2008年の国内プリンタ市場は、「リーマン・ショック」以降に打撃を受けたものの、年前半の貯金があったおかげで他のIT機器に比べて衝撃の度合いが小さかったようだ。ただ、一般オフィス向けの“箱売り”形式のプリンタ販売は、ここ数年、芳しくなく「特定業種」や「特殊業務」に応じた「用途提案力」が求められるようになった。今年に入ってからは、民間企業の間でIT投資を「凍結」「先送り」する傾向が見られ、これを受けてプリンタメーカー各社は、「民需から官需」へと方向転換し始めている。このため、各社では、帳票など基幹出力用途に必須となる、モノクロプリンタのラインアップの拡充に注力している。一方、09年に向けてプリンタ業界でムーブメントが起こりそうなのが、「環境」「コスト削減」である。プリンタ機器はPC・サーバーと同様に「CO2(二酸化炭素)」排出量が多いなど、「環境対策」面で風当たりが強くなっているため、各社は製品に「環境配慮」の機能を搭載するなど、さまざまなソフトウェアで制御する仕組みをつくり、販売パートナーへ提供し始めている。

エコとコスト削減で需要を喚起 カラー機に加えモノクロ機が浮上


【出席者(写真左から)】

富士ゼロックス 天野慎吾
プロダクトマーケティング部
国内マーケティンググループ 2チーム チーム長


エプソン販売 宮西徳郎
マーケティングセンター プロダクトマーケティング部 部長

リコー 宮崎章二
販売事業本部 ソリューションマーケティングセンター
プリンタ販売計画室 室長


NEC 岡田靖彦
ディスプレイ・ドキュメント事業部長

キヤノンマーケティングジャパン 松永圭司
オフィスデバイス商品企画本部 ページプリンタ商品企画部
ページプリンタ販売企画課 課長


ブラザー販売 大澤敏明
情報機器事業部
マーケティング推進部 商品企画G担当部長


パートナーに実需生むソリューション提案

▼自己紹介

 ──まず、ご担当部署やご担当エリアなどをご紹介ください。

 岡田(NEC)
 2006年10月に「ディスプレイ・ドキュメント事業部」がNEC内に発足しました。PC・サーバーなどの組織に加え、その周辺機器としてプリンタやディスプレイ関係を担当する組織として新設し、発足当初から同事業部を担当しています。それまではサーバーの販売推進を担当していました。そこには必ずプリンタ販売が関連してくるため、その経験を生かし「身近なビジネス」としてNEC内の事業と合わせプリンタ販売を担っています。

 宮西(エプソン販売) プロダクトマーケティング部に所属しており、今年3月までは、ビジネス向けプリンタの販売推進を担当しています。4月からは、ページプリンタ、複合機、ビジネススキャナ、ビジネスインクジェットの4プロダクトに特化したマーケティング全般を担当することになっています。

 松永(キヤノンMJ) 「オフィスデバイス商品企画本部」内の「ページプリンタ商品企画部」に所属しています。ミッションとしては国内シングルファンクションプリンタ(シングル機)のマーケティング・拡販を手がける役割を担っています。

 天野(富士ゼロックス) 国内のオフィスプリンタブランド「DocuPrintシリーズ」の市場投入や販売促進を担当しています。

 大澤(ブラザー販売) 自社ブランドのプリンタ家庭用ファクシミリ、複合機の商品企画とプロモーションを担当し、ブランドとして家庭向けの「マイミーオ」とビジネス向けの「ジャスティオ」を手がけています。

 宮崎(リコー) 国内市場向けプリンタの販売戦略の立案や推進、さらに発売準備や販促を担当しています。製品としては、ミッドレンジからローエンドまでのレーザープリンタ、ジェルジェット(ビジネスインクジェット)プリンタ、A4タイプのデジタル複合機(MFP)を担当しています。

NEC

岡田靖彦氏
ディスプレイ・ドキュメント事業部長


サーバー販売推進などを歴任し、同部署が設置されてからはプリンタ、ディスプレイ、プロジェクタなどの領域を担当する。

NECの「ディスプレイ・ドキュメント事業部」は、レーザープリンタやディスプレイ、業務用ラベルプリンタなどのプロダクトを販売展開している。プリンタなど周辺機器を含め同社製のパソコンやサーバー、ストレージなど企業の基幹システムと連携したトータル販売を得意としている。レーザープリンタのラインアップとしてはカラー7機種、モノクロ5機種(大型を除く)をそろえる。このうち、A3カラープリンタ「MultiWriter 2900C」と小型A4カラープリンタ「MultiWriter 5750C」などが主力機種となる。最近では、A3モノクロプリンタ「8000シリーズ」が好調で、このうち「MultiWriter 8400N」が主力機種になっている。「モノクロときどきカラー」という戦略を掲げ「ワンポイントカラーによるコスト低減」も提案・訴求している。




