ワイヤレス関連で日本最大のイベント「ワイヤレスジャパン2010」が、7月14日から16日の3日間に渡り、東京ビッグサイトで開催される。「ワイヤレスジャパン」は、ネットワーク関連のベンダーにとっては新しい製品・サービスを披露する場として、ユーザー企業にとっては導入のメリットを確認できる場として評価が高い。通信規格や技術の進化、インフラ整備の進行、新しい端末やサービスの登場など、ワイヤレスを取り巻く環境が激変期を迎えているだけに、今回は例年以上に注目が集まる。主催するリックテレコムは、ワイヤレス関連の新しい動きが出てくる年と捉え、新イベントの同時開催などにも取り組んでいる。

「ワイヤレスジャパン2010」サイトのトップページ
出展社数は前年増に
最新の製品・サービスが集結
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| 「2010年は、ワイヤレス関連の新ビジネスが次々と生まれる年」と話すリックテレコムの土谷宜弘・テレコミュニケーション編集長 |
昨年の先行き不透明な市況感から一転、「ワイヤレスジャパン2010」への出展数は、160社以上に達し、「昨年を上回っている」と、主催のリックテレコムの土谷宜弘『月刊テレコミュニケーション』編集長は成功に自信をみせる。
今年のコンセプトは、「ここから始まるワイヤレス新ビジネス」。出展する各社がイベントでフォーカスしているのは、「WiMAX」をはじめ「XGP」「HSPA+」「LTE」など、高速ブロードバンドの新規格による「モバイルデータ通信」を切り口とした製品・サービスだ。20Mbps超のモバイルブロードバンドサービスが相次いで登場したのが09年ならば、10年は新規格が普及する年に位置づけられる。「出展社が高速ブロードバンドで可能になるソリューションを具現化した」と、土谷編集長は説明する。
また、法人市場でさらに広まっていくであろうスマートフォンに関するブースも多い。これは、昨年と比較して、ベンダー各社が新規格や新端末の用途を創造し、提案を行うことで実ビジネスにつなげようとしていることを物語っている。
最大の目玉は「クラウド」。ブロードバンド化で、モバイル関連のクラウドビジネスが立ち上がりつつある。土谷編集長は、「とくにLTEクラウドが注目されている」としている。各出展社がクラウドサービスの提供を視野に入れた展示を行うのは、新しいビジネスにつながるという点から、見ものになるだろう。
コンファレンスに関しては、NTTドコモの山田隆持社長やKDDIの小野寺正社長、ソフトバンクモバイルの松本徹三副社長など、大手通信事業者が自社の取り組みをアピールする基調講演をはじめ、SNSやTwitterなど、インターネットでコミュニケーションを図るサービスを踏まえたモバイル市場の展望を解説するセッションに注目が集まる。
また、iPhoneをはじめとするスマートフォンのアプリケーション開発に関する技術セミナー、モバイルソリューションを切り口とした講演、携帯電話の流通を支える販売店のビジネスに関するフォーラムなどを用意している。土谷編集長は、「通信事業者からメーカー、アプリケーション開発ベンダー、インテグレータ、販売店までを網羅したコンファレンスに仕上げた」としている。
新イベントの併催も
産業の“縮図”として活性化へ
土谷編集長が「新しい試みにもチャレンジしている」と語るように、今回の「ワイヤレスジャパン2010」では、「第1回無線技術応用産業展――モバイルパワー2010」を併催する。
「無線技術応用産業展」は、携帯電話の技術をはじめ、WiMAXやXGP、ワイヤレスLAN、Bluetooth、ZigBeeなどの近距離無線技術と、RFIDなどのセンサー系技術が、ワイヤレス産業界の枠を越えて他産業のシステム変革の基盤として着実に浸透し始め、ワイヤレス技術を応用した新しいビジネスが形成されつつあることを見据えたもの。無線モジュールが組み込まれた医療機器や物流向けハンディターミナル、遠隔カメラ監視システムなど、作業効率やサービス品質の向上に大きく貢献する事例が出てきており、これを踏まえて、ワイヤレス技術をさらに多くの産業に普及させるために開催するものだ。土谷編集長は、「出展社には、新製品や新サービスのマーケティングの場として活用してもらいたい」としている。これによって、イベントが新しい顧客やチャネル、パートナー開拓の場になることを期待している。
「ワイヤレスジャパン」には、携帯電話の技術進化を基盤にデバイス・部品から携帯端末、コンテンツまでの垂直統合モデルを構成するキープレイヤーが集結する。土谷編集長が「ワイヤレス産業の“縮図”といえるイベント」と語るように、ワイヤレス技術の進化的確にキャッチアップし続け、新製品や新サービスの発信基地としての役割を果たすイベントとして評価は高い。
土谷編集長は、「ワイヤレスに関する最新の技術や製品・サービスを伝えることで、市場全体の活性化を図っていきたい」との考えを示す。ベンダーにとっては、一昨年秋からの国内市場の厳しい状況を乗り切り、新たなビジネスチャンスを見出すきっかけとなるか──。イベントの成功、そして成果獲得への期待は大きい。(佐相彰彦)