ビデオ会議システムメーカーの日本タンバーグが、販売代理店体制の整備に踏み切った。これまでAV(音響・映像)関連機器を販売するベンダーとパートナーシップを深めてきたが、これに加えてSIerやNIerなどを販売代理店として獲得することを急いでいる。これにより、テレプレゼンスやビデオ会議システムを企業インフラとして提案し、需要を掘り起こしていく。
日本ダンバーグは、今年8月3日付でトップが交代。社長には、公家尊裕氏が就任した。公家氏は、日本ラドウェアやウェブセンス・ジャパンで社長として腕をふるった経験をもつ。日本タンバーグの課題について、公家社長は「販売代理店網を再構築しなければならない」と、気を引き締めている。販売体制の整備を念頭に置いているのは、戦略が大きく様変わりしているからだ。

2009年8月3日付で社長に就任した公家尊裕氏
これまで同社は、テレプレゼンスやビデオ会議システムの優位性として高画質を重視した製品・サービスの提供を追求してきた。AV関連機器の販売に強いベンダーを販売代理店として確保することで顧客への提案を強化。このビジネスモデルは今でも通用すると判断しているが、「最近では、ビデオ会議システムが企業インフラの商材になりつつある」という。ITシステムやネットワークなどのインフラとも連携強化が必要で、「画質を訴えるよりも、システム全体で提案していく」ため、販売代理店の整備を戦略として掲げたわけだ。
具体的には、現段階でAV関連販社を中心に5社以上を確保している一次代理店を、ITやネットワーク関連のディストリビュータ1社、既存のAV関連販社1社と合わせて2社に絞り込むという。「今年末には販売契約を交わしたい」としている。また、2次代理店としてAV関連機器に強いインテグレータと、IT/ネットワークに強いインテグレータ10社を獲得する方針で、「来年3月までに実現する」という。
最近では、出張を抑えるなどコスト削減の観点からビデオ会議システムの需要が増えている状況。そんななか、同社は販売代理店の再構築によって、「今後3年間は年平均で50%の成長を果たす」ことを目指している。また、「2012年にはテレプレゼンスやビデオ会議システムの国内市場でトップシェアを獲得する」としている。競合他社は、SIerやITとネットワークの総合ディストリビュータなどを販売代理店として獲得している。これまでの販売戦略を日本タンバーグが根本から覆したのは、競合との真っ向勝負で絶対的な地位を築くための布石だ。(佐相彰彦)