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問題解決に効果は見込めるか!? NEC、SI革新活動を本格化
2008/02/18 21:10
週刊BCN 2008年02月18日vol.1223掲載
NEC(矢野薫社長)は、ソリューション事業のSI革新活動について発表した。営業担当者による商談から契約までのプロセス、SIエンジニアリングの追求、SEリソースの強化でシステムのライフサイクルを体系化。SI案件で浮上していた、これまでの問題を果たして解決できるのか。(佐相彰彦●取材/文)
体系化による利益率の改善へ
■顧客視点を取り入れる
NECのSI革新活動は、多様化・高度化が進む顧客ニーズに対応し、システムの企画から開発、運用までのライフサイクルを見直すことで高品質のシステムを提供するというもの。相澤正俊・取締役執行役員専務は、「顧客のビジネスが変化するのにともない、ITシステム形態も変化していかなければならない。ITシステムはいまや経営や社会に与える影響が大きくなっている。こうした状況を視野に入れて最適なソリューションを提供していく」と訴える。
これまでもシステム提供にあたり、「2005年度に100億円弱あったロスコストを06年度に50億円程度まで引き下げた」という実績がある。革新活動によって、「引き続き前年度比50%減を維持したい」考えだ。具体的には、営業プロセスの改革、SIエンジニアリングの追求、SEリソース施策といった3つの枠組で実践していく。
営業プロセスの改革では、ソリューション提案力の強化に向けて実践的コンサル要員の配置による業務提案やIT戦略の提案サポートを強化。営業とSEの各担当者のなかからエキスパートを選定する。辻孝夫・システム技術統括本部長は、「現段階で27人を確保している。今後3年間で160人の配置を見込む」としている。
SIエンジニアリングについては、システム開発標準「SDE(システム・ディレクタ・エンタープライズ)」を活用したプロジェクトを現在の250案件から今後3年間で1200案件に増やすことを目指しているほか、プロジェクト管理標準「APPEAL(アピール)」を全プロジェクトで適用。「標準化モデルを活用しなければ役員クラスにまで報告が行くといった罰則規定の策定も検討しなければならない」(辻本部長)としている。「アピール」は、大企業向けに作られたものだが、「今後は中小規模向けにも提供できるような管理標準を作る」ことを検討している。
SEリソース施策では、国内で契約している開発会社のなかで100社程度を重点パートナーに位置づけて技術ノウハウの提供や品質教育の実施などを行うほか、オフショア開発体制を確立。オフショア開発会社「NECソリューションズ中国」の日本法人を昨年11月に設立したことを生かしていく。
■“SI事業の近代化”を実現
SI事業の徹底的な効率化は、「営業利益率を現状比でプラス1%を早急に達成するため」(相澤執行役員専務)という。革新活動を進めれば、「将来的には、SIイノベーションの促進、市場取引の明確化、IT人材価値の可視化という“SI事業の近代化”につながる」と見据えているわけだ。
しかし、古くからSI事業を手がける同社があえて革新活動に踏み切らなければ“SI事業の近代化”を果たせないということなのか。辻本部長は、「30年以上も前からSI事業を手がけてきて、これまで各組織や各案件など細かい部分では進めてきた。今後は、全体的に体系立てることで、当社と顧客の双方にとって良い結果に結びつけることが重要」と説明する。
確かに従来、要求仕様がベンダーとユーザー企業側の間で一致していない取引が交わされ、ベンダーが不採算案件を多発させるといった時期もあった。こうしたトラブルを予防しようとベンダー各社は力を注いできたわけなのだが、元を正せばベンダー側の提案不足や予算達成に向けた強引な案件獲得などから発生したものともいえる。革新活動は、ユーザー企業にとって最適なシステムを提供するという当たり前の行為を、やっとベンダーが実行できるようになるだけに過ぎないという面もある。
NEC(矢野薫社長)は、ソリューション事業のSI革新活動について発表した。営業担当者による商談から契約までのプロセス、SIエンジニアリングの追求、SEリソースの強化でシステムのライフサイクルを体系化。SI案件で浮上していた、これまでの問題を果たして解決できるのか。(佐相彰彦●取材/文)
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