その他
NEC 法人向けPC、受注再開
2008/08/11 21:10
週刊BCN 2008年08月11日vol.1247掲載
突然の部材調達難で、受注停止に追い込まれたNEC(矢野薫社長)の法人向けデスクトップPC事業。この記事を掲載した直後の7月24日、NECは一部モデルで受注を再開した。7月7日の受注停止から約3週間で再開にこぎつけたことになる。異例の速さで復活した同社のPC事業。現場で何が起きていたのか。奔走した担当者の声をもとにその経緯を振り返ってみたい。(木村剛士●取材/文)
“空白の3週間”に起きたこととは
■部品業者の操業停止が発端 金型引き上げ不可能で状況悪化
NECを襲った受注停止という今回のアクシデント。デスクトップPCを生産する際に使っていた筐体部品の台湾メーカー、エバースキルテクノロジーが経営難で操業停止になり、部品が全く調達できなくなったことが、その原因だった。
実は、NECはエバースキルと直接契約はしていない。NECとエバースキルの間には、海外のODM(相手先ブランドによる設計・製造)メーカーが存在しており、NECはこの業者と取引契約を交わしていた。ODMメーカーは、今回の筐体部品を含めいくつかのPC部品を組み合わせ、一定レベルまで組み立て、NECに納入する仕組みだった。NECがそのODMメーカーと契約を交わしてから4-5年ほどが経過している。「過去にこんな事態に陥ったことはなかった」と楓慎一・パーソナルソリューション企画本部マネージャーは驚きを隠さない。
NECが部品調達不能になった事実を把握したのは6月下旬。その後の7月4日、販売店とユーザーに対して7月7日から受注停止することを告知した。エバースキルの部品を使っていたのは、NECが販売する全PCの約30%(2007年販売実績、ノートPCも含む)。「その時は再開のメドが立っていないだけに最悪の事態も考えた」(久代智・ビジネスPC事業部マーケティンググループグループマネージャー)。筐体部品を製造する際に必要な金型をエバースキルから引き上げ、ほかの部品メーカーに生産委託すれば再開は早いが、それができなかったことも追い討ちをかけ、最悪の事態を想定せずにいられない状況に陥っていたのだ。
■異例の速さで受注再開 販売店からは理解示す声が
先が見えないなか、7月第1週からNECの緊急対策が打たれ始めた。エバースキルから金型を引き上げるよりも新たにつくったほうが速いと判断。グループ会社でPCを開発・生産するNECパーソナルプロダクツ米沢事業場の担当者の協力を得て、新しい金型を製作した。その後、海外ODMメーカーと代替の部品メーカーを選定。通常2-3か月はかかる作業を2-3週間でこなしたことになる。「とにかく、できる限り迅速に受注再開するためには何をどうしたらよいかを考えた」と久代グループマネージャーは振り返っている。
7月24日、受注停止していた法人向けPC4モデルのうち2モデルの受注再開を発表。8月19日に出荷開始する体制を整えた。ほかの2モデルも8月中旬に受注再開日を告知するスケジュールで準備している。
NECはこの3週間の機会損失を重く受け止めているものの、期首に定めたPCの年間販売台数を下方修正していない。久代マネージャーは言う。「販売会社やユーザーのなかには、当初は怒りを顕わにしている人も当然いた。だが、販社は一定の理解を示してくれ、各販社が持つユーザーに丁寧に説明してくれた。これは非常にありがたかった」。
今回のトラブルがシェアにどう影響するか。結果が出るのはまだ先だが、ある販社は「予測以上に再開時期が早かった」と驚く。異例の速さで受注再開にこぎつけたNECの対応力を評価しているのだ。
今後、ほかの部品でこのようなことが起きないとも限らない。約3週間で再開にこぎつけた今回のケースはまだましだったのかもしれない。今回の事実を踏まえて、万一に備えた対策を今後どう講じるのか。ユーザーにはもちろんだが、販社にも安心感を与える意味で、それを伝える必要があるだろう。
突然の部材調達難で、受注停止に追い込まれたNEC(矢野薫社長)の法人向けデスクトップPC事業。この記事を掲載した直後の7月24日、NECは一部モデルで受注を再開した。7月7日の受注停止から約3週間で再開にこぎつけたことになる。異例の速さで復活した同社のPC事業。現場で何が起きていたのか。奔走した担当者の声をもとにその経緯を振り返ってみたい。(木村剛士●取材/文)
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