▼主力ラインアップ
A3機とモノクロ機の拡充鮮明


 ──それでは、現在各社の主力製品・ラインアップをご紹介いただきたいと思います。

 宮崎(リコー)
 当社は一般オフィス向けを中心に幅広い製品をラインアップしています。今年は、その中核機であるA3カラー機を一新しました。また、これまで手薄だったA4カラー機も昨年から今年にかけてラインアップを充実させています。A3機では最上位機種となるカラー毎分50枚機の「IPSiO SP C821」とデスクトップ型で同30枚機の「IPSiO SP C721」が主力モデルになり、これらの機種ではカウンターによる従量課金の保守形態を採用したモデルもあります。2月には、A4機のシングル機の「IPSiO SP C310」とA4MFPの「IPSiO SP C301SF」も発売。さらに、医療や流通など業種に特化したモデルも用意するなど、カラーレーザー13モデル、モノクロレーザー9モデル、A4MFPは2モデルを提供しています。 

 大澤(ブラザー販売) 当社はプリテンィング領域ではワールドワイドで「SOHO向け」を中心に展開しています。07年秋にはブラザー工業初の自社開発機であるカラー複合機・プリンタの発売を機に「ジャスティオ」ブランドを立ち上げ、SOHOに加え店舗などの狭小空間の利用にマッチしたコンパクトサイズの製品を展開し、現在23機種をそろえています。

 昨年は、A4機のモノクロ小型複合機を出したほか、昨秋にはA3機のインクジェット複合機をリリースしています。それまでは、A4機が、ラインアップのほぼ100%を占めていましたが、初めてA3機領域に踏み込み、当初見込んだ以上に販売台数が伸ばせています。

 天野(富士ゼロックス) 08年は主力機として、秋から年末にかけてA3機のカラー毎分35枚機とA4機の同18枚機をリリースし、従来シリーズに加え新モデルを追加しました。カラー機の製品名は、それぞれ「DocuPrint C3360」と「DocuPrint C2110」になります。また、久しぶりにモノクロの新製品を3機種出しました。どの機種も高速かつ高耐久性で基幹出力にも十分対応できる機種です。デスクトップ型で44枚機の「DocuPrint 4050」、コンソール型で45/55枚機の「DocuPrint 4060/5060」です。お客様やパートナー様から当社のこのクラスのモノクロ機に対する信頼や期待が高く、おかげ様で好調な滑り出しを見せています。

 松永(キヤノンMJ) 昨年最も大きなテーマとして、当社は「A3カラー機」を大拡販することを掲げていました。その中で、「LBP5910F」というトップマウント型ステイプルフィニッシャーを標準搭載した最上位機をはじめ、A3カラー機である「LBP5910」と「LBP5610」を含めた3機種を大幅に伸ばすことができました。

 このほか、カラー機に関してはA4機、6機種をラインアップしています。この中で「LBP5050」という製品は、高さが「国内最薄(262mm)」で、これをプロモーションとして仕掛けたところ、流通業を中心として店舗業務で多く採用されました。モノクロ機に関しては、カタログに未掲載の製品を含め10機種をそろえています。このうちフラッグシップ機になるのが「LBP3980」という機種になります。最上位機種としては毎分45枚機のカウンターモデルとして初めてとなる「LBP4500」も出しました。また、モノクロのA4機としては8機種を用意。こちらも各カテゴリー別にラインアップをそろえていますので、シェア獲得のために万全の体制が整っています。

 宮西(エプソン販売) まず、ページプリンタについては、シングル機としてカラーが5モデル、モノクロが8モデル。複合機として4モデルをラインアップしています。この中で主力機種は、シングル機でA3カラー「LP-S5000」、「LP-S6000」とA3モノクロで「LP-S3000」、「LP-S4200」等となります。

 複合機に関しては、導入しやすい価格帯で基本機能が充実の「LP-M5000シリーズ」の販売が好調です。また、昨年は本格的なビジネス向けインクジェットプリンタとして「PX-B500」と「PX-B300」の2機種を投入しました。当社は、このほかにもさまざまなプリンタ製品をそろえています。レシートやラベル印刷といった「業務用小型プリンタ」や「ドットプリンタ」、印刷業・プルーフ印刷などに好評の「大判プリンタ」などがあります。豊富なラインアップをそろえることで、業種やお客様の用途に応じたプリンティング環境を提案しています。

