携帯キャリアのURLフィルタリングオプションサービス開始や青少年ネット規制法などをきっかけに、注目を浴びるようになったURLフィルタリングソフト。市場への登場はインターネット普及の黎明期にまでさかのぼる。企業向けでは、当初は業務効率化の一助としての需要が高かったが、現在は情報漏えい対策という観点から、URLフィルタリングソフトの導入が進んでいる。ベンダー各社に現在の状況と次の商機を尋ねた。
業務効率化から情報漏えい対策へ フィルタリングは「インフラ」に
URLフィルタリングソフトが登場したのは、国内でインターネットが商用化された直後の1996年頃ともされている。外資系のベンダーの製品が日本に投入されたのを皮切りに、後発の国内ベンダーも日本の市場にマッチした製品を開発・販売してきた。
インターネットの普及に伴って、ユーザーは自由に、さまざまな情報にアクセスできるようになった。玉石混交の情報が行き交うインターネットは、その当時「無法地帯」ともいわれていた。政府主導のe-Japan戦略などによって文教分野にPCやブロードバンドの導入が進むにつれ、生徒がアダルトサイトや出会い系サイトなどの不適切なコンテンツを閲覧する恐れが出てきた。それを防止するため、URLフィルタリングソフトも文教分野や官公庁で広がりをみせていった。
時を同じくして、民間企業でも従業員が就業時間中にオンライントレードなど、業務に不必要なサイトにアクセス・閲覧することで生産性が低下するという問題が指摘されていた。業務効率の向上を図るために、導入が進み、インターネットを利用するうえでの「ルール」として定着した。
2000年代初頭までは、文教分野については、「不適切なサイトを見せないことによる、インターネットの健全な利用を促す」、また民間企業については「業務効率の向上」などを目的に導入されていた。
だが、2002年以降、企業向けについては、その導入目的が変わってきた。国内で個人情報保護法の機運が高まると、URLフィルタリングも業務効率化に加え、情報漏えい対策の一つとして広がったのだ。昨今、情報漏えいに対する社会の目は一段と厳しくなっている。不適切コンテンツの閲覧防止、業務の効率化、情報漏えい対策のツールとして、家庭でも、学校でも、企業においてもURLフィルタリングはもはや「インフラ」になっている。
デジタルアーツ
中堅・中小企業に商機あり 販社との協業で拡販へ
大半の大企業には、情報漏えい防止や内部統制といった観点から、すでにURLフィルタリングソフトが導入されているようだ。一方で、中堅・中小企業(SMB)では、まだ導入が進んでいないのが実状である。
1998年、国産初のURLフィルタリングソフトを市場に投入したデジタルアーツ(道具登志夫社長)の木野和宏・経営企画部マーケティング課課長は、「市場はまだまだ残されている。導入済みの企業は、競合製品を合わせたとしても、おそらく2万社程度。未導入の企業は星の数ほどある。大企業が導入すれば、取引のある中小企業もフィルタリングの導入を要請されるだろうから、どんどん広がっていくだろう」と見込んでいる。
デジタルアーツは、現状70億円程度の市場規模を、アンチウイルスソフトと同水準の1000億円市場にまで拡大しようと意気込む。
これまでの需要の状況を尋ねてみると、「事象をきっかけにしてというよりも、各業界のイノベータの企業に対してソリューションを提案し、そこから業界のさまざまなつながりの企業に評判が広がって導入が進んできた」(木野課長)という。同社は先進的な取り組みをしている“アーリーアダプタ”の企業を押さえたうえで、積極的に事例の積み重ねを行っている。
また、昨年から今年にかけ、九州、関西、中部、北海道に営業所を開設した。これまで地域の問い合わせに対しては、東京からの出張で対応してきたが、地に足のついた営業活動をてこ入れした格好だ。今年初めには、パートナープログラムを刷新。「デジタルアーツビジネスパートナープログラム」を立ち上げ、販社と協業し、製品を地場で売りやすい環境を整備した。「現在までに、すでにパートナーは200社弱となっている。パートナーのベネフィットを明確にし、300~400社を今年度に集めたい。今はパートナーの数を増やす段階。2次店、3次店を増やしてください、とパートナーにお願いしている」と話す。
製品面では、自社製品のブラッシュアップもさることながら、アンチウイルスベンダーのカスペルスキーなど、他社との連携強化にも力を入れる。「セキュリティは融合する流れに入っており、今後の展開としては総合セキュリティという売り方が有力になる」(木野課長)としている。
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