プロモーション活動に変化巻き起こすか
過日、アイ・オー・データ機器とシステム開発会社サイバーステーションが協業し、ASPサービス「アイオーWebパイロット」を発表した。提供するサービスはもともとアイ・オー・データが自社のオンラインサイトで使っていたものだ。動画を使って商品のプロモーションを行ったところ、評判を呼び、売り上げの増加に貢献したという。
動画といえば、これまでどちらかといえば、消費者の間で盛り上がりを見せたコンテンツだった。それが、少しずつではあるが、企業に浸透してきているようだ。
冒頭に紹介したのは、動画共有サイトに抵抗がある企業向けのサービスだが、動画共有サイトでも新しい動きが出てきている。
「YouTube(ユーチューブ)」は消費者参加型の動画投稿・共有サイトでグローバルで人気を誇っている。だが、動画の著作権、悪質動画などが問題としてしばしばやり玉にあがっていたことでも有名だ。以前、国内で動画配信サービスに参入した企業は、YouTubeを引き合いに出し、著作権や悪質動画を相違点としてあげ、自社サイトの安全性を訴えていたほどだ。
だが、最近の動きでは、企業や政治団体がYouTubeと契約し、専用の動画配信ページ「ブランドチャンネル」を立ち上げている。YouTubeチャンネルという機能は、ユーザーが好みの動画を収集し、またそれを他のユーザーとも共有できる機能だ。
インターネット視聴率を調査するネットレイティングスの調査によると、2007年2月に家庭からの利用者が1000万人の大台を突破したという。1000万人以上の消費者が利用するなかでの情報発信はプロモーションに大きな役割を果たしそうだ。ほかにも、動画配信エンジンを使い、企業側からのプロモーションだけでなく、企業が消費者のアイデアを取り込むような、投稿ページなどにも動画は利用されている。
動画検索専門サイトを運営する経営者のひとりは、「企業と提携すれば、自社のIRとしても使うことができるし、また、行政が使えばHPに埋め込んでキャンペーンとしても活用可能」と話す。同社はYouTubeのように動画を収集して他のユーザーと共有するだけでなく、あるテーマに合わせて、他の動画共有サイトを横串で検索し、収集した動画をさらにつなげて「番組」を作成する機能を提供している。こうした、「あるテーマを元に収集するという機能が発展してくれば、現在の玉石混交の動画共有から、特定のテーマに沿って専門化した動画共有、もしくは配信サイトが生まれてくる可能性もありうる」と、その経営者は将来の動きを予測する。
すでに国内でもいくつかの共有サイトが立ち上がっているが、玉石混交であって、その勢いは海外サイトに劣る。だが、こうした動画共有に対して、専門化した動画サイトが出来上がれば、既存の動画共有サイトとは一線を画すことができ、活路を見出せそうだ。また専門化することにより、例えば企業がプロモーションを打つ場合、本当に訴求したい相手にターゲットを絞ることできるわけで、このこともビジネスチャンスにつながりそうだ。