 岡田(NEC) プリンタ製品としては、カラーが7機種、モノクロで5機種(大型を除く)をラインアップしています。NECの特性上、基幹業務でプリンタを使うお客様が多く、販売のメインはA3モノクロ機になります。このカテゴリでは、「MultiWriter 8400N」や「MultiWriter 8500N」が主力機種になっています。最近、新たにA4モノクロ機を出しました。これは医療機関である病院など、小型機のニーズがある領域に向け業務用としての展開を期待しています。

 カラー機については、「MultiWriter 2900C」を中心に、モノクロ機を使うお客様に対し、カラーも使ってもらうことを訴求するため「モノクロときどきカラー」というコンセプトをうたい文句に展開しています。「同2900C」は、従来のNECのレガシーである基幹業務につなぐことが可能なカラープリンタとして売り込んでいます。従来、基幹システムで打ち出す帳票業務はモノクロ機が主流でしたが、帳票を含めた一般OA用としても1台で共用可能なカラー機を使ってほしいと提案し、これが当たっています。

 それ以外では、最近「MultiWriter 5750C」という小型A4機を出しました。当社は、流通業向けのシステム構築を多く手がけていますので、その中の店舗利用として一般業務兼POP印刷などの用途で、まとまった台数が出るようになりました。

エプソン販売

宮西徳郎氏
マーケティングセンター プロダクトマーケティング部 部長


ページプリンタ、複合機、ビジネスインクジェット、ビジネススキャナのマーケティング全般を担当する。

 エプソンは、ページプリンタやビジネスインクジェットプリンタをはじめとし、小型レシート/ラベルプリンタ、ドットプリンタ、大判プリンタなど豊富なプリンタラインアップをそろえ、一般OAオフィスやSOHO市場、業種でのお客様ニーズに応じた複合的な提案を得意としている。ページプリンタ・複合機は、シングル機としてカラー5モデル、モノクロ8モデル、複合機4モデルをそろえた。このうち主力機種は、導入しやすい価格帯のA3カラー機「LP-S5000」やA3モノクロ機「LP-S3000」。複合機でも手軽に導入ができ、ベーシックモデルながら基本機能が充実している「LP-M5000シリーズ」が売れ筋となっている。帳票システムとの連携を意識したモノクロ高速の「LP-S4200」や環境性能に優れた製品としてインクジェットプリンタ「PX-B500」などを投入し、好調に販売台数を伸ばしている。




▼08年の市況
経済急変の中、前年並みを維持


 ──次に、08年は秋口から米国発の「経済不況」の波が押し寄せ日本経済にも影を落としています。こうした中で各社の販売動向や傾向はどうだったのかお聞きします。

 岡田(NEC)
 まず上半期(4‐9月期)は前年同期比で2ケタ以上の成長をしました。特に、カラーの伸び率が顕著でした。当社のレーザープリンタに占めるカラー比率が2割弱しかなく、何とかカラー機を伸ばしたいと考えていました。「モノクロときどきカラー」のコンセプトが受けてカラー機は上半期も成長しました。ところが、下半期(08年10月‐09年3月)の市況はかなり厳しいです。4‐12月を見ますと、当社のプリンタ販売は昨年並みの状態です。それでも、世の中一般の低迷に比べれば、他市場ほどの痛手はないと言えるでしょう。

 当社プリンタは基幹システムに付随して売れる傾向があります。ただ、「リーマン・ショック」以降、パソコンなどで打撃を受けましたが、それに比べるとレーザープリンタは大きな痛手をこうむっていません。そうした中で、08年の明るいニュースとして「J.D. パワー アジア・パシフィック」の調査でカラーレーザープリンタの「顧客満足度No.1」を獲得しました。NECのプリンタとして初受賞ですが、さまざまな努力がお客様に受けたことが評価されたと判断しています。

 宮西(エプソン販売) 当社のページプリンタにとっては非常に厳しい年になりました。上期(4‐9月)はお客様に直接提案を行う体制を整えましたが、想定ほど大口案件が獲得できず、市場の縮小状況に同期して前年割れの状態が続いています。ただし、トナーについては落ち込み度が少ない状況です。

 下期(10‐09年3月)は市場環境やお客様の購買動向が変化する中で、コストダウンの提案をする販売展開として昨年12月から「お得祭り」を実施中です。このキャンペーンはお客様からの評判も良く、受付期間を3月末日まで延長しました。お求め易い、低価格モデルを提案することで好調に推移しており、販売台数も回復傾向にあります。

