伊藤忠商事(岡藤正広社長)は、米アダプティブ・プランニングが開発した予算編成・業績予測管理システムのSaaS型ソリューション「Adaptive Planning」の取り扱いを開始した。伊藤忠グループを介した販売や、伊藤忠商事が展開するクラウドサービスの販売ポータルサイト「Cloud・Gateway(クラウドゲートウェイ)」のほか、ビープラッツのSaaS/PaaS流通プラットフォーム「SaaSplats」などの販路を介して拡販する。3年間で250社への導入を狙う。
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情報産業ビジネス部 情報産業第二課 林田師博氏(左)と塩屋純一氏 |
「Adaptive Planning」はグローバルで、年商100億~200億円規模の企業を中心として700社への納入実績をもつ、SaaS型の予算編成・業績予測・帳票作成ソリューションである。
企業が予算・実績管理を行う際に大企業の61%、中規模企業の77%がExcelを利用しているという調査データがある。Excelを使う企業では、データを手作業で集計しなければならないため、入力作業や集計作業の際に人為的ミスなどの問題が起きがちだ。そうした問題を解消するためにBIツールを導入しようとしても、新たにサーバーを設置しなければならないし、ソフトウェアのカスタマイズを含めて数千万円のコストがかかる。
その点、「Adaptive Planning」はSaaS型の予算編成・予実績管理システムなので、2~3週間ほどで導入でき、コストも安価で済む。ウェブ上にすべてのデータを管理するので、ブラウザを介して、グループでの共同作業が可能になるほか、勘定科目が変わるなどの変更作業にも柔軟に対応できる。数値の内訳を詳細にクリック一つでドリルダウンでき、予算編成や業績予測のシミュレーションも容易。これまで主に使われてきたツールの間を埋めるソリューションとしての活用が見込まれる。
「Adaptive Planning」は多言語/多通貨対応しているので、「グローバル企業や国内リテールショップなど、多拠点展開の企業を中心として拡販を図り、3年間で250社への導入を狙う」(情報産業ビジネス部 情報産業第二課の塩屋純一氏)としている。
伊藤忠商事では、情報通信・航空電子カンパニー 情報通信・メディア部門 情報産業ビジネス部 情報産業第二課が中心となり、クラウドサービス事業を推進。欧米のクラウドサービスを国内で販売するための、「ITサービス デリバリー プラットフォーム」を構築。マーケティング、ローカライゼーション、課金・回収、与信管理、契約管理、顧客管理請求管理、クラウドインテグレーションを包括的に提供する。ビープラッツのSaaS/PaaSプラットフォームから大手流通、販売店を介してSaaSを流通する「SaaSplats」や伊藤忠テクノソリューションズなどグループ会社、SIerと連携しながら協業して拡販する。また今年8月には、クラウドサービスの販売ポータルサイト「Cloud-Gateway」を開設した。
現在取り扱っているクラウドサービスは4種類。今後はPaaSや業務特化型サービスなど、30~50ほどのラインアップに拡充していく予定だ。「場合によっては、パートナーとして、欧米ITサービス事業者に対する資本参加も実施して、アジア地域へのクラウドサービス拡大を狙う」(同課の林田師博氏)と意欲をみせている。(鍋島蓉子)