その他
動き急! 事務機メーカー ITS事業の強化相次ぐ
2008/02/25 14:53
週刊BCN 2008年02月25日vol.1224掲載
事務機メーカーグループがITソリューション(ITS)事業を相次いで強化している。キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)がITS新会社を早期に年商1000億円へ拡大させる方針を示すのに対して、コニカミノルタビジネスソリューションズはSIerのシーイーシー(CEC)と合弁会社を新設し、ITS事業に本格進出する。主力のモノクロ複写機・複合機の国内出荷台数が前年割れを続けるなかで、ITSに活路を見いだす動きが活発化している。(安藤章司●取材/文)
新会社や合弁設立で攻勢
■MFP依存では成長困難
キヤノンMJは今年度(2008年12月期)減益の見通しを示す。直接的にはステッパー(半導体露光装置)など産業機器分野で前年割れが続くためだが、複合機(MFP)を中心とする主力のドキュメント関連ビジネスの伸びが鈍化していることも影響している。
キヤノングループ全体で見れば、海外でのビジネスが好調に推移。しかし、キヤノンMJの担当エリアである国内では、既存ビジネスの延長線上で大きく成長するのは難しい。キヤノングループ全体の年商に占めるキヤノンMJの比率は03年度には23.7%あったものが、10年度には同17.0%に落ちる見通し。国内の伸びの鈍さが目立つ。
そこで打ち出したのが、新会社キヤノンITソリューションズを中核とするITSビジネスの拡大だ。同社は今年4月にキヤノンシステムソリューションズとアルゴ21が統合して誕生する。金融や製造、医療などの分野に注力することで、「早期に年商1000億円企業に育てる」(キヤノンMJの村瀬治男社長)。キヤノンMJグループ全体ではITS全領域で年商3000億円を目指すと強気の姿勢を崩さない。
4月には、コニカミノルタグループと大手SIerのCECの合弁会社も立ち上がる。国内販売を担当するコニカミノルタビジネスソリューションズ(コニカミノルタBJ)は、キヤノンMJなど比較的早い段階でITSに進出した販社に比べて出遅れた印象があったが、CECとのアライアンスによって「ITS領域を拡大させる」(コニカミノルタBJの川上巧社長)と猛追する構えをみせる。
コニカミノルタBJとCECの合弁会社のコニカミノルタビズコムでは、MFPをベースとしたシステム構築やITシステムの運用サービスを柱に据えている。ネットワークへの接続機能を備えたMFPは、「オフィスの主要サーバーの1つとして威力を発揮する」(CECの新野和幸社長)と、業務システムやウェブなどが稼働するサーバーと並んで重要な要素と位置づける。文書管理や内部統制の強化、情報セキュリティなど、MFPを軸としたSI需要を取り込んでいくことで、コニカミノルタビズコムでは設立5年以内に売上高100億円の達成を目指す。
中堅・中小の顧客企業では、自前でITシステムを管理する要員が不足する傾向にあることから、CECのITアウトソーシングサービスをベースとした運用管理サービスにも力を入れる。CECは大口顧客の主要10社で売上高の半分強を占めるなど、大手顧客の比率が高い。コニカミノルタBJと組むことで中堅・中小の顧客ベースを厚くできるメリットがある。
■SI業界の新たな勢力に
キヤノンMJは、キヤノンITソリューションズの発足に当たってアルゴ21をM&Aする方法を採った。一方、コニカミノルタBJはCECと直接的な資本提携はせず、合弁会社をつくった。CECが他の事務機メーカーや系列販社とも良好な関係を保つことで、MFPベースのSIやITサービスの横展開の進展を狙っていることが影響しているとみられる。「マルチベンダーのSIerであることに変わりはない」(CECの新野社長)と、メーカーとの“等距離外交”を基本に据えることで新たなビジネスチャンスにつなげる戦略を描く。
キヤノンやコニカミノルタだけでなく、リコーグループなど他の有力MFPベンダーもITS事業に力を入れる。資本力のある事務機メーカーのこうした動きは、情報サービス産業における競争をさらに激化させる。SIerに対するM&Aが活発化することも予想される。その反面、CECのようにMFPベンダーや販社とうまくアライアンスを組むことで、相互にメリットのあるビジネスモデルを構築する取り組みなど、新たなビジネスの可能性も広がる。
事務機メーカーグループがITソリューション(ITS)事業を相次いで強化している。キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)がITS新会社を早期に年商1000億円へ拡大させる方針を示すのに対して、コニカミノルタビジネスソリューションズはSIerのシーイーシー(CEC)と合弁会社を新設し、ITS事業に本格進出する。主力のモノクロ複写機・複合機の国内出荷台数が前年割れを続けるなかで、ITSに活路を見いだす動きが活発化している。(安藤章司●取材/文)
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