日本ヒューレット・パッカード(日本HP)がiSCSIストレージ製品「HP LeftHand P4000」シリーズを発売したのは、iSCSIストレージ分野で普及の壁になっていた課題を払拭することが最大の狙いだ。エンタープライズストレージ・サーバ事業統括ストレージワークスビジネス本部プロダクトマーケティング部の宮坂美樹・担当マネージャは、「iSCSIの限界と常識を超える“ストレージクラスター型iSCSIストレージソリューション”なのです」と強調する。

エンタープライズストレージ・サーバ事業統括ストレージ ワークスビジネス本部プロダクトマーケティング部 宮坂美樹担当マネージャ
これまでiSCSIは、「ホストIO帯域が1GbEでIOスループットが出ない」などといった問題で普及するまでに至らなかった。そのため、SAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)の分野ではFC(ファイバー・チャネル)スイッチ活用の「FC-SAN」が主流になっていた。「HP LeftHand P4000」シリーズは、ノードを増やすことでIO帯域の増加を実現。しかも、オプションで10GbE環境にも対応している。ESSプリセールス統括本部ストレージソリューション本部の服部政洋・システムエンジニアは、「FC-SANと同程度に違和感なく使えます」と自信をみせている。

ESSプリセールス統括本部 ストレージソリューション本部 服部政洋システムエンジニア
国内FC-SAN市場は成熟しつつある。FCスイッチが高価格であることと、FC-SANを構築するために特別な知識が必要なことが原因だ。一方、IP-SANはイーサネット・スイッチで構築可能なことから、FC-SANと比べて10分の1程度のコストで済む。「米国では、すでにIP-SANのメリットが理解されている傾向が高く、市場が伸びている状況です」と宮坂担当マネージャ。IP-SANの課題を解決した「HP LeftHand P4000」シリーズで、国内においてIP-SANが普及する可能性が出てきたわけだ。
販売は、ブレードサーバーなどHP製品の販売パートナーであるディストリビュータやSIer、NIerなどを通じて拡販する。服部氏は、「当社は、ストレージ専門のスペシャリストを組織化しています」と、販売体制を整えていることをアピールする。また、宮坂担当マネージャは「販売サポートとしてトレーニングを積極的に実施します」としている。
ユーザー企業については、100-1000人規模が対象。宮坂担当マネージャは、「中規模クラスの企業様は、SANを構築したいと思っているものの、管理の手間やコストの面から実現できないでいるケースが少なくないのです。新規顧客を開拓する大きな市場といえるでしょう」とみている。ユーザー企業を取り巻く環境は、DAS(ダイレクト・アタッチド・ストレージ)と非ネットワーク接続型にとどまっている例がまだまだある。「HP LeftHand P4000」シリーズで、いかにネットワークストレージのユーザーを増やすかに注目が集まる。宮坂担当マネージャは、「iSCSI市場で国内トップを獲るのは確実です」と断言する。