調査結果は、今年から数年内に大手企業の大半が、ITシステムの「全体最適化」に着手することを示唆しているようにみえる。
企業システムを「全体最適化」しようという波は、確実に広がりをみせている。この動きを経産省も後押しし始めている。石川浩・課長補佐は「(スクラッチ開発の)受託ソフトかパッケージ導入かの議論をする前に、企業経営から見たITの利用・活用が欧米に比べ低いことを問題視している」と指摘する。
IT利活用の低さは日本企業でパッケージ利用率が低い理由とリンクするという。
共通化部分はパッケージで
低業績・非効率から脱却
米BPMフォーラムによると、英国国防省が、スクラッチ開発の業務システムを中心に無駄なアプリケーションを調査したところ、エンドユーザーの利用率が低く、重複利用が多いなどの理由で150の業務アプリケーションを減らせるという結果が判明した。これを棚卸しすることで1000万ポンド(日本円換算で約22億円)を浮かせられることが分かった(ガートナー・ジャパン)。
経営の視点から判断すれば、無駄を省き、投資対効果を精査することで、共通化できる部分は安価なパッケージで代用できるし、「競争力の源泉」部分だけをスクラッチ開発して開発効率を上げることも可能になる。
経産省がスクラッチ開発の割合が高いこととパッケージの低利用率がリンクすると判断しているのは、不用意なIT投資を避け「全体最適」をすれば、パッケージを加えたIT投資が増大し、情報サービス産業自体を成長軌道に乗せることができるとみるからである。
日本の受託ソフト開発を中心にするベンダーは、技術力に長けた一部を除き、経常利益率が10%を割る低粗利率の状況が続き、経営的な不安要因を抱えたままだ。加えて、ISVを含め、外貨を稼ぐために海外に進出できるベンダーが極めて少ない。
日本のソフト開発力は、世界のさまざまな学者が認める高水準にありながら、「低業績・非効率」を抱えたままで、海外進出はリスクが高すぎるという悪循環を生んでいる。
スクラッチ開発に固執せず、パッケージを混在させた「低価格・高品質」のシステム開発を志向するのは1つの考えであろう。
もっとも、混在環境は受託ソフト開発を手がけるほとんどのベンダーでも志向している。だが、大半は「顧客第一主義」を掲げ、ユーザー企業に「スクラッチ開発で」と言われればその通りにして、他のシステムを流用できそうな部分でもパッケージ導入に二の足を踏む。
「競争力の源泉」に集中投資を
「全体最適」がIT産業を成長軌道に
使い慣れたシステムを踏襲
保守的な発想が情報戦略を縛る
「全体最適化」という視点をユーザー企業と共有すれば、適材適所で選択できるはずだ。富士通の大島丈史・生産革新推進部部長は「発注者側、受注者側という分離した発想では、最適なシステムは構築できない。当社はユーザー企業と一緒に『超上流』(ユーザー企業が作成する仕様書の前段階)と呼ぶ企画段階から、業務プロセスなどに配慮したシステム設計をしている。そのうえで、スクラッチ開発とパッケージを適材適所に配置している」と、ソフト開発にあたって上流工程からの見直しの必要性を説く【図3】。
この考えは業界内に浸透し、ユーザー企業の理解を得る状況にあるという。それでも、欧米の公共機関に比べ「業務効率化を推進する官公庁のほか、自治体などですら、適用が進んでいない」(富士通の若杉賢治・情報化企画推進室室長)と、「全体最適化」を浸透させる難しさを実感する。
官公庁や自治体はもとより、日本の企業は、「終身雇用制」が定着し、欧米に比べ人材の流動が少ない。人材の流動が激しい欧米企業では、「誰もが使える」スタンダードな仕組みを必要としてきた経緯から、パッケージの利用率が高まってきた。日本企業がスクラッチで開発したソフトを利用する年数は10─20年という。人材が流動する率が低く、「使い慣れたシステムを踏襲する」傾向は、そのまま企業の情報戦略が極めて保守的な枠組みに固定化してきた歴史と重なり合う。
当然、反論もある。「ソフト開発力の低い欧米のソフトでは、日本の業務に適用できない。日本企業はコンピテンシーで勝負している。定型業務だけでなく、(世界スタンダードなソフトでは)『競争力の源泉』部分の業務ノウハウを盛り込めない」と語るのは、JUASの細川専務理事。
一方で、受託ソフト開発をするベンダーに苦言も呈する。「日本の受託ソフト会社は、なぜ営業利益率10%以上を目指さないのか。開発を効率化してコスト削減する手法はいくつもあるし、実現しているベンダーもある。『プロセス志向に始まり、プロセス志向に終わる』考えが問題だ。『プロダクト志向』があっての『プロセス志向』。こうした発想の転換ができれば、労働環境の改善もできる」。
細川専務理事は日本人の緻密性を生かす努力がベンダーに不足しているのみならず、「3K産業」のままではIT産業の人材不足が深刻化するだけだと危機感を募らせる。
新しいソフト流通の試みも
業種特化のノウハウを展開
一方、「フルスクラッチ」を見直す機運は、受託ソフト開発を手がける大手SIベンダーにも芽生え始めている。特定の業種業界に特化して構築した優良システムにある程度の汎用性をもたせ、同業他社に「横展開」する動きである。例えば、日本ユニシスは、地方銀行での基幹システム構築の実績をベースに開発した次世代オープン勘定系システム「BankVision」を、全国の地銀向けに導入を進めている【図4】。このような共通利用が拡大すれば「スクラッチ開発の人月・工数が削減できる」(稲泉部長)という。同社と若干異なるが、NTTデータも金融機関向け共同利用型システム「BeSTA(ベスタ)」で12行を受注した(サービス開始前含む)。
