課題はネットワーク低迷の打破
SIとNIの融合ビジネスを標榜するベンダーが今年度中間期で大幅な利益拡大を実現している。
SIerの三井情報開発とNIerのネクストコムの統合で誕生した三井情報は、売上高253億7500万円(前年同期比6.8%減)と微減だったものの、営業利益18億400万円(57.4%増)、経常利益18億9200万円(52.1%増)、最終利益9億6200万円(54.6%増)と伸びた。下牧拓社長は、「ネットワークインフラ構築を含めたSIを提案できるようになった」と自信をみせる。NIerを傘下に収めたSIerの日本ユニシスは、売上高1468億9000万円(3.6%減)、利益については営業利益が41億1700万円(35.0%増)、経常利益38億4400万円(23.9%増)、最終損益16億6800万円の黒字(前年同期は43億6200万円の赤字)となった。籾井勝人社長は、「高循環のサイクルに入った」とアピールする。
三井情報が利益拡大を実現したのは、内部統制関連のコンサルティングが好調だったことが大きな要因。「システムコンサルティングで戦略的な展開を行ったことで案件が獲得できた」(下牧社長)としている。加えて、これまで獲得してきた大型システム構築の運用・保守が利益を押し上げたようだ。日本ユニシスは、「無理に案件を増やすのではなく、確実に利益が確保できる案件だけを獲りに行った」(籾井社長)としている。赤字案件をなくすために、案件増にはこだわらなかったというわけだ。
両社とも、SIとNIの融合ビジネスで利益を確保できる体制が整いつつあるということだが、SIと両輪をなすネットワーク事業はどうなのか。三井情報では、「ネットワーク機器の販売に関しては、依然として厳しい」(下牧社長)と打ち明ける。日本ユニシスの籾井社長も、「ネットワーク機器市場は成熟期であるため、大きな伸びは期待できない」と認める。
では、SIとNIの融合ビジネスというのは一体どのようなものなのだろうか。「新しいソリューションを創造するもの」(三井情報の下牧社長)と表現する。同社では、新収益基盤の一つとして業務アプリケーションでERPとSCMを組み合わせたビジネスを手がけようとしている。「基礎収益体力を持つITベンダーこそが成長路線を築けるだろう」(下牧社長)とみているためだ。ネットワーク関連では、NGNやWiMAXなどの認証システム開発を進める計画だが、あくまでも「SIを前面に押し出したビジネスモデルを構築していきたい」考えを示している。日本ユニシスでは、「当面はネットマークスのコストシナジーを中心に統合効果の実現を図る」(籾井社長)という。子会社のユニアデックスとネットマークスの連携強化を図っているものの、同社が掲げるSIとNIの融合ビジネスを軌道に乗せるには“テコ入れ”が必要ということになる。
SIとNIの融合を掲げているとはいえ、現段階ではSIをベースにニーズがあればインフラ構築としてネットワーク事業を手がけているというのが実情だ。法人市場のネットインフラリプレースが厳しい状況といわれているだけに、今後はSIとの融合による需要の掘り起こしに注目が集まるところだ。(佐相彰彦●取材/文)