その他
揺れる2.5GHz帯周波数 安堵の表情をみせる免許取得者
2008/01/21 14:53
週刊BCN 2008年01月21日vol.1219掲載
2007年12月21日、モバイルWiMAXなど高速ワイヤレス配信サービス提供可能な2.5GHz周波数の割り当てを受けた事業者が決定した。免許取得者は、KDDI率いるワイヤレスブロードバンド企画とウィルコムの2社。とくに、“KDDI陣営”は取得できるかどうかが最後まで分からなかっただけに嬉しさもひとしおの様子だ。一方、周波数を割り当てられなかった事業者は憤りをみせている。2.5GHz帯周波数帯を巡る免許は、取得決定後も揺れている。(佐相彰彦●取材/文)
落選者は憤りをあらわに
■免許取得をいち早く発表 具体的な事業計画も
総務省電波監理審議会から2.5GHz帯の割り当てを受けたワイヤレスブロードバンド企画は12月21日夜、都内で記者会見を開いた。免許取得直後の緊急会見だったため、開始時刻は18時から。「皆さんに少しでも早く伝えたかった」と田中孝司社長(KDDI取締役執行役員常務)は説明。加えて、「長い年月を費やしてKDDIが取り組んできたWiMAXに関する研究開発が認められたということ」とアピールした。激しい戦いを覚悟してでも免許を取得したかったのだろう。免許の枠2つに対して4社が争うという激戦を勝ち抜いたからか、田中社長は記者会見で安堵の表情をみせていたのが印象的だった。
その会見ではWiMAXをベースとした具体的な事業計画も発表された。08年2月末をめどに170億円まで増資し、3月上旬に事業会社化する予定とのことだ。サービス開始は09年夏からで、それに先駆けて同年2月より東京23区、横浜などを対象エリアとして試験サービスを実施。エリア展開は13年3月末までに人口カバー率90%超を目指す。加入者は14年3月末で約560万人と見通す。売上高については、14年3月末時点で1450億円、サービス開始4年後で単年度黒字の達成させる。
■要望書を提出する陣営 遺憾を示すリリースも
一方、免許取得の枠から外れた陣営は、憤りを隠せない模様。イー・アクセスとソフトバンクグループが主要株主であるオープンワイヤレスネットワークは免許取得の認定が決まる前日の20日、総務大臣と電波監理審議会長に要望書を提出。さらに、イー・アクセスの千本倖生会長やソフトバンクBBの宮川潤一専務など中核人物の出席による記者会見を都内で緊急に開催したほどだ。
要望書提出の理由は、MVNO(仮想移動体サービス事業者)の条件を認定時に明確にすることが最大のポイントだからという。確かに、ほかの陣営に先駆けてMVNOを前面に押し出した事業計画を進めていたのはイー・アクセスとソフトバンクグループの陣営だ。総務省が提示した免許取得の条件をとくに重視していたにもかかわらず、枠から外れたのは納得できないというわけだ。
また、要望書には「2.5GHzの周波数を使用した特定基地局の開設計画の認定について、12月21日開催の電波監理審議会の諮問前にもかかわらず、総務省関係者でなければわからないような情報に基づく報道が繰り返されていることは、情報管理や公正な審査という点から残念である。また、申請各社および出資会社の経営に重大な影響を与える審査であるため、電波監理審議会には慎重な審議を要望したい」と記してある。さらに、「諮問内容の公開およびそれに基づく意見聴取」「審査期間の公正性」「モバイルWiMAX技術を選択する事業者」「厳格な財務審査」「アイピーモバイル跡地の周波数利用も考慮した審議」「事業者選択」の6つをポイントにあげて要望書を提出したとしている。
アッカ・ワイヤレスでは、事業者の認定を受けられないとの結果が分かった21日に「誠に遺憾」と表現したリリースを報道関係者向けにファクスやeメールなどで配信した。
■SPとの関係が気がかり WiMAXの普及なるか
免許取得が可能な2枠のうち、獲得したのはワイヤレスブロードバンド企画とウィルコムの2社となったわけだが、気がかりなのはイー・アクセス/ソフトバンク陣営が指摘していた複数のサービスプロバイダ(SP)によるWiMAXなどを中心とした高速ブロードバンドサービス提供が実現するかどうかだ。オープンワイヤレスネットワークやアッカ・ワイヤレスにはSPの出資があった一方、ワイヤレスブロードバンド企画はSPの出資を受けていない。「今後も、SPから出資を受けることは考えていない」(ワイヤレスブロードバンド企画の田中社長)と言い切っている。
ワイヤレスブロードバンド企画には、インテルが出資しているため、パソコン向けのWiMAX関連チップの開発を進めるなど端末に関しては揃うと見込まれる。しかし、関連サービスを広めていくうえでは、SPとのパートナーシップをうまく確保していけるかどうかが重要な要素といえそうだ。
2007年12月21日、モバイルWiMAXなど高速ワイヤレス配信サービス提供可能な2.5GHz周波数の割り当てを受けた事業者が決定した。免許取得者は、KDDI率いるワイヤレスブロードバンド企画とウィルコムの2社。とくに、“KDDI陣営”は取得できるかどうかが最後まで分からなかっただけに嬉しさもひとしおの様子だ。一方、周波数を割り当てられなかった事業者は憤りをみせている。2.5GHz帯周波数帯を巡る免許は、取得決定後も揺れている。(佐相彰彦●取材/文)
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