両社の共通利用型システムを「業界特化パッケージ」と呼ぶならば、国内のパッケージ浸透率はさらに高まる。
銀行に限らず他業種でも同様の展開ができれば、人月をかけ人海戦術で実施するスクラッチ開発は減り、受託ソフト開発のパイが小さくなる。同システムは、両社が「知的財産権」を所有し、他に販売することが可能だ。
しかし、他のスクラッチで開発したソフトの知財は、特別な法的規制はないものの、「慣習」として発注者の企業側に帰属している場合がほとんど。経産省なども、この知財の問題を含め、「全体最適化」や「超上流」の研究、企業システムの「信頼性を向上させる」ためのガイドライン作成に動き始めている。

【解説】
経産省、「戦略的導入」の指標作成
業態変革迫られる受託開発ベンダー
手組み(スクラッチ)で開発されたソフトウェアの品質問題が噴出し、欧米に比べ「全体最適化」も遅れる日本企業のITシステム。今年に入り、こうした課題を解決すべく、国や研究機関の動きが活発化している。従来のような、「明確な契約書なし」や「仕様書が曖昧」などという問題には、第一弾として年度内にも国のメスが入る。
「部門」の「壁」越えられず
経済産業省の「産業構造審議会・情報経済分科会」が、今年6月に発表した「情報経済社会の課題と展望」では、民間調査機関などのデータをもとに、日本企業が経営の視点からITシステムをどの程度「利用・活用」しているかを分析している。日本企業では、70%以上がITシステムを導入しても十分に利用できず、各事業所や工場ごとにITシステムが構築され、「部門」の「壁」を越えられないという。今回の分析は、IT投資に対し、どれだけ経営者が関与して戦略的にITシステムを利用しているかを、「企業経営とITの4つの段階」【図5】に分け、割合を示している。
日本企業の場合、最も初歩的な「第1段階」、つまりIT不良資産化段階にあたるのは6%と少ないものの、「第2段階」の「部門内最適化段階」が最も多く68%に達した。「部門」の「壁」を越え、「全体最適化」を拡大している「第3段階」の「組織全体最適化段階」が24%、「第4段階」の「企業・産業横断的最適化段階」が2%となっている。米ガートナー調査によれば、米国企業は第3段階が24%、第4段階が11%に達し、ITシステムを戦術的に利用する意識が高いという。
こうした調査を受け、経産省はITシステムの戦略的導入の行動指針となる「IT投資価値評価ガイドライン」を策定し、IT投資が経営に与える影響度(投資対効果)を導き出せるようにする。
また、今年6月に公表した「情報システムの信頼性向上に関するガイドライン」を基に、「信頼性評価指標」を示す。企業のITシステムを「重要インフラ」「企業基幹システム」「その他のシステム」に3分類し、信頼性を向上させるためのユーザー企業とベンダー双方が実施する項目を定める。いずれも、来年3月までに提示する。
日本の受託ソフト会社には、ジャステックのように、自社で確立したソフトウェア生産管理方式「ACTUM」により、採算に見合う工程管理を志向するベンダーも少なくない。同社は「不採算案件」をほとんど出さず、各業界1-5位の中堅・大企業を中心に受託し、経常利益率20%を超える実績をあげている。
情報処理推進機構(IPA)の鶴保征城ソフトウェア・エンジニアセンター所長は、「企業のITシステムは、最終的に人間がある程度の工数をかけて介在する必要があり、(受託ソフト開発を手がけるベンダーの)仕事量が減ることはない」との見方を示す。多くの業界関係者では、この考えが大勢を占めている。
ただ、経産省の石川課長補佐は「受託ソフト会社はパッケージに軸足を移すことになる。ある業種・業態・業務に特化したり、PM(プロジェクト・マネジメント)を得意とするベンダー、あるいは複数社の得意技を持ち寄りコラボレーションすることも広がる」という。パッケージの流通方法も、SaaS(Software as a Service)やASP、アウトソーシングという提供方法が登場し、変化している。受託ソフト会社は、パッケージの浸透率が高まることを背景に、業態を変化させる必要がありそうだ。また、大手SIベンダーも、協力会社の精査を開始した。下請けを受けるにしても、受託ソフト会社に「得意技」が求められる時代になったといえる。
今回の特集テーマ「スクラッチ開発は半減する」という仮説に関する確たるデータは収集できていない。しかし、企業のITシステムで「全体最適化」が進むことで、パッケージの比率が大幅に拡大することは確実な情勢で、ここに向けた備えが必要だ。
日本の大企業(ここでは、年商1000億円以上の企業)のITシステムは、欧米に比べて、新規にプログラム開発する「手組み(スクラッチ)開発」の比重が高いといわれる。一方、企業のグローバル化や「日本版SOX法」などの影響で、コストと工数のかかる手組み開発を見直し、パッケージを適用する案件が急速に増えている。SOA(サービス指向アーキテクチャ)などモジュール化するITシステムの浸透によっては、こうした動きにさらに拍車がかかりそうだ。この特集では「スクラッチ開発は半減する」という仮説を打ち出し、受託ソフトベンダーの課題や国の施策などを取材して、この仮説の検証を試みた。(谷畑良胤●取材/文)
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