ブレード販社が共同提案
ネットワーク機器市場で世界2位の日本ヒューレット・パッカード(日本HP、小出伸一社長)が、同市場の国内シェアを拡大する動きを本格化させている。世界では巨人・シスコシステムズに次ぐ2位のシェアがある。だが、日本では5%未満と低迷中だ。この状況を打破するため“シスコ陣営”以外の他社同機器メーカーと連携強化し、ブレードサーバー販社に新たなインセンティブを提供するなど、同社ならではの戦略を打ち出した。
日本HPは「次世代データセンター構築を促進する製品」と銘打った基幹スイッチの「HP ProCurve 6600 Switch」シリーズをこのほど発表。同スイッチは24ポートで3モデル、48ポートで2モデルを揃え、3月9日から順次出荷する。シスコに対抗するうえで最大の武器となるのは低価格。下位モデルは51万2400円、上位モデルでも187万7400円と、200万円を切る。これを「戦略的な製品」と位置づけ「世界で展開しているHPと同様にシェア上位メーカーへと変貌を遂げる」(芝原房夫・プロカーブネットワーキングビジネス本部長)と、鼻息が荒い。

しかし、「低価格製品+高品質=売り上げ伸長」といかないのが、この手の製品だ。そこで間接販売を主体に国内ビジネスを伸ばしてきた同社はひと工夫した。「販売パートナーが売れる環境をつくることが重要」(芝原本部長)と、ディストリビュータが販社に提供しやすくするためL4-L7スイッチ専業メーカーとの協業を強化する。すでに、F5ネットワークスやリバーベッドなど17社と製品の互換性検証を行うことを表明。「当社製品と協業する他社メーカー製品との互換性の良さを検証し、売りやすいソリューション・パッケージを用意する」(同)と、国内の間接販売ビジネスに慣れた同社らしい展開を行う。
販売パートナーを増やすために展開しているのはブレードサーバー販社にネットワーク機器も併せて“担いで”もらうことだ。現在、HP製ブレードサーバーを販売するSIerは45社。このすべてがネットワーク機器販売にコミットしたという。この販社に対する支援強化策としては、ブレードサーバーで策定した「パートナープログラム」をネットワーク機器でも採用。販売パートナーがサーバーとネットワーク機器との組み合わせ販売に成功すれば、単体で売るより利益(インセンティブ)を得られる仕組みにした。また、F5など協業ネットワーク機器メーカー17社の「商流」で拡販することも検討している。
L2/L3スイッチの国内市場でトップを走っているのは、同じくシスコでその位置は揺るがない。しかし、2位以下は日本独特でアラクサラネットワークスやアライドテレシスなど国産メーカーのシェアが高い。日本HPはなかなかシェアを伸ばせない状況が続いているのだ。今回の新戦略により「遅くても5年以内にシェア2位までには登りつめる」(芝原本部長)と、あくまで強気の姿勢を崩さない。同社のこの動きが、国内市場のシェア争いに一石を投じることは間違いなさそうだ。(佐相彰彦)