デジタルアーツ(道具登志夫社長)は、年次のパートナーイベント「デジタルアーツ ビジネスパートナー総会 2010」を、5月20日、東京・ANAインターコンチネンタル東京で開催した。このイベントで、3か年計画達成のための施策をパートナーに向けて説明した。
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| 道具登志夫社長 |
デジタルアーツはウェブフィルタリングソフト「i-FILTER」、メールフィルタリングソフト「m-FILTER」を軸に法人向けビジネスを展開している。昨年は「i-FILTER Ver.7.5」「m-FILTER Ver.2.8」といった自社製品の強化を実施した。また、カスペルスキーのアンチウイルス製品との統合管理製品「i-FILTER powered by Kaspersky」や、Lotus Notes/Dominoと連携するアダプタ「Domino Mail Journal Adapter for m-FILTER」、モバイル対応製品「i-FILTER EndPoint Controller」と、続々と製品をリリースした。
イベントで挨拶に立った道具社長は、「昨年は、新たにインターネット対応テレビにも標準搭載されたことが大きな進展だった。結果、売上高で2ケタ成長する成果をもたらした」と振り返った。不況のさなかでも、2010年3月期の売上高は21億9000万円(前年比18.2%増)の大幅な伸長をみせた。今期(11年3月期)は中期経営計画の初年度にあたり、売上高24億円を見込み、来期はさらにそこから30%増、再来年は50%増を達成することによって、2010年3月期の売上高の倍を目指す。
URLフィルタリングの市場成長率は年率9%前後ほどというが、「3年間で年間20%の成長率にもっていくべく、フィルタリングの必要性をさらに訴求して下地をつくり上げる」(営業部の今井賢司部長)という。また、これまではサーバーライセンス、ISP、キャリア向けのサービスライセンスを提供していたが、さらに市場ニーズを汲み上げて、ローエンドからハイエンドまで、アプライアンスによる新しいレベニューモデルの構築するほか、組織の再構築といった強化策を打ち出した。アプライアンスモデルは今年10月のi-FILTERのメジャーバージョンアップ版、「i-FILTER Ver.8.0」を発売する前後で受注・出荷を開始する。URLフィルタリング、高速キャッシュプロキシ、アンチウイルスの機能を搭載する予定だ。
また、同社は2010年度のパートナー販売支援施策を発表した。デジタルアーツビジネスパートナープログラムは昨年4月にリニューアル後、1年間に157社のパートナーが新たに加入している。2010年は、インストール作業をデジタルアーツが行う有償サポートサービスを提供、またレジスタードパートナーに対して、パートナーのポータルサイトに掲示したバナーから案件が発生・成約した場合に一定の報酬を出すアフィリエイトサービスを開始する。
一方で、製品のライセンスプログラム全体の見直しをかけていくほか、現状のパートナープログラムについても改良を加え、現状の4カテゴリから、さらに細かくカテゴライズしていくという。「販売店によって強みは異なる。パートナー同士でコラボレーションできるような仕組みを提供し、積極的に話し合って新しい構造をつくりたい」(営業部の前嶋昇・パートナーセールス第2グループ課長)と今後の方向性を示した。
製品については、これまでプロダクトの形で提供していた製品の技術を切り出し、「i-FILTER」ではプロキシサーバーの機能のみ、「m-FILTER」のMTA(Message Transfer Agent)機能を提供することを計画している。
また、VirtualAppliance版の展開や、パートナーの要望によって、同社が運用するクラウドセンターからのサービス提供を行っていく計画で、ソフトウェア、ハードウェア、サービスと全方位的に支援を行っていく方針を示した。(鍋島蓉子)