
DLP(data leak prevention=情報漏えい対策)は2年前に登場し、昨年ごろから注目を集め始めている製品。プロアクティブに情報漏えいを防護できるのが大きな特徴だ。トレンドマイクロは07年、DLP製品「Leak Proof(リークプルーフ)」を開発する米プロヴィラ社を買収した。買収される前から日立システムアンドサービス(日立システム)が代理店として同製品を取り扱っていたが、トレンドマイクロでの自社開発やサポート体制が整い、販社がも売りやすい環境となった。
「Leak Proof5.0」は機密情報の内容ごとにフィンガープリント(識別子)を抽出。USBへの書き出し、一部情報のカットアンドペーストやE-mailへの貼り付けなどを検出し、情報漏えいを防ぐ機能をもつ。サーバーでポリシーを設定してクライアントPCベースでブロックし、持ち出しPCにも効力を発揮する。
新機能として、社内での利用を許可したUSBを登録しておく「USBホワイトリスト」を追加。情報漏えい経路で最も多いのが紙媒体なので、クリップボード、プリンタ出力の無効化機能や、ActiveDirectory対応でユーザーやユーザーグループごとにポリシーを適用できるようにした。
トレンドマイクロはLeak ProofをアプライアンスとVMware環境で動作するヴァーチャルアプライアンスの二つの販売形態を用意した。これまで日立システムが買収前の米プロヴィラ社と販売契約を結んでいたため、日立システム中心の販売だったが、シンプルな価格体系や設定しやすさなど、手離れのよさを強みに間口を広げた。「ウイルス製品を担ぐSIerでも取り扱いが可能になった」と、ソリューションビジネス推進部の横川典子・市場開発課担当課長代理プロダクトマーケティングマネージャーは話す。
同社は既存チャネルに加え、新規に得意商材を持つ販社と組んで「セキュリティ対策機能付きソリューション」展開に力を入れる。導入前のポリシー策定において、コンサルティングが必要になる場合がある。そこで、「情報漏えいソリューションで実績のある販社を手始めに、教育サービスを提供する予定」(マーケティング本部の小屋晋吾・総合政策担当ディレクター)としている。販社が独自でサポート体制をもたない場合でも、同社のコンサルティングSEによる導入支援サービスとサポートセンターの活用により、課題を解決することができる。(鍋島蓉子)