OKIデータ(杉本晴重・社長CEO)は10月8日、「一般オフィス」向けページプリンタとデジタル複合機(MFP)の新ブランド「COREFIDO(コアフィード)」を立ち上げた。同ブランド製品としては、A3カラー複合機(MFP)やカラーとモノクロのシングル機の計7機種を新たに投入。A3カラーMFPは同社初で、プリンタベースMFPの市場でセイコーエプソンと全面対決する。また、プリンタ業界で初めて、これまで半年間だった無償保証期間を5年間に延長。「一般オフィス市場」では、ブランド認知度が低いOKIデータ製品を、こうした差別化戦略で浸透させていくことを狙う。(谷畑良胤(本紙編集長)●取材/文)
■一般オフィス製品を品揃え 今回、新ブランド名で新たにリリースしたLED(発光ダイオード)プリンタは7機種。 10月中旬から順次発売するのは、同社初のA3カラー複合機で大量給紙モデルの「MC860dtn」(毎分印刷枚数・カラー26枚/モノクロ34枚)とデスクトップ型の「MC860dn」の2機種、大容量給紙に対応したA3カラーページプリンタ「C830dn」「C810dn-T」「C810dn」(いずれも毎分カラー30枚/モノクロ32枚)の3機種、A4モノクロページプリンタで同社初の自動両面印刷に対応した「B430dn」「B410dn」(毎分モノクロ28枚)の2機種。舘守.執行役員国内営業本部長は「これで、1企業内のプリンタ環境を当社製品だけで整備できるラインアップが整った」と、セイコーエプソンなど競合他社と渡り合えるようになったとアピールする。
同社の「一般オフィス」向け製品ラインアップは競合他社に比べ手薄感があり、1企業内のプリンタ環境を同社単一で整備したい顧客やパートナーの要望に応えるまでになっていなかった。しかし、今回のラインアップの増強により「中小企業を対象にプリンタ販売するソリューションディーラーで、1社に複数台販売するような直販部隊などに受け入れられやすくなる」(舘・執行役員)と、プリンタ販売大手などを意識する。
■国内シェア10%狙う 得意分野のDTP/POPに比べ後発の「一般オフィス」市場へ本格参入するうえで、このハンデを解消するために、OKIデータではこれまで半年間だった無償保証期間をプリンタの法定耐用年数である5年間に延長する斬新な差別化戦略を打ち出した。
競合他社の無償保証期間は、半年から1年間が一般的。この期間を超えて製品故障が発生した場合は、修理費用がかかる。OKIデータはこれを無償にし、コスト削減ニーズの高い顧客へ利用を促していく。
プリンタベースのA3カラー複合機でカウンターチャージ方式でない製品は、現時点でセイコーエプソンの「Offirio(オフィリオ)」シリーズだけとなっている。同社とOKIデータは、パートナー獲得を含め営業シーンで競合する機会が増えそうだ。OKIデータの今年度(2009年3月期)の国内売上高は約250億円を見込む。
新ブランド立ち上げに伴って、「一般オフィス」向けや新製品を使った「特定用途」向けを拡大し、2010年度(11年3月期)に500億円にまで引き上げ、国内カラープリンタ市場で10%のシェア獲得を目指す。
──新ブランド「COREFIDO(コアフィード)」の狙いは。 杉本晴重・社長CEO 今回、当社初のA3カラー複合機(MFP)を出しMFP市場に本格参入する。「一般オフィスをやる」というアピールとともにブランド認知度を高めたい。 ──A3カラー複合機を出したことで、プリンタベースのMFPを持つセイコーエプソンと“ガチンコ勝負”になる。 舘 その通り。逆に、現在はカウンターチャージがなくプリンタベースのMFPは、セイコーエプソンしかない状態。顧客やパートナーにとっては選択肢が増えたということだ。第3、第4のメーカーに参入してもらうことで、この市場を活性化させるという狙いもある。 ──コピーメーカーとの違いは。 舘 コピーメーカーは大型のMFPを置く「集約型」だが、当社の戦略は一般オフィスで発生する印刷業務を効率よく「分散」しながらも、設置面積を取らない提案をする形だ。 ──「5年間無償保証」という競合他社にない制度の意図は。また、有償保証全廃の売り上げへの影響も心配だが。 杉本 一般オフィスは市場認知が優先されるので、良い製品であっても壁があった。顧客にメリットを即座に分かってもらえる方法として打ち出したのが無償保証制度だ。サービス保守料が売上高に占める割合は、そんなに高くない。台数シェアを上げて、売り上げを底上げするモデルにしていく。 ──今回の新ブランド製品や戦略がパートナーに与えるインパクトは。 舘 顧客やパートナーからは、セキュリティ強化やネットワーク監視などの利用を拡充するうえで、単一メーカーで一般オフィスのプリンタ環境を整備したいという要望がある。今回、A3カラーMFPやA4モノクロ両面機などを出してラインアップを揃えたことで、そういうニーズに応えられる。 |