その他
モバイルビジネス とりどりの花を咲かせるか
2008/07/21 14:53
週刊BCN 2008年07月21日vol.1244掲載
携帯電話やスマートフォンなどモバイルビジネスの多様化に向け、総務省がプラットフォームの連携強化を掲げている。まだまだ課題が多いが、成功すればベンダーの新規参入を促すことに大きく貢献する可能性を秘めている。(佐相彰彦●取材/文)
総務省、通信基盤の連携強化促す
■連携強化で利便性高める
このほどブロードバンド推進協議会(BBA)が業界関係者向けに行ったセミナーで、総務省の谷脇康彦・情報通信国際戦略局情報通信政策課長が「通信プラットフォームの連携による新ビジネスモデルの創造」と題して講演した。内容は、通信プラットフォームの連携強化を促すというもの。携帯電話サービスで課題にあがる認証・課金の問題を払拭させる総務省の取り組みや考えをまとめたものだった。
携帯電話サービスのサイトは今のところ、通信事業者が認定する「公式」と、それ以外の「一般」に分類されている。公式サイトでは、認証・課金の機能は共通であるのに対し、一般サイトは各サイトによって異なる。ユーザーにとっては使い分ける面倒が生じるほか、「ナンバーポータビリティ」などで携帯事業者を変更した際に新端末でダウンロードしたコンテンツの継続利用が行えないなどの問題が生じている。コンテンツプロバイダなど提供側にとっては、認証・課金の機能を開発する手間やコストが発生するほか、公式サイトと同程度の課金容易性を確保できないといった影響が出ている。そのため、通信プラットフォームを「共通化」とはいかないまでも連携強化することによって、ユーザーの利便性向上やコンテンツプロバイダの参入を促したいというのが総務省が思い描く構図なのだ。
■ビジネス創造に期待
これまでの取り組みとしては、通信市場の競争施策「新競争促進プログラム」を昨年10月に改定。小売店に対する携帯電話の販売奨励金を撤廃した販売モデルや、MVNO(仮想移動体サービス事業者)の促進、“ただ乗り論”と称されたネットワークの利用やコスト負担の公平性を謳った「中立性の三原則」などを明確化した。これにより、総務省ではアプリケーションベンダーやウェブサービス事業者による新規参入を図りやすいオープン型モバイルビジネス環境作りが整備されつつあるとみている。しかし、ユーザーの利便性を考えれば認証・課金の問題を払拭しなければならない。谷脇課長は、「消費者がスムーズに通行料を支払える仕組みが必要。そうでなければ快適な“ハイウェー”とはいえない」と表現する。
総務省では、プラットフォームの連携強化が実現すれば、アプリケーションレイヤにおけるプロバイダの増加や端末レイヤでのベンダーによる新しいコンセプトの機種開発、通信レイヤでMVNOの増加、レイヤをまたいだ領域での他業種からの参画などを見据える。これにより、通信事業者とパートナーシップを組まなければ行えなかった1社単独のビジネスモデルによる携帯電話関連サービスだけでなく、「複数の企業連合による協働指向などビジネスモデルが多様化するのではないか」とみている。しかも、携帯電話だけでなく固定電話も含めたサービスも実現することをイメージしている。
行政が介入し過ぎるのは問題があるものの、ビジネスモデルを多様化させることは情報通信業界を活性化させるうえで効果がありそうだ。個人市場だけでなく、法人市場でも携帯電話を絡めたソリューションに対してユーザー企業からのニーズが高まりつつある。一方、プラットフォーム連携が乏しいため、ソリューション案件が具現化していないのも現実だ。
プラットフォームを連携させるための技術面や、特定ベンダーだけが得する可能性を排除する制度づくりなど、解決しなければならない点は少なくないが、携帯電話や固定電話を組み合わせた新しいビジネスモデルの創出に期待したい。
携帯電話やスマートフォンなどモバイルビジネスの多様化に向け、総務省がプラットフォームの連携強化を掲げている。まだまだ課題が多いが、成功すればベンダーの新規参入を促すことに大きく貢献する可能性を秘めている。(佐相彰彦●取材/文)
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