その他
ソフトバンクBB セールスフォースと提携 SaaS製品を代理店販売
2006/11/13 21:10
週刊BCN 2006年11月13日vol.1162掲載
ソフトバンクBBは、国内のサービス型ソフトウェア「Software as a Service=SaaS)」に関連する企業向け「オンデマンドサービス」の代理店販売を開始した。セールスフォース・ドットコムと提携し、SaaS型のCRM(顧客情報管理)「Salesforce.comサービス」をSIerやVAR(付加価値型再販業者)などパートナーを通じ拡販する。この先、国内ISVなどが開発するSaaS型製品の取り扱いを増やし、1年後には、代理店を50社程度にする。最近、オラクルなど大手ソフトベンダーが相次ぎSaaS型サービス製品の提供を表明。物販の大手流通・卸による「オンデマンドサービス流通」の参入により、ソフト流通は大きな変革期を迎える。
1年後にパートナー50社へ ソフトバンクBBは10月1日、中堅中小企業向けソフト販売の一環として、全国のパートナーを通じSaaS製品を代理店販売する体制を築いた。 第一弾として、セールスフォース製品の代理店販売を行う。パートナーに対し、セールスフォースと共同で技術・導入教育を実施。パートナーは顧客企業先でカスタマイズや利用トレーニングなどを提供する。ソフトバンクBBは、セールスフォースのアプリケーション連携プラットフォーム「AppExchange」上で稼働するソフトを開発するパートナーの募集も行う。 今回のSaaS製品を販売するパートナーには、SIerやVARなどすでに15社が賛同。1年後に100社程度に増やし、取り扱うSaaS製品を50社程度から供給する計画だ。 鈴木勝久・コマース&サービス統括アプリケーションサービス事業推進室室長は「物販ではなく、オンデマンドサービスの“サービス流通”という位置づけ。SaaS製品といえども、サービス・ベンダーが直接ユーザー企業を開拓したり、サポートするには膨大な人員を必要とする。当社は、そのハブとしての役割を果たす」と、従来のパッケージソフトと同じ商流でSaaS製品を流通させるという。 SaaSは、自社サーバー不要で従量課金制のASPの「進化型ソリューション」と呼ばれる。ASPと異なり、市販ソフトやユーザー企業が独自開発した業務ソフトとデータ連携やカスタマイズができるのが特徴。複数の企業で1つのアプリケーションを共有できるモデル「マルチテナント方式」を実現している。例えば、ソフトバンク子会社の総合購買支援会社、ディーコープはウェブ見積システム「見積@Dee」と「Salesforce」をインフォテリアのEAIソフト「アステリア」で連携。そのデータを会計システムに取り込んでいる。 ソフトバンクBBは、携帯電話会社の日本テレコムやボーダフォンを買収し、「通信キャリア」としての地位を確立しつつある。コマース事業としては、この通信回線に乗せるコンテンツとして2004年8月、個人向け市販パッケージをADSLサービス「ヤフーBB」会員向けにストリーミング配信する「BBソフト」を開始。一方で、SaaS製品は、企業向けサービスとして確立を目指す。「ID単位の月額課金制なので、初期導入コストは安く、人事異動などに伴う項目名変更・追加などカスタマイズも簡単にできる」(鈴木室長)と、2-3年後には従量課金などが積み上がり、新事業の利益が急激に伸びると予測する。 セールスフォース日本法人によれば、今年7月現在で同社サービスの導入企業は、米メリルリンチなど大手企業から中小企業まで世界で2万4800社、利用者が50万1000人にのぼる。宇陀栄次社長は「初期投資が不要で、利用したユーザー数や月数の料金ですぐに開始できる。このため、ROI(投資対効果)を早期に上げられる。(ソフトバンクBBが代理店販売することで)ローカルのソフトハウスがSaaS製品の開発に取り組むチャンスが広がる」と、自社サービスを含め、SaaS製品が国内で急速に拡大することを期待している。 国内では、SaaS型のサービスとして、日本オラクルが買収したシーベル製品を統合したCRMを提供するほか、サイボウズが来春にもSFA(営業支援システム)を出す予定。SaaS型の業務アプリケーションを提供する米ネットスイートも、今年4月に日本市場へ参入。実現は先延ばしになったが、マイクロソフト日本法人が10月に提供を開始したCRM「Dynamics CRM」も、SaaS型での提供を検討していたほど、日本市場で「SaaS型のサービスが本格化する可能性が高まった」(宇陀社長)といえる。 ただ、米セールスフォースによれば、オラクルやマイクロソフト、SAPなどのSaaS製品は、「シングルテナント方式」(1つのアプリケーションを1社だけで利用するモデル)向けのソフトをホスティングしているだけという。これを「マルチテナント方式」に変換するには、しばらく時間を要するようだ。 全国約1万拠点を超すパートナーを抱える大手流通・卸のソフトバンクBBが、企業向け「オンデマンドサービス」の流通を開始したことで、“箱売り”のソフトを提供するISVに影響を及ぼしそうだが「企業に選択肢が広がるだけで、物販と対立するサービスではない」(鈴木室長)と、本格的な需要前にあるSaaS製品を先駆的に取り扱うことで「先行者利益」の獲得を狙う。同社の参入は、ソフト流通が新たな局面に入ったことを意味している。
ソフトバンクBBは、国内のサービス型ソフトウェア「Software as a Service=SaaS)」に関連する企業向け「オンデマンドサービス」の代理店販売を開始した。セールスフォース・ドットコムと提携し、SaaS型のCRM(顧客情報管理)「Salesforce.comサービス」をSIerやVAR(付加価値型再販業者)などパートナーを通じ拡販する。この先、国内ISVなどが開発するSaaS型製品の取り扱いを増やし、1年後には、代理店を50社程度にする。最近、オラクルなど大手ソフトベンダーが相次ぎSaaS型サービス製品の提供を表明。物販の大手流通・卸による「オンデマンドサービス流通」の参入により、ソフト流通は大きな変革期を迎える。
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