 松永(キヤノンMJ) 当社の08年は、期初からプライオリティトップとして「A3カラー機」の拡販に力を入る目標を立てました。これに基づき、一般オフィス向けには「LBP5610」の「キャンペーン運動」を積極化し、これがうまく機能したため、年間を通じて前年度に比べ大幅に伸長することができました。一般オフィスだけでなく、お客様の業務フローなどをしっかりヒアリングした上で、ページプリンタだけでなく、キヤノンが持つイメージウェアやドキュメント・デバイスを含め、的確な提案をしたため業務カットで台数を増やすことができたのです。

 一方、モノクロ機については、A3モノクロ機が昨対でシュリンク傾向にあります。この傾向に歯止めをかけるため今年はこれをテーマに据えた販売展開を考えています。昨年は業界全体でモノクロ機が、前年度に比べ減少しました。ただ、業界平均と比べると当社は伸びました。それでも依然としてカラー機に比べれば厳しい状況にあります。

 天野(富士ゼロックス) 残り1か月ほどを残す08年度(4‐09年3月)ですが、昨年12月までは販売台数が前年同期並みに推移しました。ただ、年明けから現在の経済環境の影響が出ています。「リーマン・ショック」以降は、本体やランニングコストが高いカラー機への影響が出ていますが、モノクロ機の大口案件があり、なんとか昨年並みを維持しました。

 このような厳しい情勢下にありますが、環境対応面の重要スペックとして当社がこだわってきたTEC値が、昨年あたりからマーケットで認知されるようになってきました。そのためベンチマーキングで良い値となっている当社のカラー機に対する期待が高まってきています。

 大澤(ブラザー販売) プリンタ市場全体の伸びが鈍化する中で、07年に「ジャスティオ」ブランドを立ち上げた勢いで、昨年前半はある程度の台数を確保できました。ただカラー機に関しては、後半から落ちてきている印象です。それでも、A3のインクジェットカラー複合機の導入が増え、これがけん引。また、モノクロ機は昨年3‐5月にかけて複合機をリニューアルしたことで堅調に推移しました。

 当社の販売ルートは現在、家電量販店など店頭が7‐8割を占めています。その中で、「BCN AWARD 2009」のページプリンタ部門でNo.1に輝き、社内的にも励みになっています。今年1月に入ってからは厳しさを増していますが、通期で昨年並みをキープしたいと考えています。これまでは、A4機主体に製品展開をしていましたが、A3機を新しく出したことで、不動産や建築などの業界で導入が進み販売領域を広げることに成功しました。A3複合機はA3スキャナの用途で使われるケースが多く、いまのところ販売面に貢献しています。

 宮崎(リコー) 08年度で見ますと、昨年9月までは順調に推移していましたが、10月から急激に市場環境が厳しくなったイメージがあります。こうした状況でもカラー機は前年を若干上回る見込みですが、これはA3ラインアップの一新に加え、A4機の拡充がプラスαとしてONできたのが要因です。

 販売チャネルはSIerやディストリビュータ、販売店などへのルートを強化してきました。一般オフィス向けに加え業種向けが堅調に推移したことでモノクロ機も全需並みになる見込みです。

キヤノンマーケティングジャパン

松永圭司氏
オフィスデバイス 商品企画本部ページプリンタ商品企画部ページプリンタ販売企画課 課長


国内のシングルファンクションプリンタのマーケティングと拡販を一手に担当する。

 キヤノンマーケティングジャパンでは昨年度(2008年12月期)、「A3カラー機」の販売台数を伸ばすことを掲げた。この中で、トップマウント型ステイプルフィニッシャーを標準搭載したA3カラー最上位機種の「LBP5910F」や「LBP5910」「LBP5610」の3機種を前年対比で大幅に伸長させることに成功した。このほか、高さが「国内最薄※」となるA4カラー機「LBP5050」が流通業の店舗向けに多く採用されるなど、カラー機を伸ばすことを達成。2月下旬には「A3カラー機」戦略に厚みを増すため、A3カラー機の「LBP9600C」とA4カラー機「LBP7200C」を投入して拡充。同社は今年「環境(エコ)」と「TCO削減」の提案を前面に掲げた販売戦略を展開している。

※ガートナー定義における国内A4カラーレーザビームプリンタにおいて2008年4月22日現在(GJ08196)。




▼08年の傾向と背景
エコとコスト削減がテーマ


 ──いま各社における08年の販売動向をお聞きしました。各社が説明されたような傾向になった背景・理由などを教えてください。

 宮崎(リコー)
 厳しい環境ながらも前年伸長できたのは、A4機のラインアップ拡充とチャネル強化の両面が奏功し全体を底上げできたからだと思います。主力のA3カラー機については、ソリューション販売をより一層強化しており、MFPと合わせたお客様の「フロアーTCO(総所有コスト)削減」提案やSIerと連携したシステム提案が成果につながってきています。

