ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)が推進する異なるメーカーのプリンタを相互接続する標準規格「BMLinkS」のプロジェクトが最終段階に入った。11月には、マルチベンダープリンタ環境を一つのツールで管理するシステム開発のためにSIer向けの「オフィス機器管理SDK」の無償提供を開始。同プロジェクトは11年が経過し、新プリンタのほとんどが「BMLinkS対応機種」になってツールも揃ったが、いまだ普及途上にある。自陣を守るために「BMLinkS」を広めたくないというメーカー側の思惑が見え隠れする。
JBMIAの「BMLinkSプロジェクト委員会」は、BMLinkSの普及がいまだ途上にあることを受け、ユーザー企業にアンケートやヒアリングを行い、困りごとを調査した。その結果、「他メーカーのプリンタに置き換える際、機器設定やアドレス帳の移行が煩雑」「異なるプリンタドライバは使い勝手が悪い」といった問題点が浮上。こうした課題を解決するため、当初の計画通り「オフィス機器管理SDK」と呼ぶSIer向けのツールを開発した。
メーカー系列の販社やメーカーと契約する事務機ディーラーならまだしも、SIerはプリンタ販売をメインとしていない。しかし、実際にシステム提案すると、帳票印刷などの関連でプリンタ周りのインテグレーションを要望されるケースが多い。
システム提案先のユーザー企業がメーカー1社のプリンタだけを使っていればまだいいが、異なるメーカーのプリンタを導入している場合、SIerの作業負担はより大きくなる。とくに最近では、「TCO削減のため、誰が何枚印刷したかを管理したいというニーズがある」と、同委員会の委員であるリコーの丹羽雄一・シニアスペシャリストはみる。必要に応じ安価で高機能な各社のプリンタを揃え、かつマルチベンダー環境でプリンタ利用状況を管理しコスト削減するニーズが高まっているというのだ。
オフィス機器管理SDKは、各メーカーが提供するプリンタの管理ツールを一つにまとめるアプリケーションをSIer側で簡単に開発できる。利用履歴も1か所で管理することが可能。これに来年5月に出す「文書管理セキュリティ」ツールが加われば、A社とB社の複写機で同じように複写防止ができるなど、ユーザー企業がコスト削減策でプリンタ環境に求めることが、すべて1か所に集約できるのだ。
しかし、プリンタの販売現場では、A社の販社であればA社の管理ツールを勧め、「A社のプリンタで統一すればこんなに便利になる」と、ツールの優位性を訴え、1社集約を提案して他社機のリプレースを狙っている。BMLinkSの普及は単独のメーカー製プリンタしか売らない販社には阻害要因となり、メーカー側も販社に対してBMLinkSの利用を積極的に勧めない。
JBMIAの委員であるキヤノンの中村英俊主幹は「大規模導入のように1社で囲い込みたい営業領域ではなく、SIerのようにマルチベンダー対応する販社に使ってもらうことを訴えたい」と、使う対象者の棲み分けが必要と語る。恐らく、メーカー側が計画的にBMLinkSを広める努力をすれば、これらのツールを使うSIerは確実に増えるだろうし、プリンタ販売も伸びる。JBMIAに加盟するメーカー側は重い腰をあげ、自らBMLinkSの普及を積極化すべきと考える。(谷畑良胤)