 大澤(ブラザー販売) A3機については完全にプラスαの部分となっています。モノクロ機に関しては、カラー出力が減る中でモノクロ出力が一定量ありまして、SOHO市場に関しても同じことが言えます。特に当社の複合機はコンパクトに置いていただき、プリントにプラスしてスキャナ、FAXとして使う用途があり、シングル機より複合機が堅調です。

 天野(富士ゼロックス) 昨年12月まではモノクロ機が堅調に推移し全体をカバーしました。当社もリコーさんと同じくカラー機は直系販社が拡販の主体になりますが、モノクロ機に関してはシステムパートナーを通じた販売の数字が伸びました。システムパートナーでのモノクロ機が伸びた理由は、08年度にシステムパートナー向けの営業体制を再強化したことと、そのシステムパートナーが構築される上位システムとの連携や検証作業を積極的に行ったことが増加につながったと考えています。

 松永(キヤノンMJ) 先ほど「A3カラー機」を中心にカラーカテゴリが伸びたと申し上げました。当社の販売チャネルは、自社の直販部門とグループ直販会社、ビジネス・パートナー、SIerなどのシステム・パートナーに家電量販店を加え、マルチなチャネル展開をしています。この販売展開の中で、主力のMFPに「つながる」ページプリンタを拡販するためのベクトルを期初から各チャネルとすり合わせてきました。

 一般オフィスを含め、特に企業の規模が大きくなるほど、MFPだけで完結する「最適配置」はあり得ません。どうしてもMFPとページプリンタを組み合わせた「最適配置」になります。これは中堅・中小企業に対しても同じことで、MFPでの「集約化」ではなく、MFPがダウンした際などのバックアップ機としてのページプリンタの重要性を各チャネルと共有することで「A3カラー機」を伸ばせたのです。

 宮西(エプソン販売) 当社の場合、プリンタではA3機に力を入れています。全体的にはA3機とA4機の割合が7対3という比率でこの傾向に変化はありません。カラー機だけでみるとA3機とA4機の比率が9対1と、この傾向がさらに顕著です。これは、当社の製品ラインアップ構成も関係しています。

 また当社のモノクロ機は、ここ数年、高耐久・高速の製品をそろえていなかったこともあり、一般オフィス用途で使われることが大半でした。中期的には、基幹システムからの帳票出力など大量出力の市場ニーズに応えるために製品ラインアップを強化しています。昨年11月には、低価格ながら120万ぺージの高耐久性と毎分44枚機の高速性を備えたモノクロA3機をラインアップに加えました。ここ1‐2年のモノクロラインアップ強化により、カラー機とモノクロ機の台数比率では、モノクロ機の割合が3分の2を占めるまでになっています。

 岡田(NEC) 当社プリンタがメインで使われる領域は基幹系が多いため、A3のモノクロ機が堅調に推移しました。その中でカラー機が2ケタ成長を続けたのは、従来、モノクロ機とカラーインクジェット機を導入していたお客様に「1台に集約しましょう」と訴求したことです。時々カラーを出力する潜在ニーズを掘り起こし、基幹系と一緒にカラー機を売ってきました。

 また、いまはA4のカラー機が伸びています。A4カラー機は流通・小売りの手狭な店舗内で利用する際、1台でモノクロ帳票やPOPをカラーで出力するニーズのある領域にヒットしました。今回出席の各社さんとは様相が異なりますが、カラー機全体の販売台数では、A4機が4割以上を占めています。

富士ゼロックス

天野慎吾氏
プロダクトマーケティング部 国内マーケティンググループ 2チーム チーム長


富士ゼロックスのオフィスプリンタブランド「DocuPrintシリーズ」の市場投入と拡販を担当する。

 富士ゼロックスは07年4月、プリンティング専業の富士ゼロックスプリンティングシステムズ(FXPS)を統合して以降、デジタル複合機とページプリンタの相乗効果によるプリンタ事業を強化している。08年秋から09年初頭にかけては、A3機のカラー毎分35枚機「DocuPrint C3360」とカラーA4機の同18枚機「DocuPrint C2110」をリリースするなど、従来モデルを拡充した。さらに、官庁・自治体向けとして、デスクトップ型で毎分44枚の印刷が可能なモノクロ・シングル機「DocuPrint 4050」を出し、基幹出力に向けた販売展開を本格化している。同社は経済産業省の「省エネ大賞」を10年連続で受賞。業種業態を問わず「環境(エコ)」やセキュリティをキーワードにした販売展開を積極的に行っていく。





2009年各社の戦略